10/41
何のパーティーだと思ってるんだ
受付には嬢が一人でシャキッと立っている。エリカの姿は無かったが、それはタツにとってはどうでも良い。
部屋に戻れば明蘭がお出かけモードで待機していたが、その姿にタツの足が止まった。
袖の広がった貴族のようなブラウスに、真珠飾りを沢山あしらったベロア生地の赤いジャンパースカート、足にはニーハイソックスの白と黒のストライプが巻き付いている。
「あー、最高だね。ははは……」
彼は笑った、満面の苦笑いだ。コイツはいったいどんなパーティーを想像しているのだろう、と。
だが、彼はふと自分の燕尾服姿に気がついて真顔になった。
「お嬢、ひょっとして俺もこの恰好で行くのか」
姿見を見ながらナヨナヨ聞くタツ。
「当たり前だよ、パーティーなんでしょ」
コンパクトミラーを見ながらキッパリ答える明蘭。
彼女はつけまつげを付けなおした後、タツにハート型の鞄を押し付けた。
「さ、行こう」
「……はいはい」
二人はサッサと下へ。李家のベントレーが線からはみ出して停まっている。
タツは手際良く明蘭を助手席に座らせ車を出した。




