プロローグ
いまから約100年ほど前、アメリカから魔法という存在が公式に発表された。
その後十数年、魔法の存在を否定する組織がテロを起こし、全世界が一種の恐慌に陥ってしまう。
これを今の歴史の教科書では【魔法恐慌】と表記されている。
そんな恐慌の後、魔法はというとすんなり受け入れられていた。
そもそも、みんながみんな使える訳ではなく。素質、すなわち生まれつきのセンスが問われるもので、そう簡単に使えるものではなかったので、特に危険視される事はなかったのだ。
恐慌から数年、その認識が覆される事件が起きる。
全世界で同時に起こった魔法を使った同時多発テロ、教科書では【全世界魔法テロ】と表記されている。
それによる被害は甚大。世界各国は魔法を使った犯罪に対処するために、それぞれがそれぞれ対策をする。
日本は魔法が使える人が少なく、全公務員の中から適性があり、なおかつ人を制圧できる人間を集めて、警視庁にある課を作った。
これが日本に【魔法犯罪対策課】の誕生である。
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「・・・課長・・・暇っすね。」
デスクの椅子にもたれ掛かり、無気力に向井 健介は言う。
制服を着ているが、着崩しと目つきの悪い赤い目をしており、とても警察官には見えない男である。
短い黒髪はボサボサで清潔感もない・・・こいつほんとに警察か?
「そりゃ・・・お前・・・。魔法使える人間少ないんだから仕事来るわけないやろ。せいぜい他の課の雑用や応援がメインになる・・・」
それに無気力に返す男は、向井に課長と呼ばれていた人物。柳 別井である。
制服を綺麗に着るその男性は、少し丸い顔に平均的な体格、黒髪に黒目。少し生えた髭に黒縁眼鏡をかけている。
ようはオッサンである。
「だって・・・こんなにもやることいなんて・・・干乾びるっすよー」
「そんなこと言っても仕事がないのは変わらない、雑用もらってくるか?」
「お断りするっす・・・ところで他のみんなは?」
「篝兄妹は買い出し、宮本はアルバイトで遅れるってさ」
「そうっすか・・・」
公務員のバイトをするなっと言いたいところだが、残念ながら高齢者社会がひどくなり家に介護対象者、または子供がいる公務員でもアルバイトの許可が下りるようになっている。
ドンッ。ドアが吹き飛んだ。
「ただいま帰りました。」
「商店街の皆よくしてくれました!!! マジパナイですね!!!」
書き間違いではない。ドアが吹き飛んだのだ。
元気のいい大きな声を上げ、仮面ライダー顔負けのライダーキックをかましてきた男に、その後ろから静かに話す少女。
真逆の二人だが、あの二人が兄の篝 響とその妹の篝 紗音瑠である。
短い黒髪で身長が低い響と長い白髪で身長の高い紗音瑠。性格ともに見た目も逆である。
「そうか、とりあえず響、ドア直せよ?」
「わかりました!!! 道具とってきます!!!」
ドンッ。壁が吹き飛んだ。
「・・・壁は遅れてる宮本にやらせるか・・・」
書き間違いではない。壁が吹き飛んだのだ。
慣れてるせいか紗音瑠は買ってきたものをしまい、本を読み始めていた。
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「おい誰だ・・・人のバイト先になんな奴連れてきた奴は・・・!」
「宮本に頼めばすぐ終わると思ったんだ!!!」
響の首根っこをつかみ上げ、頭から少し血を流している男。宮本 瑞樹が怒りを抑えつつ冷静を装い言う。
「そうだな、悪いことしたな。響、宮本に謝れ。」
「課長・・・」
「宮本は道具じゃないぞ。」
「そこじゃねーよ!」
叫ぶついでに柳に向かって響を投げる。放物線を描き見事ぶつかる。
「バイト先のT〇UTAYAの壁に穴開けて俺の名前を叫び散らすこの馬鹿の行動を怒れって言っているんだよ! こいつのせいで店長に『警察に連れていくついでにいうけど、もう来なくていいよ』って言ってきたわ!」
「やったな、常勤できるぞ」
「よくねぇーよ!」
「・・・今日も平和ですね・・・」
「・・・あー、うん・・・そうっすね・・・」
紗音瑠は本を読みながら言った言葉に、向井はとりあえず返事を返すのだった。
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この課は魔法犯罪対策課、今日も騒がしく、平和に過ごしています。
to be continued
中学生の頃に書いていたよく分からない小説を部屋から見つけ、今の自分が書きなおしたらどうなるか?っと思い書いてみました。
誤字や脱字があるかもしれませんが、楽しんでいただけれは幸いです。