婚約者と共に逆ハーレムを眺めていたが、飽きた。
チートカップルの自覚ある方。
俺、リーグジェイル・グランディアは、婚約者と共に逆ハーレムを、眺めている。
俺はグランディア公爵家の長男として産まれ、家の恥にならない様英才教育を受けていた。勉強は嫌いじゃねぇしな。おかげで、魔術師の頂点である「帝」の地位に席を置かせてもらっている。
そんなある日、町外れの森で迷子を見付けた。(魔術の練習するのにこの森は絶好の場所なんだよ。)
迷子になっていた少女は涙目になりながら、こっちをじっと見つめながら黙っている。俺は呆れそうになりながら彼女の手を取り、森を出た。結構可愛いなと思いながら。
そんな彼女は、今現在俺の幼馴染み兼婚約者だ。
彼女の名は、アリンルシア・ウェルティ。ウェルティ伯爵のご令嬢だ。銀色の艶やかな髪を腰までのばし、宝石の様な紫の瞳はキラキラ輝いている。俺の自慢だ。
アリルを慕う生徒は大勢おり、ファンクラブまでいる始末。まぁ、彼女に手を出さなければ黙認するが。だがアリルは自分自身の価値に気付いていない。
むしろ自分は普通だと思っている節がある。いや、そんなわけねぇよ。見た目は絶世の美女と謳われた母親と、優しげな風貌の「聖なる者」と呼ばれた父親の良いところを受け継いだ美貌。歴代最高峰の魔術師である曾祖父(先代全帝な。)と同等の魔力量を保持する、ウェルティ家最高傑作の姫君。それがアリルの肩書きだ。まぁ、そんな彼女だからか婚約するときに、色々揉めたけどな。(主に溺愛してる家族等と。)
「リィ君?どうしたの?疲れた?」
アリルが此方に気付き心配そうに見ていた。彼女は時々、姉の様に振る舞う。別に構わねぇが、複雑の気持ちだ。
「毎回同じことして飽きねぇのか、あの馬鹿ども。」と思ってな、と言ったら彼女は眉を下げ困ったように笑う。
目の前に広がるのは、先週学園に転入してきた
レイシア・エンハートという女子生徒が学園の人気者達(しかも全員が「帝」)に囲まれながら、甘い言葉を囁かれ嬉しそうにしている所。彼女は気づいていないのか、周囲にいる彼等のファン達がエンハートに向ける殺気だった目を物ともしない。いや、気付いてるだろう。でなければあんな見下した目をしねぇ。
「そういえばリィ君は、彼女に絡まれてないの?」
そんなことを小首をかしげながら、彼女は言う。
「あぁ。レイシア・エンハートを見掛けたら即術で見えないようにしてるからな。対面した事はない。」
あの女の周りには取り巻きがいるからすぐ解るし、闇属性の魔術<影縫>で身を隠せば見付からない。会えば絶対絡まれる。これでも自覚はある方だ。
「つうか、俺が飽きた。アリル、そろそろ帰るぞ。今日はうちの家族とお前の家族がパーティーするっつってたろ。女性陣は準備に時間が掛かるしな。ほら、行くぞ。」
そう言って手を差し伸べれば、彼女は嬉しそうに笑う。彼女の手を取り食堂を出ていく。
彼女が悲しませない為に、エンハートには近づかねぇようにするか。今は、彼女といられればそれでいい。
アリルに手ぇ出しやがったら、解かんねぇけどな?
リーグジェイル・グランディア
16歳。実はアリルより年下。
黒髪紅目。
鋭利な目元をした、クールな美形。学園一。
涼しい見た目に反ししっかりと筋肉がついている。
得意魔術は、無と影、無効、破壊など。
「帝」のなかでも最強と称される「全帝」であり、他の者の監視役でもある。
婚約者を愛してる。むしろ彼女以外要らない。