文明衛星ユウ
掲載日:2013/11/19
「もうこの星には住めない」
あれから何回巡っただろうか。
あの子は星に。独りぼっちで。
いつか戻る日まで。
星は汚された。
もう誰も住めないほどに。
月は使われた。
人の生きる場所に。
星で作られた最後の船に乗せられた。
あの子は乗せてもらえなかった。
「いつか迎えにくるから。それまで待っていて、“アイ”」
あの子は「わかった。待ってる」と言っていた。
あの子は“人”じゃない“モノ”だからって、置いていかれた。
わたしは泣いた。
何年経っただろうか。
窮屈な安全ドームに閉じ込められたまま。
あの子のところに行けない。
何も変わらず、年だけが重なる。
いつしか子供が産まれた。
あの子はわたしを覚えているの?
わたしはずっと、覚えている。
「“アイ”のこと、絶対に忘れないから」
約束したから。
千回周りを巡っただろうか。
孫もひ孫もいた。
わたしはもう、あの子を迎えに行けそうにない。
いや、行ったところでわたしがわかるだろうか?
わからない。
ただ、最期に……
わたしは、最期にあの子の名前を呼んだ。




