0年前 或いは2000年後
第一話、主人公が森の中でヒャッハーしている頃の出来事ですな
場所は大陸のどこか。2年前にどこを想定して書いたかのかは判んないけど、今の自分が設定するなら多分トルコ近辺な気がする。
ライゼランさんはナノマシンが散布されてる場所ならラグ無しで転移できる設定で。
「師匠ししょー!」
「……うおーうぃ」
カタコンベ内に大声を響かせて、性的な意味で罰ゲームっぽい衣装の青い女が広間に飛び込んできた。
口すらも動かさずにやる気なく応えるのは、中央に崩れ落ちている、美しい彫刻が掘り込まれた甲冑を着込むスケルトン。
「相も変わらず騒がしいな、ライゼラン」
「師匠も相変わらず心身共に乾ききっていらっしゃる様で」
スケルトンの挨拶に青い女――ライゼランも笑顔で返した。
「特定の個体をコンタクトに利用する事さえ煩わしいのに、わざわざソレを消耗品で包むなんざ、物質文明種の真似事は面倒でなあ」
スケルトンは地に伏したまま、ライゼランを見上げて言う。
表情こそ読み取れないが、その口調にこもる感情は呆れだろう。と、ライゼランは判断する。
彼女にとってこのスケルトンの思考は、まったく理解が及ばぬ所にある。
だからこそ、何故ここで呆れるのかなどと疑問に思うだけ無駄だと、理解すればよい。
「でもでも師匠だって、近隣の兵隊さんに稽古を付けるために骨を残しているんですから、相当の物好きですよ?」
「いやコレ見知らぬ他人の骨」
「何と!」
確かにこのスケルトンは、近隣において知らぬ者の居ない存在である。
死して尚主人を守り、地下墓所の最奥を守る偉大な英雄。
未だ敗北を知らず、相対した者を決して殺さない高潔なる『死霊騎士』といえば、海の向こうにすら伝説が伝わっていよう。
……実際の所は、世界に関わる事に飽きてから偶然辿り着いた地下施設に勝手に住み着き、侵入者や勘違いした相手を半殺しで追い返しているだけなのだが。
数百年ほどして気がついた頃には間違った噂が伝説として広まっており、自らの正体などという戯言に興味を抱かぬスケルトンにとって噂を否定する理由が無かった、ただそれだけの事である。
「別に稽古を付けてやるつもりでぶっ飛ばしてる訳じゃないんだが……」
「なら殺してしまえばいいじゃありませんか。師匠なら生かすも殺すも簡単でしょ?」
「あいつ等はお前と違って最大限の敬意を払って来るんだよ。ある日突然お互いの信頼関係を反故にするってのは、お前にだって出来ないだろ? こう……善良な市民の心理的に」
「…………おー。師匠も骨のクセに人間的な感情があるんですねぇ。そこは私と似てるかも?」
「やめろ……マジでやめろ」
ライゼランも納得の表情となった。
この青女もまた、一般人との信頼関係を築いた怪物であるのだ。
特に彼女は積極的に世間一般と関わりを持とうと努力したので、スケルトン以上に人間との関係を大切に思うタイプであるし、だからこそスケルトンが現地人からどれほどの敬愛を受けているのかも、本人以上に理解している。
この骨と人との関係として最も判りやすい部分を挙げるとすれば、スケルトンの着込んだ豪華絢爛な甲冑は、この地の権力者からの捧げ物である事であろうか。
そんな鎧で地面に転がるスケルトンは、間違いなく何も理解していないと、彼女は確信している。
「まあ似てる似てないはどうでもいい。用があって来たんだろう?」
ポンと手を打つライゼラン。
「おお! そうでしたね。私の町の東の湖の北部の小島の、蛍光グリーンな鳥さんがつれない態度なんですが、師匠にアドバイスを頂きたく」
「本題に入ると、国境の森に現れたリュウジって名乗る青年は、黙っててもお前に会いに来るから放置すればいいぞ?」
「……せっかくボケた弟子との会話を楽しまないのは師匠の悪癖です」
「ボケ解んなかったし。お前弟子じゃねーし」
「うわーん……あんなに“の”が続いたのに! 酷いですよう」
「それは解んねえよ……」
死霊騎士は、涙目になっている自称弟子、人類が決戦存在として恐れる最強の亜人、頑張る方向を間違えた自分のコピーを眺めながら、
俺が選択肢をミスってから、もう2000年経ったんだなぁ。
まあ、こいつはこいつで今の人生楽しんでるみたいだし、意外と悪くはないのかもしれねぇな。
などと、感慨にふけるのであった。
文章の修正とか一切せずに、投稿無事しゅーりょー!(自分の中では)
だって今でも上手くないし、かわんねーよきっと!
これで昔書いたの全部出し切りました!
ありがとうなろう!
ありがとう読んだ人!
ありがとうブラバした人!
ありがとうワールドワイドウェブ!
ありがとう!うちゅーーーぅ!