第9話:【閑話】我が『最推《さもお》し』陣営の戦力分析。圧倒的な兵力と兵站《へいたん》の全貌《ぜんぼう》
第9話:【閑話】我が『最推し』陣営の戦力分析。圧倒的な兵力と兵站の全貌
秋風が吹き抜ける安喜県の執務室。
三人の兄たちが月見酒で絆を深めていた頃、俺――陳凌(字は子雲)は、一人机に向かい、薄暗い部屋の中で黄金色に発光する【システム】のウィンドウと睨み合っていた。
(いよいよ時代は、董卓の暴政と反董卓連合軍の結成へと動く。その前に、俺がプロデュースしたこの『最強の箱庭』の戦力と内政状況を、しっかりと数値化して把握しておかなければ)
歴史シミュレーションゲームをプレイする際、決戦の前にステータス画面や兵糧の備蓄を確認するのはオタクの基本中の基本だ。
俺は指先で空中のウィンドウをスワイプし、現在の劉備軍の総合データを呼び出した。
【劉備軍・主要人物と役割一覧】
■ 君主:劉備(玄徳)
• 役割: 陣営の絶対的支柱にして、天下の民を惹きつける精神的シンボル。
• 特記: 【魅力:99】のオーラにより、領内の民忠(民の忠誠度)は常に100%を維持。反乱リスクはゼロ。名剣『双股剣』を帯び、自らも前線で戦えるだけの武芸を持つ。
■ 筆頭軍師:陳凌(子雲)※俺
• 役割: 未来知識と【鑑定】スキルによる人材発掘、チート内政技術の提供、大局的な戦略の立案。
• 特記: 戦術の細かい指揮は田豊や張郃に任せ、俺自身は「絶対に負けない盤面」を作るプロデューサーに徹している。
■ 内政長官 兼 次席軍師:田豊(元皓)
• 役割: 安喜県の内政全般と、兵糧・物資の緻密な管理。【知力:93】【政治:87】
• 特記: 俺の現代知識(輪作や特産品開発)を、当時の技術水準に合わせて完璧に落とし込む天才。彼のおかげで、我が陣営の財政は常に黒字である。
■ 筆頭将軍:関羽(雲長)
• 役割: 重装歩兵の総指揮、及び都市の防衛長官。【武力:99】【統率:92】
• 特記: 神具『青龍偃月刀』を振るう最強の武神。高い政治力も持ち合わせているため、俺たちが遠征に出た際の留守居役としても完璧に機能する。
■ 騎馬隊長:張飛(益徳)
• 役割: 軽騎兵を率いた遊撃、及び敵陣への先制突撃。【武力:98】
• 特記: 神馬『烏騅』と神具『丈八蛇矛』による圧倒的な突破力。隠し才能の知力により、単なる猪武者ではなく、伏兵などの奇策も使いこなす恐ろしい将軍に成長した。
■ 遊撃・親衛隊長:趙雲(子龍)
• 役割: 劉備の絶対的護衛、及び戦局の穴を埋めるオールラウンダー。【武力:96】
• 特記: 先日加わったばかりの最強のイケメン武将。乱戦での生存能力に特化しており、いざという時は単騎で敵の中枢を切り裂く切り札。
■ 陣形・地形戦術官:張郃(儁乂)
• 役割: 俺の考案した西洋式陣形(ファランクス等)の現場での運用、及び地形を活かした伏兵の指揮。【統率:90】
• 特記: 彼が前線を指揮することで、軍全体の防御力が跳ね上がる。関羽・張飛が自由に暴れ回れるのは、彼が後方をガッチリ固めているからだ。
■ 特殊歩兵隊長:管亥
• 役割: 元黄巾賊の流民から選抜された精鋭歩兵『青州兵の原型』の指揮。【武力:84】
• 特記: 飢えから救ってくれた劉備に対する忠誠心は狂信的。死を恐れぬ特攻部隊として、凄まじい士気を誇る。
【軍事力・兵站の数値化データ】
(よし、次は現在の具体的な兵力と備蓄だ。田豊先生がまとめてくれた帳簿と、システムを照らし合わせる)
【総兵力:4,500名】
• 重装歩兵(1,500名): 関羽と張郃が鍛え上げた主力。全身を覆う鉄の鎧と、大盾・長槍を装備。正面からの物理攻撃には鉄壁の防御を誇る。
• 軽騎兵(500名): 張飛と趙雲が率いる機動部隊。機動力を削がないよう革製の軽鎧を身につけ、騎射(馬上の弓撃ち)と突撃をこなす。
• 精鋭突撃歩兵(500名): 管亥が率いる青州兵。野戦での切り込み隊長。
• 弓兵・後方支援兵(2,000名): 遠距離攻撃と兵站維持を担う。
(史実のこの時期、劉備が引き連れていた兵はせいぜい数百の烏合の衆だった。だが今の俺たちは、最新鋭の装備で統一された4,500の正規軍だ。しかも将軍の質が異常すぎる)
【経済力・兵站状況】
• 兵糧備蓄:『3年分(約15万石)』
• 輪作と深耕犂の導入により、安喜県の収穫量は通常の村の5倍に跳ね上がった。数年にわたる遠征を行っても、びくともしない食糧基盤が完成している。
• 軍資金:『黄金3万両・銅銭数百万枚』
• 俺の知識で作った『石鹸』と『改良型・紙』が、洛陽の貴族たちの間で超高値で取引されている。これにより、常に最新の鉄製武器を全軍に支給することが可能だ。
• 医療・衛生:
• 石鹸の普及と、陣営内の「煮沸した湯を飲む」「排泄物の厳重管理」という俺の指導により、軍内の伝染病発生率はほぼゼロ。負傷兵の生存率も極めて高い。
「……ふっ、完璧だ」
俺は暗い部屋の中で、思わずニヤリと笑みを作った。
圧倒的な武力。
鉄壁の内政と兵站。
そして、歴史の先を読む俺の知識。
「待っていろ、天下の英雄ども。そして暴君・董卓。俺の推しが、いよいよ乱世のド真ん中へ最高のデビューを飾ってやる」
黄金色に輝くステータス画面を閉じ、俺は窓の外の満月を見上げた。
間もなく、群雄割拠の血風が吹き荒れる。だが、この劉備陣営には、それを力強く押し返すだけの巨大な翼がすでに備わっていた。




