第37話:成都開城《せいとかいじょう》と西方の猛獅《もうし》。『大涼州都督《だいりょうしゅうととく》』馬超の誕生と、北伐《ほくばつ》への最終設計図(第五章・完結)
第37話:成都開城と西方の猛獅。『大涼州都督』馬超の誕生と、北伐への最終設計図(第五章・完結)
建安十四年末。
北の袁紹残党は張飛によって塵となり、漢中の張魯軍は馬超の槍によって粉砕された。
もはや、益州(蜀)の州都・成都を守る壁は、劉璋自身の臆病な心だけとなっていた。
――成都、城門前。
白旗が掲げられ、重厚な門がゆっくりと左右に開かれる。
そこには、簡素な死装束を纏い、益州の印綬を捧げ持った劉璋の姿があった。
「……天威に抗う術なし。劉皇叔殿の『仁』と、陳軍師の『神算』の前に、これ以上民を戦火に晒すことはできぬ。……どうか、蜀の民を、お救いくだされ」
劉備は馬を降り、深々と頭を下げる劉璋の手を優しく取った。
「劉璋殿、よく決断してくれた。貴殿のその慈悲こそが、蜀の民を救ったのだ。……俺の国で、共により良い未来を創ろうではないか」
劉備の【魅力:99】のオーラが成都の街を包み込む。
その瞬間、城壁を埋め尽くしていた蜀の民衆から、大地を揺らすほどの歓声が沸き起こった。戦わずに勝つ――陳凌(字は子雲)と諸葛亮孔明が描いた「無血制圧」が、完璧に完遂された瞬間だった。
1. 蜀・涼の合体。馬超、故郷へ還る
成都に入城したその夜。政庁の奥深くで、最高首脳会議が開かれた。
議題は、**「手に入れた益州の統治」と、「天下統一への最終段階(北伐)」**への布石だ。
「子雲殿。蜀を手に入れたことで、兵糧と資金は無限と言えるほどに整いました。……ですが、ここから中原を突くには、足が足りません」
孔明が白羽の扇を揺らし、地図の北西を指す。そこには馬超の故郷、**西涼(涼州)**が広がっている。
「……ええ。曹操がいなくなった今、涼州の諸侯たちはバラバラだ。ここを完全に掌握し、最強の騎兵軍団を安定供給できる体制を作らなければ、北伐の『神速』は生まれない。……馬超将軍」
俺が名を呼ぶと、銀の鎧を纏った猛将が進み出た。
「ハッ!」
「馬超孟起。貴殿を、益州北部の守備、および**『大涼州都督』**に任命する。……ただの守護者ではない。蜀の豊かな物資を涼州へ流し、西涼の民を飢えから救い、かつてない『最強の騎馬軍団』を再編してほしい。……貴殿の故郷を、俺たちの北伐の『槍の穂先』にするんだ」
馬超の瞳に、熱い火が灯る。
史実では、蜀に降った後の彼は閑職に追いやられ、その才を腐らせた。だが、この世界線では違う。俺は、彼に「故郷の再興」と「北伐の全権」という、最高の舞台を用意した。
「……子雲殿。皇叔殿。……この馬孟起、生涯を懸けてこの大任を果たしてご覧に入れます! 我が槍は、もはや己のためではなく、漢室復興と、俺を信じてくれたあなた方のためのものだ!!」
【システム通知:新勢力図の確立】
馬超を『大涼州都督』に任命。特性『錦の再来』が発動!
涼州・益州の全域で【徴兵効率+50%】、【騎兵練度:極】が固定化されました。
2. 孫家の戦慄。周瑜の焦燥
一方、この劉備軍の「異常な拡大速度」を、震えながら見つめる影があった。
長江を挟んだ対岸、呉の陣営である。
「……報告します。劉備軍、益州を無血制圧。さらに西涼の馬超を都督に据え、華北への進軍準備を開始しました」
その報告を聞いた周瑜公瑾は、手に持っていた筆を、音を立てて叩き折った。
「……何だと……。赤壁からわずか数ヶ月だぞ。我らが江夏の領有権で揉めている間に、奴らは中華の半分を飲み込んだというのか!? 諸葛亮……いや、あの陳子雲という男、一体何者だ!!」
孫権もまた、玉座で青ざめていた。
かつては「共に曹操を倒そう」と笑っていたはずの同盟相手が、今や曹操以上の巨大な『怪物』として目の前にそびえ立っているのだ。
「公瑾よ……同盟はどうなる。我らは劉備に呑まれるのか?」
「……今の劉備軍に逆らうのは、暴風に向かって矢を放つようなもの。……策を練り直さねば。彼らが『北伐』に目を向けている隙に、我らも動くしかありませんな」
呉の焦燥は、陳凌にとっては計算内だ。
「孫家への牽制は、荊州の関羽将軍に任せてあります。……さあ、いよいよ最後の仕上げだ」
3. 次なる盤面:天下統一への最終章
深夜。成都の城壁の上。
俺は孔明と並んで、満天の星空を眺めていた。
「子雲殿。……ついに、ここまで来ましたね」
「ああ。孔明先生。……俺の『推し活プロデュース』、最終章のタイトルは決まってるんだ」
俺は、黄金色に輝くシステムのホログラムを操作し、次なる目標を確定させた。
【最終ミッション:全中華の再統一】
目標:許昌の完全制圧、および『大漢帝国』の再興。
残り日数:――なし。今、この瞬間より開始する。
「馬超が西から、関羽が南から、そして俺たちが中央から。……曹操亡き後の魏の残党を、一気に飲み込む。……誰も死なせない、誰も飢えない。そんな『三国志のその先』へ、一緒に行きましょう」
俺の言葉に、孔明は深く、優雅に頷いた。
歴史のバグ、現代知識のチート、そして最強の英傑たち。
そのすべてが今、一つの大きなうねりとなって、許昌の空へと向かって駆け出した。




