表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志オタクの先読み鑑定録 〜桃園の誓い前から英傑たちを総取りして、推しの劉備に天下を獲らせます〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/43

第26話:猛虎《もうこ》の盟約と黄金の老将《ろうしょう》。伏龍《ふくりゅう》の影が導く次なる覇道《はどう》(第三章・後半)

第26話:猛虎もうこの盟約と黄金の老将ろうしょう伏龍ふくりゅうの影が導く次なる覇道はどう(第三章・後半)

 曹操孟徳そうそうもうとくが全財産と覇道はどうの意地をけて放った最強の重装騎兵団『虎豹騎こひょうき』。

 彼らが徐州じょしゅうの国境で、やいばを交えることすらなく劉備玄徳りゅうびげんとくの『じん』の前にひれ伏したという事実は、文字通り中華全土を震撼しんかんさせた。

 すべての手札を失った曹操は、兗州えんしゅうの奥深くへと引きこもり、沈黙した。

 北の袁紹えんしょう官渡かんと粉砕ふんさいし、西の曹操のきばを完全にへし折った我々劉備軍。

 残る中華の巨大勢力は、南の長江ちょうこう以南を支配する『江東こうとうの猛虎』――同盟国である孫堅文台そんけんぶんだいが率いる孫家そんけのみとなっていた。

 ――徐州・彭城ほうじょうの巨大な軍港。

「……これは。うわさには聞いておりましたが、実際に目の当たりにすると、言葉を失いますな」

 港に停泊ていはくする巨大な船影を見上げ、一人の美青年が感嘆かんたんの息をらした。

 燃えるような真紅しんく戦袍せんぽうまとい、女すらも嫉妬しっとするほどの類稀たぐいまれなる美貌びぼうと、氷のように冷たくも知性あふれるひとみを持つ男。

 孫家の最高頭脳にして水軍の天才――周瑜しゅうゆあざな公瑾こうきんという。

「驚くのはまだ早いぜ、公瑾こうきん! 見ろよあの船、まるで動く城じゃねえか!」

 周瑜の隣で、豪快ごうかいに笑いながら身を乗り出しているのは、孫堅の長男にして『江東の小覇王しょうはおう』と恐れられる猛将・孫策伯符そんさくはくふである。

 二人は、孫堅の名代みょうだいとして、劉備陣営との『絶対的な同盟関係』を再確認すべく徐州を訪れた使節団の代表であった。

 彼らの視線の先にあるのは、俺――陳凌ちんりょうあざな子雲しうん)の現代知識と、魯粛ろしゅくあざな子敬しけい)の水軍指揮能力が結実した究極のチート軍船、『大楼船だいろうせん青龍号せいりゅうごう』である。

「ようこそ徐州へ、孫策殿、周瑜殿」

 俺はおうぎを片手に、水軍都督ととくの魯粛と共に二人を出迎えた。

「子雲殿。そして、我が旧友の子敬しけい(魯粛)……。まさか君が劉備殿の元で、これほどの水軍をつくり上げているとはね」

 周瑜が、魯粛を見て苦笑いを浮かべた。本来の史実しじつであれば、魯粛は周瑜の推挙すいきょによって孫家に仕えるはずだったのだ。

「この船には『水密隔壁すいみつかくへき』という特殊な構造をほどこしております。大穴が空いても絶対に沈まぬ不沈船ふちんせん。さらに甲板かんぱんには、敵船を遠距離から粉砕する旋回式せんかいしきの巨大投石機を搭載とうさいしています」

 俺が淡々《たんたん》と解説すると、周瑜の美しい顔に、隠しきれないほどの『戦慄せんりつ』が走った。

「……沈まぬ船に、遠距離からの投石。長江ちょうこうの水上戦において、我ら江東の水軍が絶対に負けないという自負を、根底からくつがえすほどの暴力だ」

 周瑜は鋭い視線で俺を射抜いた。

「陳子雲殿。これほどの水軍を創設したということは、劉備殿は、我ら孫家との盟約めいやくを破り、長江を越えて南へ攻め入るおつもりか?」

 一触即発いっしょくそくはつの緊張感が走る。孫策もまた、腰の剣に手をかけて殺気を放った。

「まさか。我らの大義たいぎは、あくまでかん王朝の復興と、天子様(献帝けんてい)の安寧あんねいにあります」

 俺は扇をたたみ、深く頭を下げた。

「この水軍は、曹操や他の逆賊ぎゃくぞくが水上から我々をおびやかした際の『絶対のたて』に過ぎません。……周瑜殿。我々は、洛陽らくようの炎の中で孫堅殿と結んだ盟約を、たがえるつもりは毛頭もうとうありません」

 そこへ、背後から黄金色こがねいろのオーラを放つ男が進み出た。我らがあるじ、劉備玄徳である。

「孫策殿、周瑜殿。俺は、天下の民が誰も血を流さず、えない国を創りたい。南の豊かな大地を治める孫家とは、剣を交えるのではなく、共に手を取り合ってこの乱世らんせいを終わらせたいのだ」

 劉備の【魅力:99】の言葉に、孫策の放っていた殺気がふわりと霧散むさんした。

「……へっ。親父(孫堅)が『劉備には絶対に逆らうな、あの男は本物の竜だ』って言ってた意味が、よく分かったぜ。……いいだろう、劉玄徳殿!」

 孫策が、豪快ごうかいに笑って劉備の手を強く握りしめた。

「俺たち孫家は、天下の覇権はけんなんてどうでもいい。ただ、身内と江東の民が平和に暮らせりゃそれでいいんだ。……あんたが曹操をぶっ飛ばす時が来たら、俺たちの水軍も力になるぜ!」

「……伯符はくふ(孫策)がそう言うのなら。この周公瑾しゅうこうきん、劉備陣営の背後は我らが水軍で完全にお守りすると誓約せいやくいたしましょう」

 周瑜もまた、劉備の底知れぬうつわと俺のチート軍備に完全な『不可侵ふかしん』をさとり、深々と頭を下げた。

『ピコン!』

【特大イベント『江東の猛虎との絶対的軍事同盟』を締結! 将来の「赤壁せきへきの戦い」における水軍の超・連携フラグが成立しました! 天命てんめいポイント10000Pを獲得!】

(よっしゃあああッ!! これで未来の水上戦も孫家の最強バックアップ付きだ! 同盟国としての完全固定化、ミッションコンプリート!)

 俺は内心の狂喜乱舞きょうきらんぶを押し殺しながら、夜のうたげへと孫策たちを案内した。

 ――数日後。孫家の使節団が帰還し、強固な南の防衛線が確立された徐州の政庁。

 大広間に、天下無双てんかむそうの武将たちと五大軍師が集結していた。

「北の袁紹は半壊、西の曹操は沈黙、南の孫家とは絶対同盟。……残る中華の空白地帯は、ただ一つだね」

 郭嘉かくかあざな奉孝ほうこう)が、中華の地図の中央、広大で豊かな土地を指差した。

「『荊州けいしゅう』。現在は劉表りゅうひょうが治めているが、彼も老齢ろうれいで後継者争いが絶えない。……いずれ戦火に巻き込まれるのは必定ひつじょうだ」

「ええ。荊州には、戦火をけて天下の優秀な人材が大量に隠れ住んでいます。……我らも、彼らを保護すべく動くべきでしょう」

 徐庶じょしょあざな元直げんちょく)が真剣な顔でうなずく。

「軍師殿! 人材と言えば、面白いじじいが俺たちの陣営に加わりたいって、わざわざ荊州の長沙ちょうさからやってきたぜ!」

 張飛ちょうひが、一人の筋骨隆々《きんこつりゅうりゅう》の老武将を連れて大広間に入ってきた。

 白髪しらがと白いひげたくわえながらも、その肉体は全盛期の若者のように張り詰め、背中には身の丈ほどもある巨大な強弓ごうきゅうを背負っている。

「……ほう。ただの老人ではないな。その歩み、一切のすきがない」

 関羽かんうが、美しい長鬚ちょうしゅでながら、鋭い視線を老武将に向けた。

「ほっほっほ! 天下に名高き関羽将軍にそう言っていただけるとは、老骨ろうこつほまれにござる。それがしは荊州南陽の生まれ、黄忠こうちゅうあざな漢升かんしょうと申す!」

(黄忠キタァァァァッ!! 三国志が誇る最強の老人、百発百中の神弓しんきゅうの使い手! 俺が使者を出さなくても、劉備の仁徳の噂を聞きつけて自分からやってきてくれたのか!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【氏名】黄忠こうちゅう(字:漢升かんしょう

【武力】93(※弓術において限界突破)

【統率】86

【深層情報・隠し才能】

老当益壮ろうとうえきそう(老いてますます盛ん)』:年齢を重ねるごとに武術のえが増すという特異体質。関羽と互角の死闘を演じるほどの実力を持ち、弓の腕前は中華において右に出る者がいない。己の武を正しく評価してくれる「仁」の主君を求めていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……黄忠殿。貴殿のその弓、飾りではあるまいな?」

 関羽が、試すように青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうを軽く持ち上げた。

「ほっほ! ならば、あの中庭を飛ぶすずめを落としてご覧にいれましょう」

 黄忠は背中の大弓を引き抜き、一切のねらいをつける動作も見せずに矢を放った。

『ピュォォォンッ!』

 はるか彼方、肉眼では点にしか見えない空を飛んでいた雀の『尾羽おばね』だけを正確に射抜き、雀を傷つけることなく生け捕りにしてみせたのだ。

「……見事だ。某の青龍刀を背後から射抜くことも、容易たやすいであろうな」

 武神ぶしん・関羽が、その絶技ぜつぎ心底感服かんぷくし、深く頭を下げた。

「我が軍に、比類ひるいなき武神がまた一人加わった。黄漢升こうかんしょう殿、歓迎いたすぞ!」

 関羽、張飛、趙雲ちょううん馬超ばちょう。そして黄忠。

 俺の脳内で、ファンファーレが鳴り響いた。

五虎大将軍ごこだいしょうぐん……! 劉備軍の最高戦力、ついにここに完全集結!! オタクの夢、完全達成だぜ!)

 だが、俺の歓喜かんきさえぎるように、徐庶が静かに、しかし深い畏怖いふを込めた声で口を開いた。

「子雲殿。黄忠将軍という天下の猛将が加わったことは喜ばしい。……だが、荊州に眠る『本物の怪物』は、彼だけではないのです」

「……怪物、ですか?」

 徐庶の言葉に、俺はハッとして顔を上げた。

 天才軍師である徐庶や郭嘉、そして賈詡かく田豊でんぽうといった中華最高峰の頭脳たちが、一斉に顔を見合わせて、どこか緊張した面持おももちになった。

「ええ。荊州の奥深く、隆中りゅうちゅうと呼ばれる地に……我ら五大軍師の知恵をすべて足し合わせても、あるいは届かないかもしれない『神算鬼謀しんさんきぼう極致きょくち』が眠っています」

 徐庶が、ゴクリとつばを飲み込んで言った。

水鏡すいきょう先生(司馬徽しばき)は、彼をこう呼びました。……天に昇る時を待つ、せたる竜。『伏龍ふくりゅう』、と」

 ――伏龍。

 その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋にゾクゾクとするような電流が走った。

 郭嘉が、瓢箪の酒を置き、真剣な目で俺を見据える。

「子雲殿。君のその未来を見通す『眼』も、彼をとらえ切れるかどうか。……諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい。彼がもし曹操の手に落ちれば、我々の創り上げたこの最強の盤面すら、ひっくり返されるかもしれない」

(諸葛亮孔明……! 三国志最大のチート軍師にして、劉備の運命を決定づけた最強の相棒!)

 俺は、強く、強くこぶしを握りしめた。

 すでに俺という異物(軍師)がいるこの陣営に、彼がすんなりと入ってくれる保証はない。だが、俺の『推し活プロデュース』における最後の、そして最大のピース。彼を手に入れずして、劉備の天下統一は絶対にあり得ない。

「……行きましょう、玄徳兄者。俺たちの覇道はどうの総仕上げ……天に眠る竜を、迎えに」

 俺の言葉に、劉備が力強くうなずいた。

 最強の武将たち、最高の軍師たち、そして絶対的な経済力と水軍。

 すべてを手に入れた劉備陣営は、ただ最後の一つの『奇跡』を求めて、いよいよ三国志最大のクライマックス――『三顧さんこの礼』と『赤壁せきへきの戦い』が待ち受ける第四章へと、その重厚な歴史の扉を押し開こうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ