表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志オタクの先読み鑑定録 〜桃園の誓い前から英傑たちを総取りして、推しの劉備に天下を獲らせます〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/43

第20話:【閑話】徐州《じょしゅう》の奇跡と、噂《うわさ》を聞きつけし仁義《じんぎ》の士たち(第二章開幕)

第20話:【閑話】徐州じょしゅうの奇跡と、うわさを聞きつけし仁義じんぎの士たち(第二章開幕)

 ――徐州じょしゅう彭城ほうじょう

 かつて曹操そうそうの大軍による大虐殺だいがくさつの危機にひんし、その後、劉備玄徳りゅうびげんとくという新たなあるじを迎えたこの大都市は今、中華全土が驚嘆きょうたんするほどの『異常な発展』をとげげていた。

「……信じられん。本当にここが、乱世らんせいの真っ只中まっただなかにある都市だというのか?」

 彭城のにぎわう大通りを歩きながら、一人の恰幅かっぷくの良い青年が、呆然ぼうぜんつぶやいた。

 彼の名は魯粛ろしゅくあざな子敬しけい

 代々、莫大ばくだいな資産を持つ豪農ごうのうの家柄であり、彼自身も天から与えられたような高い知性と、気前良く財産を分け与える度量どりょうを持つ男である。のちにという国で最高司令官となる男だが、今はまだつかえるべき主君を持たぬ在野ざいや(無職)の身であった。

 魯粛の目に映るのは、ただの賑わいではない。

 道行く民の顔には、えや疲労の色が全くないのだ。それどころか、誰もが血色良く、清潔な衣服をまとっている。

 市場には、見たこともないような透明感のある『石鹸せっけん』や、なめらかで純白の『かみ』が山のように積まれ、洛陽らくよう長安ちょうあんから来た大商人たちが目を血走らせて買いあさっている。

「魯粛殿。驚くのは市場だけではありませんぞ」

 魯粛の隣を歩く、背筋のピンと伸びた立派な体格の武将が、苦笑混じりに言った。

 彼の名は太史慈たいしじあざな子義しぎ

 母への恩義を重んじ、かつて北海ほっかいという地で孔融こうゆうという太守たいしゅの危機を単騎たんきで救ったこともある、天下に名高き『仁義じんぎの士』である。彼もまた、新たな大義たいぎを求めて諸国を放浪ほうろうしていたところ、偶然この徐州で魯粛と意気投合いきとうごうしたのだ。

太史子義たいししぎ殿。これ以上の驚きが、まだあると?」

「ええ。城外の農地を見てまいりましたが……『輪作りんさく』という見たこともない農法と、『深耕犂しんこうすき』なる鉄製の農具により、せた土地でも麦や豆があふれんばかりに実っておりました。……聞けば、これらはすべて劉備軍の『筆頭軍師』が持ち込んだ知識だとか」

 太史慈の言葉に、魯粛はゴクリとつばを飲み込んだ。

陳凌ちんりょうあざな子雲しうん……。若くして劉備軍の全権をにない、虎牢関ころうかんではあの呂布りょふすら退しりぞける盤面ばんめんを描いたという、神算鬼謀しんさんきぼうの軍師。……単なるいくさの天才かと思えば、これほどまでの内政の手腕しゅわんも持っているとは」

「ええ。しかも彼は、身分や家柄を一切問わず、才能と『民をおもう心』を持つ者を広く求めていると聞きます。現に、あの天才と名高い郭嘉かくかや、武勇絶倫ぶゆうぜつりん典韋てんいらも、自ら劉備殿の元へせ参じたとか」

 太史慈は、腰に帯びた剣のを固く握りしめた。

「魯粛殿。私は決めました。私のこの武勇、そして仁義をつらぬく心……劉玄徳りゅうげんとく殿と、陳子雲殿の大義のためにささげようと」

「……ふふっ、奇遇きぐうですな。実は私も、親友の周瑜しゅうゆから江南こうなん(南の豊かな地)へ来ないかと誘われていたのですが……この徐州の奇跡を見て、心が決まりました。私も、劉備殿に仕官しかんを申し出ます」

 二人の傑物けつぶつが、互いに顔を見合わせて力強くうなずき合った、まさにその時。

「――おや、こんな大通りで立ち話とは。もしや、我が軍への仕官をご希望で?」

 ふわりと、どこからともなく声が降ってきた。

 驚いて振り返ると、そこには白羽のおうぎを片手に持ち、人懐ひとなつっこい笑みを浮かべた若き青年が立っていた。

 その後ろには、威圧感いあつかんかたまりのような巨漢・関羽かんうと、鋭い眼光を放つ趙雲ちょううんが、影のようにひかえている。

「なっ……! あ、あなたは……!」

 魯粛と太史慈が、そのただならぬ覇気はきに圧倒されていると、青年は扇をパチンと鳴らして優雅ゆうがに一礼した。

「お初にお目にかかります。俺は劉備が配下、陳凌子雲。……魯粛殿、太史慈殿。あなた方のような天下の英傑えいけつが自ら徐州に足を運んでくださるとは、我があるじ・玄徳もさぞかし喜ぶことでしょう」

 二人は、いかずちに打たれたように固まった。

「な、なぜ……名乗ってもいない我々の名を!?」

「それに、我々が仕官を考えていることまで……!」

 俺――陳凌は、内心で狂喜乱舞きょうきらんぶしながらも、すずしい顔で扇をあおいだ。

(キタキタキタァァァッ!! 徐州のうわさを聞きつけて、SSR級の在野ざいや武将が自ら釣られてやってきた! しかも、孫呉そんごの最高司令官となる魯粛と、義理堅ぎりがたさカンストの猛将・太史慈!)

 俺の網膜もうまくには、すでに二人の異常なステータスが黄金おうごんの光を放って表示されていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【氏名】魯粛ろしゅく(字:子敬しけい

【知力】92 【政治】90 【魅力】89

【深層情報・隠し才能】『天下二分てんかにぶんの計』:のちに孫権そんけんに天下を二分する壮大な戦略を説く、大局観に優れた天才外交官にして内政家。江南こうなんの地理と水軍すいぐんの運用にも極めて明るい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【氏名】太史慈たいしじ(字:子義しぎ

【武力】93 【統率】82 【魅力】85

【深層情報・隠し才能】『信義しんぎ剛弓ごうきゅう』:一度結んだ約束は命に代えても守り抜く、超・義理堅い猛将。弓の腕前は百発百中であり、のちに孫策そんさくと神話的な一騎討いっきうちを演じる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「俺の『』からは、天下を救う大志たいしいだく者の魂の輝きは、隠そうとしても見えてしまうのですよ」

 俺が神秘的な笑みを浮かべてそう言うと、二人は完全に度肝どぎもを抜かれ、やがてその場に深く片膝かたひざをついた。

「……恐れ入りました。噂にたがわぬ、いや、それ以上の神算鬼謀しんさんきぼう

 魯粛が、震える声で頭を下げる。

「この太史子義、劉備殿と陳軍師殿の大義のため、この命をささげる覚悟にございます!」

 太史慈もまた、力強く宣言した。

『ピコン!』

【システム通知:特大イベント『仁義じんぎの士の合流』を達成! SSR武将『太史慈』、SSR軍師『魯粛』を陣営に引き入れました!天命てんめいポイント10000Pを獲得!】

(よっしゃあああッ! これで未来の孫家の最強戦力まで強奪ごうだつ完了だ! しかも魯粛がいれば、水軍すいぐんの創設と江南こうなん進出の布石ふせきが打てるぞ!)

「さあ、お立ちください。我が主・玄徳が、城で首を長くして待っております」

 俺が二人の手を取って立たせると、関羽が満足げに長鬚ちょうしゅでた。

「うむ。太史慈殿のそのみ切った武の気配、我が陣営に相応ふさわしい。共に青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうと弓を交える日が楽しみだ」

「ご期待に沿えるよう、精進しょうじんいたします、関羽将軍!」

 こうして、徐州の城郭じょうかくの一室。

 新たに加わった二人を交え、劉備陣営の首脳陣しゅのうじんによる軍議が始まった。

「……なるほど。魯粛殿の言う通り、我々がさらに南下し、揚州ようしゅう(江南)を押さえるためには、巨大な『水軍すいぐん』の創設が急務きゅうむというわけか」

 劉備が、広げられた地図を見つめながら深くうなずく。

「はい、玄徳様」

 魯粛が、緊張した面持おももちで進み出た。

長江ちょうこうを越えるには、陸の戦法は通用しません。今のうちに徐州の豊富な資金を使って造船所ぞうせんじょを建造し、水軍の訓練を開始すべきです。私が、その総指揮そうしきらせていただきます」

「ふふっ、さすがは子敬しけい(魯粛)殿。頼もしい限りだ」

 軍師の席で酒を飲んでいた郭嘉かくかが、ニヤリと笑った。

「だが、南ばかりに目を向けているわけにはいかないよ。……北の最大勢力、袁紹本初えんしょうほんしょが、ついに公孫瓚こうそんさんほろぼすべく大軍を動かし始めたという情報が入っている」

 その言葉に、軍議の場にピリッとした緊張感が走った。

 袁紹。反董卓連合軍はんとうたくれんごうぐん元盟主めいしゅであり、現在、中華で最も広大な領地と兵力をほこる絶対的な巨魁きょかい

 彼が北を完全に統一すれば、次にねらうのは間違いなく、豊かな徐州を持つ我々劉備軍である。

「……袁紹の大軍。顔良がんりょう文醜ぶんしゅうといった猛将もいる。正面からぶつかれば、いかに我々でも無傷では済まない」

 田豊でんぽうが、苦虫にがむしを噛みつぶしたような顔で言った。かつて史実で袁紹に仕え、理不尽に処刑された彼だからこそ、その恐ろしさとおろかさを誰よりも知っているのだ。

「ご心配なく、田豊先生。そして兄者」

 俺は、立ち上がって全員を見渡した。

「北の袁紹、そして西で虎視眈々《こしたんたん》と我々を狙う曹操。……彼らが本格的に動く前に、我々は内政を極限まで押し上げ、水軍という新たなきばぎ澄まします。……魯粛殿、太史慈殿。あなた方の力が、どうしても必要なのです」

「お任せを、子雲殿!」

「この命に代えても、劉備様の大義を成し遂げてみせましょう!」

 天下無双の武将たち、そして未来を先読みする天才軍師たち。

 彼らが集う徐州は今、中華全土を呑み込む嵐の中心として、その輝きを一層強く放ち始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ