表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志オタクの先読み鑑定録 〜桃園の誓い前から英傑たちを総取りして、推しの劉備に天下を獲らせます〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/43

第19話:五大軍師の円卓《えんたく》。覇王《はおう》の凶刃《きょうじん》を封じる、青州《せいしゅう》・徐州《じょしゅう》の同時掌握《しょうあく》(中盤)

第19話:五大軍師の円卓えんたく覇王はおう凶刃きょうじんを封じる、青州せいしゅう徐州じょしゅう同時掌握しょうあく(中盤)

 大宴会から一夜明けた、安喜県あんきけんの地下作戦室。

 分厚い石壁に囲まれた薄暗い部屋の中心には、中華全土が描かれた巨大な木彫りの地図が置かれ、そのかたわらで『伝国璽でんこくじ』が静かに五色の光を放っていた。

 たくを囲んでいるのは、俺――陳凌ちんりょうあざな子雲しうん)を含めた五人の男たち。

 内政の神・田豊でんぽう毒牙どくが謀将ぼうしょう賈詡かく天眼てんがん鬼謀きぼう郭嘉かくか王佐おうさ義侠ぎきょう徐庶じょしょ

 間違いなく、現在の中華において最高峰の頭脳が集結した『最強の五大軍師』の円卓えんたく会議である。

「……いやはや。本物の伝国璽を前に酒が飲める日が来るとはね。しかも、それを一介いっかいの義勇軍がコソコソと隠し持っている。痛快つうかいすぎて笑いが止まらないよ」

 郭嘉かくか瓢箪ひょうたんを揺らしながら、クスクスとのどを鳴らした。

「笑い事ではないぞ、奉孝ほうこう殿」

 田豊がきびしい顔で地図を指差す。

「我が軍の兵站へいたん完璧かんぺき、兵の練度れんども最強だ。だが、いかんせんこの安喜県は狭すぎる。数万の軍勢を養い、伝国璽の威光いこうもって天下に号令をかけるには、絶対に『州』単位の広大な領地が必要不可欠だ」

「ならば、狙うは東――豊かな穀倉こくそう地帯である『徐州じょしゅう』と、その北に位置する『青州せいしゅう』の二州しかありませんな」

 賈詡が、冷ややかな声で分析を述べる。

「しかし、問題があります。我々が東へ動けば、兗州えんしゅう拠点きょてんに力をたくわえつつあるあの男――曹操孟徳そうそうもうとくと完全に領地が隣接りんせつする。奴は今、我々を最大の標的としてきばいでいるはず。背後を突かれれば、いかに我らでも無傷では済みません」

 史実しじつにおいても、この時期の曹操は急速に勢力を拡大していく。曹操との全面戦争になれば、泥沼どろぬま消耗戦しょうもうせんけられない。

「……だからこそ、俺の『先見のめい』を使うのです」

 俺はおうぎを広げ、地図の『徐州』の一点に白羽しらはの矢を立てた。

「俺たちは、徐州と青州を『血を流さずに』同時掌握しょうあくし、さらに曹操陣営からのうれいを完全に断ち切ります。……史実の悲劇イベントを、丸ごとひっくり返すことによって」

 四人の天才軍師たちの視線が、一斉いっせいに俺に集中した。

「徐州の太守たいしゅ陶謙とうけんは、すでに老齢ろうれい後継者こうけいしゃもおらず、国をゆずるべき『徳』のある人物を探しています。……近々、その徐州を、曹操の父親である曹嵩そうすうが財宝を持って通過する。陶謙は護衛ごえいの兵をつけますが、その兵は財宝に目がくらみ、曹嵩を暗殺して逃亡してしまう」

「なっ……!?」

 徐庶が息をんだ。

「もし曹操が父親を殺されれば、どうなる?」俺は郭嘉を見た。

「……あのプライドのかたまりにして、親への情が深い男だ。激怒し、徐州の民を何十万人も巻き込む『大虐殺だいがくさつ』の復讐戦ふくしゅうせんを引き起こすだろうね。……まさか、子雲殿」

 郭嘉のひとみが、驚愕きょうがくに見開かれた。

「その通りです」俺はニヤリと笑った。「趙雲ちょううんと徐庶殿の別働隊べつどうたい極秘ごくひに派遣し、裏切る護衛兵たちを事前に殲滅せんめつ。曹操の父親を無傷で救い出し、丁重ていちょうに曹操の元へ送り届けるのです!」

 静まり返った地下室に、俺の扇の音がパチンと響いた。

「……曹操は超合理主義者ですが、同時に『恩義』や『大義名分』を極めて重んじる男だ。自分の父親の命を救った劉備りゅうび軍に対し、いかに敵対していようと、すぐにやいばを向けることは道義的どうぎてきに絶対に不可能になります。これで、曹操からの背後の憂いは完全に消え去る」

「そして!」

 田豊が興奮で顔を赤くして身を乗り出した。

「曹操の父親を救い、徐州の大虐殺だいがくさつ未然みぜんに防いだとなれば! その恩義と、伝国璽の威光、そして劉備様の『じん』のうつわ感服かんぷくし、老齢の陶謙は間違いなく徐州を劉備様に譲り渡す!!」

完璧かんぺきだ……。背後の猛獣に強固な『恩のくさり』をつなぎ、無傷で豊かな大国を手に入れる。あまりにも美しすぎる盤面ばんめんだ」

 賈詡が、戦慄せんりつしたように肩を震わせた。

「徐州さえ手に入れば、あとは総仕上げです」

 俺はさらに、地図の『青州せいしゅう』を指差した。青州には現在、数十万の黄巾こうきん賊の残党がえに苦しみながら暴れ回っている。史実では、これを曹操が武力で制圧し、『青州兵』として自軍の最強の基盤きばんにしてしまうのだ。

「徐州の豊かな兵糧へいろうを使い、我が軍の青州兵の頭目・管亥かんがいを交渉役に立てて、青州の黄巾残党を『丸ごと』引き取ります。玄徳兄者の【魅力:99】と飯さえあれば、彼らは喜んで我が軍の民となり、最強の農耕・軍事軍団へと生まれ変わる。……曹操が青州に手を伸ばす前に、その基盤を完全にり取るのです」

 沈黙。

 四人の天才軍師たちは、俺の提示した『史実チート』を限界まで組み込んだ完璧かんぺきな戦略図を前に、もはや言葉を失っていた。

「……ははっ、こりゃあ傑作けっさくだ」

 やがて郭嘉が、腹を抱えて笑い出した。

「ただのいくさじゃない。政治、外交、人心掌握じんしんしょうあく。すべてにおいて、あの曹孟徳そうもうとく急所きゅうしょをこれでもかとえぐり抜いている。……君の頭の中は、本当にどうなってるんだい、子雲殿?」

「言ったでしょう? 俺の『眼』には、未来が見えるんですよ」

 俺はわざとらしくウインクをして見せた。

「よろしい。ならば我らのすべきことは決まりましたな」

 徐庶がスッと立ち上がり、腰の剣を叩いた。

「私が趙雲殿と共に先回りし、曹操の父君をお救いしましょう。……玄徳殿の『仁』を、天下に示すための最初の一手として」

 こうして、最強の五大軍師による軍議は決した。

 史実において曹操を覇王はおうへと押し上げた「徐州侵攻」と「青州兵吸収」という二つの巨大な歴史のうねりを、劉備陣営が先回りで完全に『総取そうどり』する。

 三国志オタクの知識と、神引きした最高の軍師たちがかなでる、絶対無敗のオーケストラが、いよいよ大陸の東へ向けて鳴り響こうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ