表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志オタクの先読み鑑定録 〜桃園の誓い前から英傑たちを総取りして、推しの劉備に天下を獲らせます〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/43

第16話:四英戦呂布《しえいせんりょふ》。神話《しんわ》の死闘《しとう》と、鬼神《きじん》を縛《しば》る『仁《じん》』の光(中盤)

第16話:四英戦呂布しえいせんりょふ神話しんわ死闘しとうと、鬼神きじんしばる『じん』の光(中盤)

『ギィィィィィィィンッ!!!!』

 大気が悲鳴を上げ、鼓膜こまくが破れんばかりの金属音が虎牢関ころうかんの荒野に響き渡った。

 張飛ちょうひ尋常じんじょうならざる剛腕ごうわんから繰り出された、一丈八尺(約4メートル)の神具『丈八蛇矛じょうはちだぼう』の神速しんそくの突き。

 それを、呂布奉先りょふほうせんは片手で振るった『方天画戟ほうてんがげき』ので、まるでハエでも払うかのようにあっさりとはじき飛ばしたのだ。

「……ほう。ただの力任せのいのししかと思えば、穂先ほさき軌道きどうを直前で三度も変えおったか。面白い絶技ぜつぎだ。だが――」

 呂布の凶悪な笑みが深まる。

「遅いし、軽いなァ!!」

 反撃の斬撃ざんげきは、俺の目にはまったく見えなかった。

 ただ、張飛の漆黒しっこくの暴れ馬『烏騅うすい』が、本能的な恐怖で大きく横に跳躍ちょうやくした直後、張飛が先ほどまでいた空間の地面が、見えない巨大なやいばえぐり取られたように爆発したのだ。

(す、すげぇ……! これが限界突破のERROR値! 張飛兄者あにじゃ変幻自在へんげんじざいの達人技を、純粋な暴力のスピードだけで無力化しやがった!)

 だが、俺たちの陣営がほこ無双むそうやいばは、一本ではない。

「――もらった」

 呂布の死角、完全に無防備な背後から、一切の殺気を消し去った関羽かんうの『青龍偃月刀せいりゅうえんげつとう』が、音もなく呂布の首筋へとすべり込む。

 武術の極致きょくち完璧かんぺきなタイミングの『読み』と『死角からの必殺』。

 しかし。

「……チッ、後ろのヒゲ、鬱陶うっとうしいぞ」

 呂布は、まるで背中に目がついているかのように、赤兎馬せきとばの上で体を大きくらせて青龍の刃をかわすと、そのまま方天画戟の石突いしづき(柄の尻の部分)を関羽の鳩尾みぞおちめがけて叩き込んだ。

『ガァァァァンッ!!』

「ぬぅぅぅッ!!」

 関羽が咄嗟とっさで防御するも、その巨体が馬ごと数メートルもはじき飛ばされる。

「続けざまに失礼いたします。我がやり、お覚悟かくごを」

 その直後、すずしげな声と共に、白銀の流星が呂布のふところへと降り注いだ。趙雲ちょううん子龍しりゅうである。

 神速の百連突き。常人ならば一瞬で全身に風穴かざあなが開くほどの圧倒的な手数てかず

 だが、呂布はそれを方天画戟の半月刃はんげつじんで狂ったような速度で弾き返し、逆に嵐のような乱撃で趙雲を押し返し始めたのだ。

「ガァッハッハッハッ! 良い! 実に良いぞお前ら!! ようやく俺の血が少しは温まってきたァ!!」

 呂布が歓喜かんき咆哮ほうこうを上げると、彼がまたが深紅しんくの怪馬・赤兎馬が、物理法則を無視したかのように、空高く――十メートル以上も跳躍ちょうやくした。

「なっ……馬が空を飛んだだと!?」

 張飛が驚愕きょうがくに見上げる中、太陽を背にした呂布が、空中で方天画戟を大きく振りかぶる。

「消し飛べェェェッ!!」

 落下エネルギーと、赤黒い闘気とうきを極限まで圧縮した、次元を引き裂くような大質量攻撃。

(ファンタジー全開の超次元バトルかよ! あんなのまともにらったら、兄者たちでもタダじゃ済まないッ!)

 俺が悲鳴を上げそうになった、その時だった。

『――そこまでだ、呂奉先りょほうせん

 み切った、しかし戦場の騒音をすべて塗りつぶすほどの絶対的な威厳いげんを持った声が響いた。

 同時に、呂布の落下地点の真下に、二振りの剣を交差させた一人の男がすべり込んだ。

 我らが総大将、劉備玄徳りゅうびげんとくである。

「玄徳殿!!」

「兄者!! 駄目だめだ、下がるんだ!!」

 趙雲と張飛が叫ぶ。劉備の武力は73。悪くはないが、呂布の限界突破の重撃を受け止めきれる数値ではない。

 だが。

『ガァァァァァァァァンッッ!!!!』

 劉備の『双股剣そうこけん』と、呂布の『方天画戟』が激突した瞬間。

 戦場を包み込んでいた呂布の赤黒い殺気が、まるで陽光ようこうに照らされた朝靄あさもやのように、シュウゥゥッと音を立ててき消されていったのだ。

「……な、なんだと!?」

 空から打ち下ろした呂布の顔に、初めて「驚愕」と、得体の知れない「恐怖」の色が浮かんだ。

 劉備の全身から立ちのぼっていたのは、黄金色こがねいろに輝く、底なしの『じん』のオーラ。

 それは、暴力のみを信奉しんぽうし、裏切りを繰り返してきた呂布の孤独な魂にとって、最もまぶしく、最も触れてはならない『猛毒』だった。

「お前は、強いな」

 劉備は、双股剣の刃をきしませながら、間近で呂布の凶悪な瞳を真っ直ぐに見つめ返した。

「だが、お前の振るう刃には『大義たいぎ』がない。董卓とうたくという悪逆あくぎゃくけものに飼い慣らされ、意味もなく血を流すだけのあわれな男だ。……己の魂の叫びに、耳をふさいではいまいか?」

「……ッ!! き、貴様ァァァッ!!」

 劉備の【魅力:99】が放つ、魂を直接揺さぶるような言葉。

 呂布の脳裏に、俺と賈詡かくが洛陽にバラいた『董卓が呂布を裏切って見殺しにする』という毒の噂が、フラッシュバックのようによみがえる。

 心の底にくすぶっていた疑心暗鬼ぎしんあんきと、劉備のまぶしすぎる『仁』の光。

 それが、純粋な戦闘マシーンであった呂布の心に「すき」を生んだ。

(……見えた! 呂布のステータスが、システム上で乱高下らんこうげしている! 武力ERROR表示が、一時的に【95】まで落ちたぞ!!)

 俺は陣幕から身を乗り出し、のどが張り裂けんばかりに叫んだ。

「今だァァッ!! 兄者たち、趙雲!! そのバケモノを叩き伏せろォォォッ!!」

「「「おおおおおおおッッ!!」」」

 劉備が正面から呂布の動きを封じ込めたその一瞬の隙を、無双の三将が見逃すはずがなかった。

 張飛の漆黒の蛇矛が右から迫り、関羽の青龍の刃が左から断ち切り、趙雲の白銀の槍が死角から突き上げられる。

 天下最強の四人が完全な連携を見せた『四英戦呂布しえいせんりょふ』の必殺陣形。

 さすがの鬼神・呂布も、この時ばかりは顔をゆがませた。

「……チィィィィィッ!!」

 けもののような咆哮ほうこうと共に、呂布は強引に赤兎馬の手綱たづなを引き、嵐のような三方向からの必殺攻撃を紙一重かみひとえはじきながら、強引に後方へと跳躍して包囲網を脱出した。

 ガキンッ、とすさまじい金属音が鳴り響き、呂布の頭上で揺れていた二本のきじ尾羽根おばねが、ふつりと切り裂かれて宙を舞った。

「……ハッ。俺に一歩引かせるとはな。名も知らぬ田舎の諸侯どもめ、この呂奉先りょほうせんの魂をここまで震わせたこと、めてやるわ」

 呂布は、血走った目で劉備たち四人をにらみつけ、ギリッと歯を食いしばった。

 力では負けていない。だが、あの金色のオーラを放つ男(劉備)とこれ以上打ち合えば、己の根底にある『狂気』が浄化じょうかされ、やいばにぶってしまうという生物的な本能の警告。

 さらに、都(洛陽)に残してきた主君・董卓へのぬぐいきれない不信感。

 天下無双の鬼神の心に、初めて『撤退てったい』の二文字がよぎった瞬間であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ