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第8話 — 揺れる夢と、沈黙の7日間

彼女にとっては穏やかな朝の始まり。

僕にとっては少し慌ただしい夜の始まりだった。


その夜、僕は大量のライトノベルを書いていた。

作品の今後について悩んでいた時期でもあり、

彼女との会話は、僕にとって救いだった。


書き続けるべきか、やめるべきか——

期待の重さに押されて、自分自身と衝突していた。


結果的に、彼女との会話が大きな助けになった。

約3週間、彼女と話す時間を優先して、執筆は二の次になった。

週に1話だけ更新する、そんなペースになっていた。


その頃、僕は「作家として出版されたい」という夢を彼女に打ち明けた。

彼女は、僕が未来を考え、夢を持っていることをとても喜んでくれた。


彼女は朝から歌を歌っていて、音声メッセージを送ってくれた。

その時、数日前から感じていた違和感が、確信に変わった。


「歌っていたら (...)、お医者さんが部屋に来て、嫌味な事言われたの。」


その言葉に、僕は衝撃を受けた。

彼女が入院していたことを、ようやく理解した。


彼女は落ち込んでいた。

僕は、彼女を落ち着かせようとした。


彼女に夢の話を聞いた。

彼女は、自分の夢を語ってくれた。

「私はすごいんだよ!」と笑いながら。


作家になって、作品で人を幸せにしたい——

そんな彼女の想いに、僕は心を打たれた。


そして、彼女はこう言った。


「(...)の夢も応援してるけど、私のこの目標、応援してくれる?

私の声、世界観、価値観、考え方はその為の道具だと思ってるよ。

作品は特に褒めて欲しいけどね。」


僕は、彼女の夢を全力で応援すると伝えた。

彼女の中にある抑圧に触れながら、

「君は素晴らしい」と、何度も言った。


その直後、僕は言葉を失った。


「返事が遅くなってごめんなさい。

さっき、返事が出来なかったのはね、

夫とケンカしてたからなんだ。

なんで分かってくれないの!ってね。」


僕は深く関わらないようにしながら、

彼女が気持ちを整理できるよう、自由に話せる空間を作った。


嵐のような感情の波が次々と押し寄せる中、

僕はずっと彼女のそばにいた。


僕自身も感情を揺らさないように、

彼女が僕の言葉で不安定にならないように、

慎重に言葉を選び続けた。


それでも、彼女は自分の中で揺れていた。

聴く音楽ひとつで、気持ちが変わってしまうほどに。


数時間、通信が途切れた。

僕にとっては深夜だった。


彼女が戻ってきた時、僕はすでに疲れ切っていた。

でも、彼女の状態を知っていたから、離れることができなかった。


「本当に、私のことを信じて応援してくれる人は、日本に居るかな…って不安になるよ。

病院のルールに則って、(...)を歌っていたら、看護師さんに『うるさいですよ〜』って言われたから…」


僕は彼女にメッセージを残した。

その夜、眠ることができなかった。

彼女のことが心配で、執筆にも無理をしていた。


数時間後、返事がなかったので、

もう一度メッセージを送った。

彼女がまだ気持ちを引きずっているかもしれないと思ったから。


そして——

1週間、彼女からの返事はなかった。


その間、僕はとても不安だった。

彼女は無事なのか、元気なのか——


僕は不安を紛らわせるために執筆に集中した。

でも、彼女のことを考えないようにするのは難しかった。


毎日、PCでInstagramのタブを開いたままにしていた。

何か通知が来るのを待っていた。


諦めかけた頃、Instagramを開いても何もなくて、

そのまま閉じてしまう日々が続いた。


でも、彼女のことを忘れることはできなかった。


そして——

約7日後、彼女からメッセージが届いた。

とても嬉しそうな文面だった。


僕がそれを見たのは、翌日だった。


最近になって、彼女は当時何があったのかを話してくれた。

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