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響かない影の独白

6月の清峰高校、梅雨の雨が降る。藤原結奈(高2)は図書室でオカルト本を読み、麻生翔太(高2)をちらりと見る。翔太は佐倉美月(高2)と笑い合い、恋人だ。結奈の胸が締め付けられる。「好きだけど…諦めなきゃ」高橋葵(中3)や麻生琴音(中2)と親しく話す翔太に、居場所がない気がする。夜、鏡に映る自分に囁く。「私、いる意味ある?」もう一人の結奈が現れ、笑う。「翔太に本音を言えばいい」

一年前、結奈、高1。 図book室で翔太にオカルト本を貸し、「これ、面白いよ」と話した。美月姉妹の思春期症候群騒動で翔太が図書室に来た時、結奈は彼の優しさに惹かれた。琴音の不登校事件では、翔太を遠くから見つめ、好きを自覚。3か月前、麻生玲(20歳、大学生)の二重人格事件で、結奈は図書室で翔太に「また変なこと?」と話しかけたが、美月との絆を見て諦めようとした。

教室、結奈のドッペルゲンガーが現れ、翔太の机にメモを置く。「放課後、図書室で話したい」髪を少し結び、結奈より柔らかい笑顔。琴音が言う。「結奈、なんか…可愛いバージョンいる?」結奈は震える。「私じゃない…」オカルト好きの自分が引き起こした気がして怖い。ドッペルゲンガーが廊下で独り言。「翔太に伝えたい…でも、結奈が苦しむ?」翔太は美月に相談。「美月の時も、琴音の時も、玲の時も、俺一人じゃ無理だった。結奈、どうすりゃ…」美月が言う。「結奈、怖がってる。私もSNSで否定された時、同じだった」

佐倉家、美月が葵、琴音、玲、雫(玲の分離人格)を集める。結奈が言う。「翔太が好き。でも、邪魔したくない」ドッペルゲンガーが図書室で翔太に近づき、「結奈は諦めるけど、私は君が好き」と囁く。葵が言う。「あの結奈、めっちゃ可愛いけど…なんか切ない」翔太が言う。「俺じゃ解決できねえ。みんな、頼む」美月が頷く。「結奈の本音、聞こう」

図書室、雨音が響く。結奈が俯く。「翔太が好き。でも、美月や葵、琴音と話す彼に、私の場所はない。諦めたいのに…諦められない」ドッペルゲンガーが言う。「君も好きでいいよね? 私は君の苦しみを代わりに…」結奈の心が軋む。中学の時、誰も見ない教室、夜にオカルトに逃げた孤独。「私、誰にもいらない?」ドッペルガーが涙ぐむ。「結奈、君が消えたら、私も消えるよ」美月が手を握る。「私も『消えろ』って言われた。翔太とみんながいたから」葵が言う。「姉貴に嫉妬して、自分を嫌った。でも、私でいいんだ」琴音が言う。「不登校で死にたかった。姉貴と翔太に『隠すな』って言われた」玲が言う。「雫と私は分裂したけど、みんなで乗り越えた」雫が笑う。「結奈、君の本音、悪くない」

浜辺、雨が止む。結奈が言う。「好きでもいい。でも、自分を嫌いたくない」ドッペルガーが言う。「私も、君と一緒にいたい。君の笑顔、好きだよ」美月が言う。「結奈、君の場所、あるよ」葵、琴音、玲、雫が頷く。量子干渉が収束。結奈の心が共鳴し、ドッペルガーが統合。

梅雨晴れの校庭、結奈が笑う。「ありがとう、みんな」美月が頬を染め、葵が笑う。「結奈、仲間!」琴音が言う。「めっちゃカッコいい!」玲と雫が笑う。翔太が言う。「うるせえな。けど、悪くねえ」結奈が呟く。「私、諦めない。自分も、好きも」

END

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