4. 王女様を丸洗い
長年引き籠ったターマの国を出てきた甲斐があったわ。
おもしろいものを拾った。山の中を全裸でうろつく、のじゃロリ王女様。
長く生きて来たけど、こんなにおもしろい子は初めてだ。
しばらく、おもちゃにしよう。
そのリーザちゃんが、お風呂に来てから、様子がおかしい。
脱衣所で、うろうろそわそわしてる。他人とお風呂に入るのに慣れてないのかしら。
王女様だもんね。
メイドのミーに、パンツまで剥かれて、小脇に抱えられて行った。
私も、あれを全裸に剥いてやりたいわね。
洗い場で、全身をメイドさんに洗われている。自分で洗えないのね。
王女様だもんね。
私も、あれを丸洗いしてみたいわね。
アンは、うちのメイドになる前は、ダモン王国の近衛騎士だった。
そんなアンが隠し持っている剣と、リーザのメイドが持っている剣はそっくりだ。同じ紋章が入っている。鞘の色なんかは違うから、階級か所属が違うのかしら。
「これは、地元の言葉なのじゃ、のじゃロリではないのじゃ」
なんて言ってたし、リーザちゃんは、ダモンの王女様に違いない。
ダモン出身の歌劇隊も、似たような言葉を使っていたもの。
彼女は、お湯が黒いのに感動している様子。
湯舟の中で、リーザちゃんはミーの膝に抱かれている。
さすがに、甘やかし過ぎに見えるけど。
王女様だもんね。
私も、あれを膝の上に乗せてみたいわね。
お風呂から上がると、部屋に食事が用意されていた。
リーザちゃんは、熊肉のステーキを、とてもおいしそうに食べる。
幼い子が、おいしそうにご飯を食べているのはいいわね。
私も、幼い子だけども。見た目だけは。
食事の後で、リーザちゃんが、革袋に詰まった金貨と宝飾品を見せてくれた。
金貨は、当然ダモン金貨よね。宝飾品には、ダモン王家の紋章が入っているわね。
「もう無い国の金貨が、なんで使えるのじゃ?」
金貨は金で出来ているのだから、どこの金貨であれ同じ価値よ。
中には、ひどいものもあるけど。
ダモン金貨なら、金の純度も高いし、問題はない。
そんな事も知らないのね。
王女様だもんね。
この子は、金貨何枚で買えるのかしら?
ターマ市でもダモンから亡命した貴族が、ダモン金貨を使っていたけど。
そういう無防備な貴族は、数日後には姿を見なくなった。
ダモン金貨を人前で出すなんて、自分の出自を明かす愚かな行為。
ダモンの革命軍は、王族だけでなく貴族も粛清しているのだから。
でも、金貨は首都まで行けば換金できると思う。あそこまではダモンの革命軍も来ないだろう。
宝飾品の換金は無理だろう。
王家の紋章入りの宝飾品なんか出したら、自分が王家の生き残りだと明かす事になる。
商人の中には、人の命だって売り買いする連中が居るのだ。次の日には生きていない。
リーザちゃんと同じ学校に通う事になった。
「ほんとに、王女様は世間知らずなのね」
なんて、ついて言ってしまったら、わしも学校へ行って勉強するのじゃ、と言い出した。
自国の金貨の価値も知らないおばかさんなのだし賛成よ。
学費で、手持ちの金貨が全部無くなると知って、絶句していたけど。
エタナル学園は、平均的な庶民の生涯賃金と同じ位、お金がかかるからね。
だからこそ、高レベルの教育が受けられる。
それでも、ターマ山越えというリスクに見合う価値があるのか、不安だったけど、リーザちゃんのお陰でお釣りが来るわね。
あそこは、寮もあるし、従者も一人連れて入れるし。リーザちゃんと通うのに、都合がいい。寮は同じ部屋がいい。金貨何枚あれば、裏工作ができるかしら。
二人ともダモンの特級暴力装置を従者に従えているし、誰にも邪魔されずに、楽しい学園生活を送れそうだわ。
まずは、ワワンサキまでじっくり時間をかけて、一緒に旅をしてやりましょう。
「わしは、しょうがくせいになるのじゃ!」
なんて言ってたけど、どういう意味かしら。リーザちゃんは、時々意味不明な事を言う。
王女様だもんね。