39. 学校とは遠くにありて思うもの
ドラゴンの巣の地下から埋蔵金が出て来た。
古代ドラゴン金貨の詰まった木箱が13個。
中身よりもやばいのが、木箱の方じゃ。
「これって、きっと6000年以上前に埋めたのよね?」
ここは人類不倒の地、埋めたのであれば、ここが山になる前である可能性が高い。中身も、6000年前に滅んだとされる国の通貨じゃしな。
「6000年間も土の中で腐食しない木材なんてあるかい?」
「そのようなダークマター…異世界のデータベースにも…ない…」
古代ドラゴン金貨は、奇跡を起こすラッキーアイテムなんじゃそうじゃ。巫女に配ったら喜んでおった。激レアではあるが、手離すやつが居ないので、値はついてないそうじゃ。うっかり銀行に持って行くと、普通の金貨として買い取られる。
巫女のディレイも、ネックレスにしておる。それは、わしが神馬を返す時に、置いていったやつじゃのう。偶然にもラッキーアイテムを授けておいて良かったわい。無かったら、こいつらキナコ村に辿り着けなかったかも?
堕天使達は、中身よりも箱を欲しがったので、3個ほど与えた。
残りの金貨と箱は、ダモン金貨と同じ地下金庫に詰めて、わしらはキナコ村を、一時放棄した。再建はするが、今は人手が足りない。
近衛騎士をまとめて里帰りさせたのは失敗じゃったかもな。ヤキトリが残っていなかったら、詰んでたわ。女神も天使も、女大怪獣も死んだらどうなるかは、分からんからな。
当面は、ワワンサキで都市建設ゲームをするので、拠点をワワンサキに移した
学園跡地前に、新築マンションが建っていたので、まるごと借りた。堕天使達も、異世界ホールディングスのオフィスをこっちに移した。家具も調度品も備え付けなので、パンツだけ持って来れば引っ越し完了なのじゃ。
近衛騎士が里帰りから戻って来るまで、全員休暇、自由行動!
「あんたは、お勉強しましょうね」
ぐぬう。わしはターマのひよこおばばに捕まってしもうた。この世の知識に関しては、あんぽんたんなわしなので、ありがたいのじゃがー。じゃがー。
「設定厨乙。ぷげら」
クリームちゃんのスパルタ授業に参加したハナちゃんが余計な事を言った。
「ぐっ、人のトラウマを的確に…!」
クリームちゃんは、過去に聖書を執筆した事がある。500ページに渡って、世界設定について延々述べたせいで「聖書は設定資料集じゃない」と、ずたぼろに批判されたそうな。
わしの神話は、クリームちゃんには任せられないかものう。ハナちゃんも、デタラメ書きそうじゃが。
わしは設定資料集好きじゃけどね?仕様書とか設計書も好きじゃよ。異世界エンジニアの記憶を持っておるからかのう?
「小学校にも行っていない、あんぽんたん共が、好き勝手に言ってくれるじゃないの」
そういうクリームちゃんも行ってない。1万6歳のくせに行っていない。ずっと6歳児の見た目なんじゃから、行く暇あったのでは?
「学校は、友達を作りに行くところだ。もう用はないね」
「は?あんたは友達じゃないわよ?」
「え?……」
「家族でしょ」
クリームちゃんに逆襲され、マジ泣きするハナちゃんなのであった。ツンデレばばあ乙。
「クリームちゃんは、なんで小学校に行こうと思ったのじゃ?」
「金づるがわんさか居るかと思って。エタナル学園は、お金持ちしか通えないでしょ?」
「君は、銀行員だった僕よりも俗物だねえ…」
わしにとって学校とは、なんじゃろう?この世界の常識を学ぶ場所?友達を作る場所?情緒を育む場所?
行くのだるいわー。いじめとかあるしー。
「この国に、小学校というものはありません。9年制の学校を小学校とは呼びません」
気を取り直したクリームちゃんが授業を再開した。ターマ商人は高速再起動じゃ。時は金なり、なのじゃ。
「中二もないの?」
「中二病を患っている人は居ますが、中二病とは言いません」
高校も大学も無いし、予備校も塾もないんじゃと。
「高校生の青春は?制服でいきったダンスしたり、インターハイ目指したりは?」
「いきっただんす?地域や会社のコミュニティが盛んなので、スポーツの全国大会もあります。ライブハウスや小劇場も沢山あるので、文化的な活動の場所にも困りません」
ほえー。やっぱ、この国は、よくできてない?
「研究機関も沢山あるよ。貴族の賛同さえあれば資金に困らないから、役に立たなさそうなのも沢山あるね」
実際の事は、ハナちゃんが詳しい。
「形而上生物研究会ってのがあってね。堕天使同士の掛け算とか研究しているそうだよ」
「かけざん?」
「意味が分からないなら、気にしない方がいいんじゃないかな」
研究成果は、薄い本で発表されるんじゃろうか?
「座学も飽きたわねぇ。王女様を使った実験でもしましょうか?」
「な、の、よ?」
一番学校に向いていないのは、クリームちゃんだと思います。




