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屋根裏にいるのは、ハクビシンなんかじゃない

 ネズミなんかじゃない、ハクビシンなんかじゃない。

 お(うち)の屋根裏にいるのは、ヒトだ。男の子だ。わたしとの二卵性双生児で一緒に生まれたお兄ちゃんだ。むかしは、双子が生まれると、忌み嫌って片割れ(かたわれ)余所(よそ)にやったり、捨てたり・・・・・特に、男女の双子は前世で駆け落ちした二人の生まれ変わりだからと、潔癖症の家では見るも無残な末路が生まれたばかりのふたりの赤ん坊を待ち受けていた。

 

   でも、きっと、おかあさんは、そんな振る舞いが出来なかった。

   だって、()()()()()のおかあさんだもん。


 だから、わたしたちふたりを連れて、怖いお家(おうち)を抜け出して、遠い遠いこの土地までやってきて、団地のように同じ顔して並んでる切妻屋根の分譲住宅を買って、二階屋の窓をはじめからなかったように潰して、外からも中からも見えない梯子段を拵えて、お兄ちゃんをそこに隠した。

 女の子のわたしでさえ、こんななんだもの。男の子のお兄ちゃんはもっと口数少なく、忍耐強いから、そちらに選ばれたんだ。


   でも、それが、お兄ちゃんでなくて、わたしだったとしても、きっと上手く続いていく自信はある。


 たとえ、そこが外からは見えない小さな明り取りがひとつだけの、見えてる景色が、7軒先の受験勉強で悶々としていつも閉め切ったターコイズブルーのカーテンだけだったとしても、あたしが外に遊びにいってる間しか階下に降りられず、「あの仔が急に帰ってきたら危ない」からと、基本は食事もおトイレのことも屋根裏で済ませるようになっていて、おかあさんとの短いお喋りと明るい外の景色を遠巻きに眺めてることしか出来いとしても、きっと、上手く続けていける。

 あたしたち三人の結束は固いから。この世に一つだけの三人の家族だから。


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