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きっと、わたしが、逃げられるようにしてあげる  

 わたしは、ほかの家なら二階家のつくりの、大きな屋根裏のある平屋で、おかあさんとふたりで暮らしている。大人のひととの繋がりはおかあさんとだけだったけれど、外の大人のひとたちが他の人との繋がりで拵える顔の数がどれだけあるかを見抜ける、おませな能力が備わっている。
 大人は、その人に向けた別の顔を作るたび、顔に焦げ茶色の竹筒が刺さる。5本、6本どころか顔がみえなくなるくらいの竹串だらけのひともいる。大人は大変だなと思う。
 けれど、おかあさんには、それがない。おかあさんは、箱入り娘。わたしを外にやっても、自分はお家の中にずっといる人。
 おかあさんの毎日の往復は、階下と屋根裏だけ。屋根裏には、わたしの双子のお兄ちゃんが住まっているから。おかあさん、危ない家族のいるところからお兄ちゃんを助けるため、赤子のわたしらを連れて、この家に逃れたんだから、お兄ちゃんは隠さなけりゃいけない。娘のわたしにもそれは隠さなくちゃいけない。
 かわいそうなおかあさん、そして、大好きな、たったひとりの、お兄いちゃん。
 だから、わたしも、おませな女の子をどんどん成長させていっても、この家の秘密が分からないふりをしてなくちゃ、いけないの。
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