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3度目の人生のはじまり

今回は、少しばかり久しぶりな本編です。

新しいキャラも出てきます!

ちなみに、名前は自分が一番しっくりきたものにしています。(つまり感覚。意味などない!)

どうぞお楽しみください!!

「ふぎゃぁ、うぎゅ、ぎゃあぁぁ!」

自分の口から、びっくりするほど大きな声が出た。これが、俗に言う赤ちゃん転生か・・・

 私は、まだはっきりとしない視界を前世で身につけた『身体強化』で働かせた。この部屋は、薄暗いが、衛生的には問題なさそうな、小綺麗な雰囲気である。家具はほとんどなく、ベッドと机と小さな灯がある程度だ。『気配察知』も使ってみた。近くには、一人の女性が横たわっており、ベッドの上からも気配を感じる。大人一人・・・いや、子供二人の気配かな。

 私は、薄い布を何重にも巻かれており、とてもあたたかく、心地よく感じた。

 そんな環境だと、当然だろう。私は突然睡魔に襲われた。まぁ、赤ちゃんだしね。私はそのまま、眠りについた。




 周りの何かが動く音で、私は目覚めた。

「ふーん。こんかいは、おかーさんににたこがうまれたのね。どれくらいもつかしら?」

 誰かの声が聞こえた。誰だろうと思ったら、目の前に顔がにゅっと覗き込んできた。4.5歳ほどの少女である。幼いのに、知能のあるような喋り方・・・もしや、この子が転生者では?!そう思うと、私は体全体に身体強化をかけてガバッっと起き上がり、声をかけた。

「あなたも転生者?」

「あ、あかちゃんがしゃべった?!いや、そうじゃなくて、なんでてんせいしゃだとしってるの?!というかあなたもっていった?!じゃああなたもてんせいしゃなの?!」

ふわふわとした金髪と、淡い緑色の目をした外見からは想像できないほど饒舌な子だな・・・

いや、とりあえず、質問に答えよう。

「私はいろいろあって、転生者の近くに、転生することになったんだ。だから、私以外の転生者を探してたの。つまり私も転生者だよ。」

私は、そう言いながら、彼女にも身体強化をかけた。

彼女は、どこか安心したように笑った。

「こんなところに生まれて、もう手詰まりかと思ってたから他にも仲間ができてよかったー。あれ?なんか喋りやすい?」

「身体強化をかけたんだよ。」

私がそう言うと、彼女は目を輝かせた。

「ふおぉぉ……お貴族様だ。私、前世では、もともと平民だったから、魔法、使えないんだよね。私も魔法使えるのかな?」

「私と同じ世界だったらの話だけど、平民でも魔法は使えるはずだよ。使い方を知らないだけで。現にあなたからは魔力を感じるよ。・・・教えようか?」

目の色が期待に満ちている。キラキラでとてもかわいい。彼女は迷うことなく言い切った。

「お願いします!!」

 

 私は、その言葉にうなずいてから、気になっていたことを聞いてみた。

「私が生まれたときにそばにいた人が、お母様何だよね?」

「そうだよ!毎日朝早くから、昼ごろまで何処かに行ってるの。あと、ここはたぶん合法ではない研究所だと思うの。いち早くここから逃げなきゃだめなの、きっと。」

「なるほど・・・脱出経路は、またあとで考えるとして、この部屋にはもう一人いるよね?夜中、ベッドの上に、子供二人の気配を感じたんだけど・・・」

彼女は、ポンと手を打ち、そういえば、と話し始めた。

「自己紹介をしてなかったね。私は、お母さんから、リリと呼ばれているよ。お姉ちゃん呼びは好きじゃないから、名前で呼んでくれると嬉しいな!それと、お母さんの名前は知らないの。あと、ベッド上には私の双子の弟がいて、ハルと呼ばれているよ。ねぼすけさんだから、まだ寝てるのよ。たぶんだけどお母さんとハルは転生者じゃないと思うな。」

「じゃあリリちゃんって呼んでいい?年上だし、呼び捨ては気が引ける・・・」

「うん。いいよ!これからよろしくね!」

 

 私は、最後にとても大切な相談をした。

「私ね、転生者だとお母様に、伝えたほうが良いと思う。早いうちにここから逃げるんだったら、ある程度の信頼は欲しいし、情報も欲しい。ただ、厄介なことを背負わせてしまうことになるんだよね・・・どう思う?」

リリちゃんはパッと明るい顔をした。でもあからさまに、私を励ますような顔だった。

「そうだね、それが最善だと思うよ。それに、厄介なことを共に背負うのが家族なんだよ!・・・イマイチ分かってなさそう。お貴族様には、家族愛とか、なかったの?」

私は、記憶の中の、お父様を思い出した。

・・・分かりづらいけど、優しかったし、無関心だったとはいえ、金銭援助もしてくれた。家族愛、あるよ?

「私の幼い頃に、お母様は、病死。お父様とは、最低限の関わりしかなかったよ。それでも、必要なことには、お金を出してくれたよ?家族愛は、他の家よりあったほうなんだけど・・・」

すると、なぜかリリちゃんが、怒り出した。そして笑った。

・・・感情表現豊かだな。

「もう!それで家族愛なんか語られるとたまったもんじゃないよ!私がこれから、ゆっくりと教えてあげるね!」

私は、今まで向けられたことのないような笑顔にとまどってしまった。でも、これだけは、言わないと、とワンテンポ遅れて反応した。

「ありがとう、リリちゃん。これからよろしくね。」

私はそういった後、すぐに睡魔に襲われた。赤ちゃんボディはつらいよ・・・

そんな思いが顔に出ていたのだろうか。リリちゃんが、ふふっと笑った。

「心は違えど、体は赤ん坊なんだから、いっぱい寝ないと成長できないよ?ぐっすり眠ってね。・・・おやすみ。」

リリちゃんは、私の額にちゅっとキスをして、私の背中をトントンと軽く叩いた。キスなど初めてで、眠気でまどろんでいなかったら、赤面死していただろう。リズミカルな、背中トントンが妙に心地よくて、睡魔に抗えず、すぐ眠ってしまった。



 そして、次に起きたときには、お母様と、リリちゃん、ハル兄(仮)に見つめられていた。しかも距離がすごく近い。

・・・気まずい。とても気まずい。が、私はお腹が空いていたのだ。本能的に、お母様に手を伸ばしながら泣いてしまった。

・・・一生の不覚である。

読んでくださりありがとうございます!

今回は初めてのお姉ちゃんができました。

次は、この地での名前などの基本設定と、お母様との脱出計画や情報収集を書こうと思っています。

次回もお楽しみに!

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