神との話し合い
新米なので、誤字、脱字など、多いと思います。ごめんなさい!
今回は神との話し合いです。
どうぞお楽しみください!
「ガヤガヤしていてうるさいです!代表者を1.2名ほど残して帰ってください!」
私はそう叫んで場が収まるのを待った。たくさんの人たちは服装は違えど何かオーラをまとっていた。間違いなく神か、それに近しい存在だろう。だんだんと人数が減っていき、最終的に2人の男女が残った。
「うるさくしてしまい、ごめんなさい。わたくしはエルナディ。こちらがセルナート。わたくしたちは夫婦神よ。」
エルナディと名乗った女神は淡い金髪に濃い金色の目をしている。セルナートという男神は銀髪に薄い青色の目をしている。
「私は………ミズキといいます。」
どちらの名を名乗ろうかと迷った末に、前世の名を名乗った。嘘は付いていないものの、少し後ろめたさを感じてしまう。そんな私を見たセルナートは、
「私達は主に、異世界同士をつなぐ仕事をしている。つまり転生や転移を自在に操ることができる。」
と意味ありげに笑った。
「もしかして、エルナディ様とセルナート様は私の転生に関わっているのですか!?」
私がそう問うと二人はにっこり笑って肯定した。
「そうですよ。あなたの願いを聞き、わたくしたちの手で転生させました。あと、名は長いので省略して呼んでもらって結構ですよ。」
「…………お二人はどのように呼び合っているのですか?」
「エル、セルと呼び合っている。」
「響きがお揃いで気に入っているの。」
二人は目を合わせて微笑んでいる。そんな二人を見て私は、
「では、ナディ様、セト様とお呼びしてもよろしいですか?」
と言った。
「その理由は?」
「エルとセルは私が呼ぶべきではないと思ったからです。お二人だけの特別な愛称みたいなものでしょう?」
そういった瞬間エル様が頬を染めて抱きついてきた。
「なんて可愛らしく健気な子なのでしょう!!理解が追いつかなくともおかしくないこの状況で気をつかえるだなんて!もちろん許可します!セルもよいですね?」
「あぁ。構わない。本題に入っても?」
「脱線してしまいましたね。ごめんなさい。お願いします。」
セト様は軽く頷くと話し始めた。
「ここは神の領域なのだが、君はなぜ自分が呼ばれたのか分かっているか?」私は無言で首を横にふる。
「ここは私が説明します。あなたの願いを聞いたわたくしはセルと相談して転生させました。暮らしやすいようにと思い、侯爵家令嬢にし、王族と結婚するように取り計らいました。その責任はわたくしにあります。今回呼んだのはその謝罪をしたかったのです。申し訳ございませんでした。」
ナディ様は頭を下げた。私は一瞬動揺し、言葉を失ったが、すぐに気を取り直して
「謝罪を何も魔法が使えてとても楽しかったのです。転生を願ったのは私ですし、悪意があるようには見えませんので気にしません。ナディ様、顔を上げてください。」
と言った。ありがとう。そこで神々からの提案なのですけど…」
「神からの提案?」
「えぇ。ミズキ、もう一度転生する気はない?」
私はまた言葉を失った。私が暮らしたどちらの世界も楽しく、充実した日々を送っていたと断言できるが、未練がないわけではないのだ。母と暮らしてみたいと何度も思ったことがあった。だがこんな私的な理由で神々を振り回していいのだろうかと決めかねている私にセト様が
「そこまで考えなくとも良い。今まで君には迷惑をかけてきたのだ。やりたい、やりたくないだけ教えてくれれば後はできる限り君の希望どおりに進めよう。」
と言った。少し考えて、私は答えた。
「・・・やりたい、です。」
「わかったわ!下準備はわたくしたちに任せなさい!いいように取り計らうわ!」
「ありがとうございます。」
「では転生する世界の説明をしよう。イメージは君の前世で言う、中世ヨーロッパのような感じだ。文化も似たような感じなので馴染めない、ということはないだろう。」
中世ヨーロッパか・・・あまりピンとこない。私の心情を感じ取ったのか、ナディ様が補足説明をしてくれた。
「地球ほど科学技術もなく、諸事情で魔法もなくあまり発展していないのよ。食事や街の景観などは整っていますが、少々不便に感じると思います。」
「お二人とも説明ありがとうございます。発展途上ということは自分好みに変えることができますね。楽しみになってきました。」
鼻歌でも歌い出しそうな心地でいると、ナディ様から声がかかった。
「そんなによろこんでもらえてよかったわ。話は変わるのですけれど、わたくしからも一つ良いですか?」
「いいですよ。なんでしょう?」
「あなたの容姿についてです。」
「?第一印象で嫌われない程度ならなんでも良いですよ。ナディ様とセト様で決めてほしいです。」
少し上目遣いでおねだりをしてみた。正直超どうでもよかったので丸投げしてしまった。
「任せてください!」
「任せなさい!」
「髪はわたくしとお揃いにしましょう!」
「エル、銀髪少女のほうが美しくないか?それに性格から考えてもこちらのほうが彼女に合う。」
「くぅ・・・。では、目はわたくしの色にしましょう!」
「銀色に金色だと、少々色味が良くないな。青みがかった銀髪に目は君の色でどうだろう?」
「いいですね!顔もミズキの清らかな心に相応しいものにしましょう!きっと似合いますよ!ミズキもそれでいいですか?・・・ミズキ?」
「っ!はい!大丈夫です!」
(どうでも良さ過ぎて少しボーっとしていた。ナディ様は気づいてなさそうだ。セト様、ジトッとした目を向けないでください・・・
「なら良かった!他に聞きたいことや要望はあるかしら?」
「では、あの…その世界で私にしてほしいことはありますか?私をもう一度転生させてくれて、さらにいいように取り計らってくれて……恩返しがしたいんです!」
私がそう言うと二人は、虚をつかれたというような顔をしていた。セト様が早く復活して私に話しかけた。
「ありがとう。……そうだな。では魔法の普及の手助けを頼みたい。」
「魔力の普及・・・ですか?」
「あぁ。その世界では、過去に大きな戦争があってな。勇者と呼ばれた者が、魔王と呼ばれた者を封印したのだ。それと同時に勇者が争いの種となった魔法の存在を記憶から消してしまって、どうすべきか難儀していたのだ。魔法の存在を見せつけ、使える者を増やして欲しい。もちろん、できたらで構わない。」
もちろん私は即座に答えた。
「やります!やらせてください!」
せっかく役目ができたのだ。張り切っていこう!と鼻息を少々荒くしている私を、セト様は心配そうに見つめた。
「既に他の転生者に、その旨を伝えて広めるように話しているので、あまり頑張らなくとも良いからな?」
私はセト様の言葉にゆるく頷き、曖昧に答えた。
「できる限りにしますよ。それより、他にも転生者がいるのですね。できれば一人くらいは近くにいてほしいです。誰かの近くに転生することは可能ですか?」
「可能だが・・・君にはお詫びとして新たな人生をプレゼントという形をとっているが、他の者は生まれる場所など完全ランダムなのだ。どのような状況が好転するかは分からぬからな。場合によっては過酷な状況に陥るかもしれない。それでも良いのならば・・・」
「構いません。一人で手探り状態は怖いですから。」
「了解した。」他にはあるか?」
そう聞かれたので、一番気になっていたことを話した。」
「では一つだけ・・・私の従魔や契約精霊たちは、どうなりますか?本来異世界転生ではお門違いなのは分かっているんですけど、とても仲良くしていたので気になってしまって・・・」
「できる限り考慮しよう。・・・おそらく連れたまま転生はできぬであろうから、転移という形になると思う。転生したら、近くの教会に来て、祈りをささげて欲しい。その時に転移させよう。」
予想以上の好待遇だ。転生したら、頑張ってお役目を果たさないと、と思った。
「ありがとうございます!訪ねたいことは以上です!」
「では、さっそく転生しましょう。魔力を分けますね。」
そう言ってナディ様は手を伸ばしてきた。よく分からなかったので聞いてみる。
「魔力を分けるとは?」
ナディ様は胸の前でポンっと手を打ち答えた。
「言ってませんでしたね。魔力を分けると、神からの見分けが付きやすくなります。普通は親から遺伝するものなのです。魔力上はわたくしたちが親になりますが、構いませんか?」
「特に不都合がないのであれば、大丈夫です。よろしくお願いします。」
私がそう言うと、二人は私の片手をそれぞれ手に取り、両手で包みこんだ。
「「我らエルナディとセルナートは、この者に魔力を分け、この者に関する全責任を保護神として負うことを誓います。加護を与え、見守り、導くことを、最高神の名に懸けて誓います。」」
唱え終わると、三人の頭上から光が降り掛かってきた。あまりの美しい光景に目を奪われたが、少したってから、気を取り直して二人に、話しかけた。
「先程のは何だったのですか?全責任を負うってかなり物騒ですが・・・私が神からの怒りを買うかもしれないのに。」
すると、セト様は何を言っているのだ?という顔になった。
「君が神からの怒りを買うことはありえないので大丈夫だ。それより、そろそろか?」
「そろそろって?・・・なんだか、少し、眠くなって、来ましたぁ・・・」
いきなり、睡魔が私を襲った。・・・だめだ。抗えない。
「抗わずに眠りなさい。今から君を転生させる。・・・三度目の人生を楽しみなさい。」
「今度こそ幸せになれるように取り計らうので、まずは教会に来てくださいね。でないと何もできませんから。気をつけて、わたくしたちの愛娘。」
「「この者に加護を。」」
二人からの、激励と、注意喚起と、加護を聞き終えた瞬間、私は眠りについた。
やっと次から新しい世界です。
でも次は、「前世、前前世の私」という番外編を書くつもりです。
次もお楽しみください!
※結局、ミズキ(仮)の容姿は、超絶かわいい美少女になりました。(笑)