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第1話 転生者、宮内孝太郎

 目を開けて最初に映った景色は空だった。

 続いて雑草の感触が、鳥の鳴き声が、情報として脳に入ってきた。

 理解できたことはここが文明から程遠い自然の中だということと、僕はそこで仰向けになって寝ていること、そして右手に何かを持っていることだけだ。

 とりあえず上半身を起こしてみる、なんだか夢から醒めた直後のように頭が働かない。

 えーと、僕は何でここにいるんだろうか。


 確か直前の記憶は帰りのバスに揺られながら、

 あー来月から高3かー、受験勉強やだなー。

 とか考えていて、それから……

 あれ? そっからの記憶がないな? どういうことだ?

 必死に思い出そうとしてみても、やっぱりそこからの記憶がない。

 バスに乗る→しばらく車内で考え事をする→大自然の中で爆睡

 マジでこうなったの?噓でしょ。


 考えてもキリがないので今度は右手に持っている物を見てみると、それは全く身に覚えのないものだった。

 ソレは、紙を水平に巻き取って紐で止めたもの。

ネットで見た中世で使われていたとされるスクロールを彷彿とさせる。

僕はこのスクロールが今の状況と関係のある物だと何故か確信できた。

 だからこそ、恐れることなくそれを開けた。


 個体名:コウタロウ・ミヤウチ

 種族:人間


 能力値:▼

 生命力:25

 魔法力:30

 抵抗力:20

 攻撃力:15

 精神力:50


 レベル:1

 所持スキル:『従者創作(キャラクリエイト)』『転生の助け』

 所持スキルポイント:100

 獲得可能スキル一覧へ▶


 実績:『特異転生者』


 ふ、ふーん。

 なるほど、うんうん、よーく分かった。

 いや分からんけどね。


 ただ、ここに書いてある事を事実とするなら、僕は転生したらしい。

 いや、死んだ覚えはないから正確には転移かな?

ラノベとかでこういうのをよく見るが、まさか自分がそれに巻き込まれるとは。


……ヤバイ、不安で胸が張り裂けそうだ。

元いた世界に帰れないかもという不安。

本当に死んだしまうかもという不安。


いや、いや違う。僕は楽観主義だ、この状況を好意的に受け取らないと。

 とりま、『転生の助け』というものを見てみよう。


『転生の助け』

「この世界はそっちの世界の異世界転生系物語で語られている設定と大体一緒だよ。違う部分は自分で確かめてね。あと、元居た世界の君はつじつま合わせのために死んだから。

 追伸 一番近くの町は真西の方向だよ、送られてくるスターターセットを使って生き延びてね」


 う、噓だろ?それだけ?

 そんな感傷に浸る間もなく、目の前に何かが突然現れてドサッと積みあがった。

 出てきた物は三つ、鞄、鉄の剣、そして数十枚の金貨が入った袋。

 あの『転生の助け』によるスターターセット……だろうか。

 どこから来たのか、誰が送ったのか、とか疑問が絶えないが、多分考えても答えはわからないんだろう。


 まず僕がやるべきことは町にたどり着くことだが、その前にやりたいことが一つある。

 スキル『従者創作(キャラクリエイト)』これがどんな能力かは説明を見ずとも僕はすぐに分かった。


まずは現実を見ず、これだけに意識を向けよう。




「主様に命を頂いた恩に報いるべく、このムサシ貴方様に忠誠を誓います」


 目の前で跪く青年をみて安堵した。

 ふう、何とかできた。

 僕が貰ったスキル『従者創作(キャラクリエイト)』は名前、種族、外見などを作成すると、そのとうりに命を持ったキャラクターを創る事ができる能力。

 授業中の暇つぶしとしてノートにキャラクターの設定とか考えて書きまくっていたから、すぐにピンときた。


 これを使用して最初に創ったのは魔人、名前はムサシだ。

 一応あと二人作成することができるっぽいけど、追々作っていけばいいだろう。


「さてムサシ君、きみには僕を護衛する任に就いてもらう、そのために必要な武器として、これをあげよう」

「これは剣? よろしいのですか?」

「ああ、もちろん、期待しているよ」

「ありがとうございます!」


 まあ、その剣はさっきどこからともなくやって来たものなんだけどね。


 これでひとまず準備は整ったので、町へ向かうことができる。

 ムサシという超常現象も目撃しちゃったし、もう僕が異世界転生したことに疑問をもつことは出来ないようだ。

ならもういっそ楽しもう。

これが僕の新しい人生だ!



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