表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/61

18.本音察知

少しでも興味をもたれたらブックマーク・評価をお願いします。

この鬼人族の女の子は森の奥にある集落からやって来たらしい。

ここにやって来たのはビジアンヌからの神託を受け取ったからとのこと

「ふ~ん、そうなの。」

いや、この子が嘘ついていると思ったわけじゃないよ。

実際この世界に来る前にビジアンヌに合っているし、転生(スライムだったのは気にならないけど)もさせられるみたいだから神託が出来てもおかしくないと思う。

ただこんな小さい子が魔物の闊歩する森を抜けてここまで来る理由が分からない。

こんな世界で生きているんだから魔物の危険性は分かっているだろうし、そうでなくとも家族に止められるはず。

「・・・ってなんで俺この子と会話が成立してんの?」

スライムの俺には発声器官がないから声を出すことはできない。

それにラノベで有りがちな念話スキルも持ってないのにおかしいよな。

『旦那、今更気が付いたんっすか。』

だって、今まで会話ってヤスとしかしたことないじゃん。

それで違和感がなかったんだよねぇ。

「それは私が本音察知のスキルを持っているからだと思う。」

気配察知ならラノベでよく出てくるから何となく想像できるけど、本音察知ってなんだ?

本音と建て前の本音か。

つまり建前の言葉ではなく本音が分かるってことなのかな。

でも本音が分かるって言っても俺は喋ってすらいないのになぜ?

ま、会話できるから良いか。

「それで何でこんな下水道まで来たの?」

神託があったからと言って危険を冒してまで森を抜けた理由はなんだ?

それに人族の鬼人族に対する扱いはどうなってるんだ。

態々森の奥に集落を作っているくらいだから友好的とは思えない。

つまり森を抜けるどころか人族の街に来ること自体が危険なんじゃないのか。

「さっきも言ったけどビジアンヌ様からの神託があったからだよ。」

「建前は良いんだよ。本音を言えよ。お前だけ俺の本音を知っているのはズルいぞ。」

『おお、女の子を恫喝するなんて鬼畜の極みっすね。』

え、ちょっと強い口調で問いただしただけで鬼畜の極みかよ。

恐喝でもしようものなら一体なんになるんだ。

「ゴ、ゴメンなさい。スライムさんはビジアンヌ様の使徒様なんですよね。」

「どうだろ?一応ビジアンヌからお願いされてこの世界に来たけど使徒かどうかは分からん。」

世界の環境を戻してくれとは頼まれたけど、特に使徒になってくれとも言われてない。

そもそも断ったらそのまま別の魂へとリサイクルされていたわけだから断れなかっただけだからな。

適正うんぬんとは言ってたけど分からん。

転生した結果がスライムなのは予想外だった恨んでないけど感謝もしきれないちょっと微妙な状態ってのが今の俺の心境かなって今は俺の心境のことは聞かれてないか。

「そうなんですか?でもビジアンヌ様にお願いされるなんてスライムさんは凄いスライムさんなんですね。」

「えっ!?そ、そうかな?」

『ええ、旦那は凄くエロいスライムっす。エロスライムよりさらにエロいエロエロマジックスライムっすからね。』

フン、ヤス如きに何を言われようと今の俺の心は揺るがないぞ。

なぜなら初めて女の子に凄いって褒められているからな。

スゴイかぁ。

スゴイと言う言葉がエロく感じるのはきっと俺の種族がエロエロマジックスライム何てものになったからで決して俺のせいではない。

「そうです。神様にお願いされるなんて私聞いたことありません。」

「そっかぁ。俺って凄いかぁ。そうだよな、神様に頭を下げられてるんだもんな。」

『記憶の改ざんは頂けないっす。ビジアンヌ様は頭までは下げてなかったっす。』

大事なのは神様が俺個人にお願いしたと言う事実なんだよ。

「そんな凄いスライムさんにお願いがあるんです。」

「ビジアンヌからの頼みがあるからなぁ~。」

『特に何をするか決まってないのに如何にも忙しいフリをしてるっす。この子に恩を感じさせて雁字搦めにするつもりっすね。さすがエロエロマジックスライム!考えることが鬼畜っす。』

こいつは一体何を言っているんだ?

ちょっと恩を売って俺の手伝いをしてくれると嬉しいなぁってくらいしか考えてないぞ。

最大限の利益を得るためにちょっとした交渉術を使っただけだ。

大丈夫きちんと手助けする。最近はやりのウィンウィンってヤツだよ。

「た、確かにビジアンヌ様のお願いをおろそかにするわけにはいきませんがあたし達にもスライムさんのお力が必要なんです。」

アレ?

ちょっと恩を感じてもらうために言っただけなのにこの世の終わりみたいに顔面蒼白になってるよ。

『そりゃそうっすよ。ビジアンヌ様はこの世界を作った神っすよ。その神の願いを聞いている旦那の行動を妨げたとなったら自分だけでなく鬼人族がどうなるか考えたら恐ろしくなるっすよ。』

神の願いを妨げたらどうなるかなんて分からん。

『想像力のない旦那のために説明するとこの世界にカルト信者しかいないと考えたら少しは分かるっす。』

カルト信者だけ・・・・コワ!

え!?ここってそんな世界なの?無事に生きていける気がしないぞ。

『つまり神のお願いを妨げるのはトンデモナイことなんすよ。』

とにかく俺の発言は死の宣告みたいになってるわけね。

軌道修正できるかな。

「え~っと、ビジアンヌも困った人は出来るだけ助けてやってくれって言ってたから話だけでも聞かせてもらおうかな。」

世界の環境を戻すことは原住の生き物を助けることでもあるはずだ。

拡大解釈かもしれないけどそうだ。

『本音は?』

どこから手を付ければ良いのか分からないから取りあえず困ってる人を助けてみよう。

「ありがとうございます。」

女の子が額を地面につけるほど深々と頭を下げる。

恩は間違いなく売れたけど、これは交渉成功なのかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ