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1.夢に美女が出てきました。

「お~い、キミキミ。そろそろ起きてくれないかなぁ~。」

美しい女性が丸い球体に話しかけている。

彼女は別に頭がおかしいわけではない。

彼女はいわゆる神であり、球体は前世が人であった魂というだけだ。


うるさい。

俺はやっと会社という牢獄から解放されたのだ。

だから決まった時間に起きる必要もないし、なんなら1日20時間くらい寝てても問題ない。

「なんで死んでいるのに寝てられるの。しかも神である僕が声をかけても起きないなんてどんな魂だよ。」

なんてうるさい目覚まし時計だ。

最近の目覚まし時計は声優さんが声を入れていたりするらしいけど、こんなにブツブツうるさいのなら俺には必要ないな。

勝手に音が止まると思ったけど、止まらないなら面倒だけど自分で止めるか。

う~ん、どこに目覚ましあるんだ。

いつも頭の上の手が届く範囲にあるはずなのにないぞ。

「ヒャ!なんか触手が出てきた。特殊な魂を取り寄せたけどここまで変な魂とは想定外。」

目覚まし時計はどこだ、どこにある。

手の届く範囲にないのか。もうちょい手が伸びそう。

ん?手が伸びる?

お、これか?なんか柔らかい気もするけど・・・あっボタンがあった。

ポチっとな。


「アンッ、なにするんだこのエロ触手野郎!優しく起してやろうと思ったのにもう許さん!これでもくらえ!《神のイカヅチ》」

女性の指先から数百の雷を超える電流が丸い魂に向かって放たれた。

「ギャー!!!!!!!」

その身に数百の雷を受けた魂は肉体がないにも関わらず絶叫をあげ、色がないはずの魂は真っ黒に焦げて女神の足元に転がり落ちた。


「な、なんだ。地震か!火事!カミナリか!それとも母さんの襲撃か!」

いきなり身体が痺れたかと思ったらバチンって大きな音がなったぞ。

痺れなもうないけど身体はどうもなってないか。感覚的には問題なさそうだけど目視でも確認しよう。身体は資本だ何かあっては大変だ。俺は健康体で長生きしたいのだ。

「う~ん、真っ暗で手のひらさえ見えない。暗いから明かりのスイッチまでは行くのも危ないな。」

自慢じゃないが俺の部屋にはマンガやら机やらカバンやたいろいろあって真っ暗な中を歩くのは足を捕られる危険がある。

それに真っ暗ってことはまだ夜ってことじゃないか。

健康で文化的な生活をするためには十分な睡眠は必要不可欠だ。食欲・睡眠欲・性欲と三大欲って確か言われていたはずなくらい睡眠は大事なのだ。

それを邪魔するとはなんてポンコツな目覚まし時計だ。

最近は快適な目覚めを促す目覚ましがあるらしい。

会社という牢獄から解放され健康で文化的な生活をおくるためにはそういうキチンとした目覚ましが必須アイテムだ。朝が来たら買い替えに行こう。

朝を迎える前に予定を決めるとはなんて計画的なんだ。

よし朝までもう一眠りだ。

「ファ~、お休みなさい。」

「折角起したのに寝るな!」

「誰だ!泥棒か!俺の部屋には金目のものはないぞ!」

くそ、真っ暗で全く見えない。この状態で襲われたら抵抗できないぞ。

とりあえず証拠を残す為にスマホの録画機能をオンにするかってこう暗くちゃどこにスマホがあるのか分からん。打つ手ないしか。

いや、タダではやられんぞ。ムダな抵抗でも抵抗してやる。

必殺やぶれかぶれパンチを喰らえ!

「え!キモ!触手が増えた!しかも何かウネウネしてるし、こいつ起きたと思ったらなんなのよ。」

クソ!泥棒め!どこにいる。

あいかわらず真っ暗だからどこにいるのかさっぱり盛らん。俺には気配察知みたいな便利な能力はないから真っ暗だとどうにもならんのだ。

あ~、イライラしてきた。

「クソ!なんでこれだけ時間が経っているのに目が慣れないんだよ!っていうかそろそろ朝になってもいいはずだろ!」


「急に大声出さないでよ!真っ暗ってこんなに魔力が溢れているのに何言っているのよ。・・・もしかして魔力が見えないの?う~ん、ちょっと痛いかもしれないけどガマンしてね。えい。」

女神が可愛らしい声を上げると何本もの触手を生やした気持悪い魂が激しい光に包まれた。


「な、な、なんだ、なんだ。眩しいのに眩しくない。」

急に何か得たいの知れないものが身体の中で感じて驚く間もなく体外に放出されると今まで真っ暗だった視界が急に真っ白い光に塗りつぶされた。

目が慣れてきたのか時間が立つに連れて段々と周りの様子が見えて来た。

しかし、どうも様子がおかしい。

まず、ここは俺の部屋ではないと言うか部屋ですらない。どこまでも永遠と白い空間が続いているようにみえる。

真っ黒でなにも見えないから真っ白しか見えないに代わっただけとも思ったけどそうではないと感じる。

それから俺の目の前に触手が見えるって言うか見えないけどあるって言うかとにかくあることは分かる。

そして俺はなんと宙にに浮いている。

目が見えるようになったので朝になったら確かめようと思った身体の様子を目視で確かめようとしたのだが身体がないのだ。

これには困った・・・いや困らないのか?

身体がなくても生きているなら寧ろ便利かも、食事も要らないだろうし排泄も必要ない。

身体がないから病気にもならないだろう。つまり金がひつようないから働かなくて良い、ラッキー。

そろそろ現実と向かい合おうか。

なんかとんでもない美人さんが目の前にいるんだよな。ストレートの黒髪に大きなオメメ、大きいけど大きすぎない胸にくびれた腰、細すぎずほど良い肉付きを持つスラッとした肉体をもつ俺の欲望じゃなくて理想をすべて兼ね備えたような美女がいるんだ。

「そうか、コレは夢か。夢から覚めるためにはもう一度寝ないとな。お休みなさい。名も知らぬ美女。」

「だから寝るんじゃないって!」

なんだこの美女は俺を夢から覚ましたくないのかさすが俺の夢だな。

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