表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/48

第23幕

 一方その頃。

 城の裏門を通る、粗末な荷馬車の姿があった。

 裏門は、主に資材搬入や使用人の出入りに使われる。ただし今日は、舞踏会で振る舞われる料理の食材を運ぶ馬車などが、頻繁ひんぱんに出入りしていた。

「止まれ」

 その馬車も例に漏れず、裏門を守る衛兵にまず止められた。

 御者台に座っているのは、素朴でにこやかな顔立ちの青年だ。

「まいど」

 その青年が屈託くったくない笑みを浮かべながら、搬入許可証を衛兵に提示した。積み荷は、確認するまでもなく荷台いっぱいのカボチャだった。

「追加のカボチャか。そういやぁ厨房の連中が足りねえってボヤいてたな」

 衛兵に付き添われて、馬車は城門をくぐる。裏門には数人の衛兵が駐屯ちゅうとんしており、こういった搬入出の際は側で監視するよう定められているのだ。

「急な注文だったんで、ちょっと時間食っちゃいましたよ。間に合って良かった」

「気にすんなよ。むしろ祭りの当日だってのに、よく用意できたもんだな」

「そりゃ、我らが王のためとありゃ、カボチャの方から畑を飛びだしてくるってもんで」

「ちげえねえ」

 ひとしきり笑いあっていると、馬車は城の裏手にある厨房の勝手口に辿り着いた。

「すんませんけど、厨房の人たちを呼んできてもらえませんか。カボチャ下ろすの手伝ってもらいたいんで」

「判ったよ」

 気のいい衛兵は、御者の頼みを快く引き受けて、厨房に向かった。

「今だよ」

 御者が小声で呟く。

 荷台の下から人影が飛びだし、風のような速度で裏庭の垣根に身を潜めた。衛兵が厨房の者を連れて戻ってきたのは、その直後である。

 カボチャを全て下ろすと、荷馬車は衛兵と共に元来た経路を引き返していった。

「幸運を祈ってるよ、レラ」

「ん、何か言ったか?」

「いえ」

 決して後ろは振り向かず、メイガスはそっと呟くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ