Heirate mich!
今回はエリィの戦闘訓練回です。
「いくぞエリィ!」
イノシシの魔物”ワイルド・ボア”の突進をステップでかわしながら横腹を蹴り上げ、エリィのほうへ飛ばす。
「エリィ、冷静に対処するんだぞ。戦闘に一番大切なのは状況を見極める力っていうのを忘れるな!」
「大丈夫!」
ワイルド・ボアがエリィに突進する。その速さは時速40kmだが、体重が150kgもある巨体の突進をもろに受けるとただではすまない。
エリィはゆっくりと無駄のない動作で構え、鋭い目でワイルド・ボアを見据える。
ワイルド・ボアとエリィの距離が15mほどになったとき、エリィがオビディエントに魔力を流し込み、右足で地面を蹴る。それだけで軽く地面がひび割れ少し離れたとこにいた俺のところまで衝撃波が届いた。
エリィの攻撃をかわそうとして避けきれなかったワイルド・ボアに、まっすぐオビディエントを振り下ろす。その一撃でワイルド・ボアの胴体は二つに断たれた。
「剣の調子はどうだ?」
ワイルド・ボアから核を回収して戻ってきたエリィに声をかける。
「すっごくいいよ!まるでアルヴァが剣を操ってくれてるような感じ!」
「剣に授与魔法をかけたからな。その剣には俺の剣術が記録されている。エリィがもっと強くなったらそれに合わせて剣も強くなっていくぞ」
そう言って俺はエリィの頭を撫でながら褒める。エリィは気持ちよさそうに目を細めて体を俺に預けている。
授与魔法とは、授与者の記憶を付与することで使用者を補助してくれる便利な魔法だ。学校でよく使われている。習うより慣れろということだ。
オビディエントには俺の剣術を付与してあるので、戦闘経験のないエリィでも普通に戦える。
「このまま下層に行くか?少し休憩したいか?」
「大丈夫。早く強くなってアルヴァと一緒に戦いたいから!」
「張り切るのはいいんだが、危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ」
「うん!」
その後もエリィは順調に魔物を倒していき、8階層あたりから俺のアドバイスなしでも戦えるようになってきた。飲み込みがとても早く、俺の言ったことをちゃんと実践できている。
14階層からは俺のサポートなしで、一人で魔物に対処できるようになった。オビディエントの補助のおかげというよりも、俺の役に立ちたいという想いがエリィを強くしているのだろう。
「次は魔法を使いながら戦ってみるか」
「そんな器用なことできるかな?」
「大丈夫。体が剣術を覚えているから、エリィは魔法を使うことに集中しろ。」
「アルヴァがそう言うなら....うん、やってみるよ!」
「最初は身体強化を使うといい。発動が簡単で、下層に行ってもずっと使えるから便利だしな」
「なんで下層に行ってもずっと使えるの?」
「他の魔法と違って魔力を流せば流すほど強化レベルが上がるから、本人が強くなればなるほど身体強化できるレベルも上がっていくってわけだ」
「へぇ〜」
「まぁ、詳しいことは後で説明するとして、早速やってみようか」
俺はちょうど襲いかかってきたネズミの魔物”ラットマン”を蹴り上げて宙に浮かせる。
「エリィ、今だ!」
エリィは脚に魔力を流して脚力を強化し、宙に浮いていたラットマンに一瞬で近く。初めてにしては魔力の流し方がうまい。そしてオビディエントを斜めに斬りあげる。だが、斬られる寸前でラットマンが避けたため致命傷にはならなかった。
確実に仕留めれると思っていたエリィは驚いてバランスを崩し、着地に失敗する。
「シャァァァァァアアアアアアア!」
ラットマンがすさまじい咆哮をあげながら、まだ体制を立て直せていないエリィに向かって飛びかかった。
「あ、あぁ....」
エリィはパニックになって動けない。
「エリィ、落ち着け」
ラットマンに向けてキラスの引き金を引く。
ドパァン!
ハンマーが薬莢のプライマーを叩き、火薬に着火する。着火した爆発を利用して弾丸がライフリングで回転しながら銃口から射出される。だが、このままだとエリィが怪我をする方が早い。
しかしそれは”普通の弾丸”であれば、の話だ。
俺が今撃ったのは”シュネル弾”というものだ。
シュネル弾は通常の弾丸より火薬の量を多くして加速魔法を付与した弾丸で、射出時の最高速度は通常弾の5倍以上になる。
射出されたシュネル弾は、音の壁を突破して凄まじい衝撃波と音を撒き散らしながらラットマンをぶち抜いた。シュネル弾をくらったラットマンの胴体は木っ端微塵になる。
「大丈夫か、エリィ」
まだパニック状態のエリィに声をかけて安心させようとするが、
「アルヴァ....あるゔぁああああああ!」
声をかけられたことで緊張がほぐれたのか、子供みたいに泣き出した。
「もう大丈夫だ。でも、次からは気をつけろよ?相手が格下でも次の一手を考えろ....って聞こえてないか」
「うわぁあああああああああああん!!」
俺はしばらくエリィの頭を撫で続けた。
* * * * *
エリィが泣き止んだ後、俺とエリィは宿に戻ることにした。
迷宮を出る前、隠蔽魔法でエリィの泣いて赤く腫れた顔を隠したときに
「その魔法で髪の色とか瞳の色変えれないの?」
とエリィに言われ、俺は驚愕した。
なんで今まで気づかなかったんだ.....
そんなこともあって、今日は注目の的になることもなく宿に戻れた。
* * * * *
「エリィ、明日なんだが、家を買うのに付いてきてくれないか?」
ご飯を食べ終わって剣の練習をしていたエリィにそう話しかけた。
「アルヴァの頼みごとだったらいい...って、え!?家!?」
なぜエリィがこんなに驚いているのかと言うと、家の値段は3500万Geld以上と高額なため一般人には手が出せない。そしてもう一つ。家を購入できるのは軍に所属しているか所属していた者、貴族、そして婚約者だけだ。
俺たちは軍にいたこともないし、貴族でもない。つまり、俺が家を買うということはエリィと婚約するということ。
「エリィ、俺と一緒に残りの人生歩んでくれないか?お前を幸せにできるかわからないし、危険な目に遭う方が多いかもしれない。俺が守りきれる保証もない。それでも、俺と一緒に....」
「....嫌よそんなの」
俺のプロポーズはエリィの冷たい一言で返されてしまった。絶対に承諾してくれると思っていた分ショックだ。
「私はアルヴァのお願いを全て叶える気はない。でも、それが”命令”だったら聞いてあげなくもないよ?」
「エリィ、お前....」
「私に”命令”してみてよ。アルヴァは私にお願いしたことはいっぱいある。でも、命令してきたことは一度もなかった。いつも私には選択肢があった。だから、たまには私に命令してよ」
少し照れながらそうエリィは言った。
「エリィ...俺と一緒に.....来い」
「アルヴァの命令じゃ仕方ないなぁ〜 いいよ、一生ついて行くからね!死ぬときも一緒だよ!」
「ったく、お前ってやつは....っほんと敵わないよ」
その後、今後の予定についてしばらく話してから、一緒にお風呂に入った。
俺にタオルを剥ぎ取られたエリィの反応がとても可愛かった。
少し展開が早すぎる気がしますが、私にはこれが限界でした。
コメントよろしくお願いします。