世界の理から外れた存在
アルヴァ = リーコックはどこまでも普通だった。魔法学も、運動も、魔力量も普通。才能と呼べるものはなくて、だけど誰よりも優しかった。でも、ある日を境にそれは大きく変わった。学校の帰り道で見つけた綺麗な石。それはほんのりと青く光っていた。アルヴァは引き寄せられるようにして、気付いた時にはその石に触れていた。触れた瞬間、莫大な魔力が溢れかえった。しかし、すぐにとても耐えられるものではない痛みがアルヴァを襲った。とてつもない痛みに気絶しかけるが、溢れ出る魔力によってそれは許されなかった。やがてアルヴァの心は徐々に死んでゆく。何時間たったのか、日はすっかり落ちていた。その時には、あの痛みは嘘みたいになくなっていた。その時、アルヴァは気づかなかった。自分は、もう以前の自分ではなかったことに。自分は、バケモノだということに...