保安隊海へ行く 46
朝食を終え、部屋に戻った誠。キムは荷物の片づけを終えて、景色を見るべくベランダにいた。島田は入り口のそばで屈伸をしている。
「早くしろよー!」
サングラスをかけた島田が上目遣いに誠をにらむ。誠はそそくさと隣の和室に入ると、かけてあった儀礼服をバックに突っ込んだ。
「それだけか?荷物」
「ええ、とりあえず一泊ですから」
そう言うとジッパーを閉めてバッグを小脇に抱えた。
「おい!キム!行くぞ」
ガラスをたたいて島田がキムを呼ぶ。赤とオレンジが基調の派手なアロハを着たキムがガラスを開けた。
「暑いなあ、さすがに。ビールでも飲みたい気分だな」
「止してくれよ。お前、帰りの運転手じゃねえか」
島田はそう言うとキムにバッグを渡す。
「それにしてもいい天気だな」
そう言いながら自分のバッグを小脇に抱える。履いているのはビーチサンダル。
「もしかしてプライベートビーチとかですか?」
ホテルの裏の、時期にしては閑散としているように見える浜辺を見た誠がつぶやく。
「いや、アイシャのおばさんが『プライベートビーチなど邪道だ!』とか言って隣の一般海水浴場に行くんだと」
「誰がおばさんよ!誰が!」
いきなりドアが開いて胸だけを隠しているように見える大胆な格好をしたアイシャが怒鳴り込んできた。彼女はそのまま島田の耳をつまみ上げる。
「どうやって入ったんですか?」
島田がそう言う後ろから、一枚のカードを持った要が入ってくる。
「一応、このホテルの名義はアタシだからな。当然マスターキーも持ってるわけだ」
「聞いてないっすよ!」
涙目になりかけた島田を離したアイシャが誠の手をつかんで引っ張った。
「さあ先生!行きましょうね!」
紺色の長い髪をなびかせながら誠を引っ張って廊下に出るアイシャ。廊下には遠慮がちにアイシャの荷物を持たされている淡い緑色のキャミソールを着たカウラがやれやれと言ったように二人を眺めていた。




