保安隊海へ行く 145
「盛り上がってるねえ」
そう言って再び喫煙所に顔をだす要。露骨に不機嫌そうな顔になるカウラを無視してそのまま誠の隣のパイプ椅子に座った。
「一応、アタシが監督だ。確かに外野と控えのキャッチャーがいないんでな。チーム力はそれなりだな。岡部、肩は自慢できるんだろ?」
挑発的に流し目を送る要に、岡部は低い笑い声を立てた。
「まあ見ててくださいよ。正捕手の座を取りに行きますから」
「いいねえ、強気で。誠。こんくらいの勢いがねえとこの商売やっていけねえぞ」
食堂から水を運んできたレベッカからコップを受け取ってゆっくりと飲み干す要。
「確かにメンタルの弱さは克服すべき課題だな。あらゆる意味においてな」
要に対抗するように、机に置かれていた水を飲み干すカウラ。そんな二人を心配そうに見守るレベッカがいた。
「漫画研究会もあるって聞いたんですけど……」
「いよいよ私の出番かしら!」
「来たよ、ややこしい奴が」
要の吐き捨てた言葉を無視して悠々とアイシャが喫煙所に現れる。
「レベッカさん、歓迎しますよ。誠君は絵師でもあるんだから、後で私が原作の漫画を読ませてあげるわね」
「止めといた方が良いぞ。コイツは脳みそ腐ってるから」
「そう言う要ちゃんだって、昨日、レベッカちゃんの胸揉んでたじゃないの」
「レベルの低い言い争いは止めろ。頭が痛くなる」
誠がどう声をかけようか迷っているところに中華なべをおたまで叩く音が食堂に響き渡った。
「はい!茹で上がりましたよ!」
パーラの一声でとりあえず悶着は起きずに済んでほっとする誠。一同は食堂に入り込んで席をキープする。西とエダ、そしてこちらの喧騒にかかわらないように厨房に侵入していたキムが、手にそばの入った金属製のざるにそばを入れたものを運んできた。
「はい!めんつゆですよ!ねぎはたくさんありますから、好きなだけ入れてくださいね!」
サラはそう言いながらつゆを配っていく。
「サラ!アタシは濃いのにしてくれよ」
「そんなことばかり言ってるから気が短いんじゃないのか?」
再びにらみ合う要とカウラ。誠は呆れながら渡された箸を配って回った。




