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保安隊海へ行く 105

「ほんじゃあ行くぞー」 

 投げやりに歩き出す要。アイシャ、カウラもその後に続く。誠も仕方なく通路に出た。当番の隊員はすでに寮を出た後で、人気の無い通路を西館に向けて歩き続ける。

「しかし、ずいぶん使いかけの洗剤があるのね」 

 エダが持っている洗剤の瓶を入れたバケツを見ているアイシャ。

「ああ、これはいつも島田が掃除と言うと洗剤を買ってこさせるから、毎回掃除のたびにあまりが溜まっていってしまうんですよ」 

「ああ、あいつ。そう言うところはいい加減だもんな」 

 窓から外を眺める要。繁華街らしくビルの壁くらいしか見ることが出来ない。とりあえず西館一階の目的地へとたどり着いた。奥の部屋にカウラが、その隣の部屋にアイシャが、そして一番手前の部屋に要が入った。

「なんやかんや言いながら気があってるんじゃないか」 

 ポツリとつぶやくキム。

「エダ、ベルガー大尉を手伝ってくれ、俺はクラウゼ少佐の手伝いをする」 

「私は誠ちゃんの方が良いなあ」 

 入り口から顔を出すアイシャをキムと要がにらみつける。

「お前と誠を一緒にすると仕事しねえからな。アニメの話とか一日中してたら明日の引越しの手伝いしてやらねえぞ」 

「わかりました、がんばりまーす」 

 すごすごと引っ込んでいくアイシャ。誠は左腕を引っ張られて要の部屋に入り込む。

「とりあえず雑巾絞れ」 

 そう言って雑巾の入ったバケツを突きつけてくる要。誠はすぐに彼女が何もしないつもりなのがわかった。

「わかりましたよ」 

 誠はとりあえず二枚の雑巾をバケツに放り込んで絞り始めた。要はその様子を見つめている。

「西園寺さんも手伝ってくださいよ。ここ西園寺さんの部屋になるんですよ」 

 二枚目の雑巾を絞る誠。正直心の中の半分以上は要の行動には期待していなかった。しかし、思いもしないほど素直に要は搾った雑巾を受け取った。

「まあ一回ぐらいは手伝ってやるよ。一回ぐらいはな」 

 要は雑巾を手に持つと、そのまま部屋の畳を拭い始めた。

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