憂鬱な入学式3
ゆさゆさと揺らされ、
眠っていた意識が現実へと起こされるのがわかる。
「・・・おっ、・・・き、て」
あーやだ、ごめん。まだ眠いもうちょっと。
それとは裏腹にまだ寝たいという欲望が勝り、再び眠りにつこうとすれば、ゆさゆさと揺らされ呼び起こされる。
「おき、て・・・くださいっ」
いやこの体勢地味にきついけど、結構ねれるの。
だからもうちょっと。
頭上から聞こえてくる誰かの声に向けて、心の中で語りかけるが、それはどうやら叶わないらしい。
「起きてくださいっ、入学式終わりましたよ!」
その言葉に一瞬で眠気が飛び、はっと目がさめる。ぱちりと開いた瞳と同時に思わず立ち上がれば、それなりにきつい体制で眠っていた為に我慢が来てたらしい足がガクッと震え痺れ出す。
そのまま体制が崩れた私は前の椅子におでこにガンッとがあたり、しゃがんだまま悶えた。
「いったぁ・・・」
おでこをさすりながら痛みに悶えていれば、頭上から「だっ、大丈夫?」という弱々しい声聞こえた。
「え?」
奇跡的にとれなかったらしいフードと眼鏡越しに見上げれば、其処には少し気の弱そうな雰囲気を持つ綺麗な顔した男の子が私を見ていた。
なんとか痛みから復活した私と先ほどの男の子が入学式会場を後にして次に向かうのは、座席表の紙に書かれていた教室である。彼曰くその紙にかかれている教室が今日から私達が通う事になる教室らしく、そして偶々私と彼は同じクラスメイトらしいので一緒に行くことにした。
同じクラスだね。と何だか誇らしげに笑う彼が可愛くて、思わず、よろしく。といえば彼は更にその笑みを深くし嬉しそうに笑う。うん、やっぱり可愛い。
私と彼以外の生徒は先に教室に移動してるらしく、どうやら私は入学式全て寝て過ごしたらしい。あとで母からげんこつですよねーあーわかります。
入学式が終りほとんどの生徒が先生の指示のもと自分の教室に移動する中、全く動くことなく座ったままの私に気付いた彼が態々起こしてくれたらしい。凄い優しいじゃないか。
素直に「ありがとう」と伝えれば、どういたしましてと笑われる。
どうやら入学式早々寝ている子がいてびっくりしたらしい。
「なんだかミオちゃん見て、急に力抜けたよ。僕あんな緊張してた中で寝てるんだもん」
「あー・・・だって暇だったもん」
「嘘。あの有名な生徒会の皆さんも挨拶してくれて、凄い歓声だったよ?」
「ふぅん」
生徒会という物に有名とかあるんだ。
特に興味もわかないので適当に反応すれば彼・・・イオリ君は苦笑いを零す。
「生徒会興味ない?」
「あー・・・あんまり?」
そもそもこの学校自体に興味ないかもしれない。
そんな私に驚いた様に目を見開いた彼は何だか嬉しそうにくしゃっと笑う。
「ミオちゃん変わってるね」
最初の弱々しい雰囲気とは裏腹、仲良くなったら結構ズバズバ言うらしいイオン君に「お互い様」と舌だけ見える様に横から顔出しべぇっと舌を出した。