憂鬱な入学式2
はぁっと、今日何度目かのため息を漏らしたところで入学式会場についた。
会場にはいるなり、人気のいない隅により
わざと顔や髪の毛が見えない様に被っていた(制服のブレザーの下に着ているパーカーの)フードを取る。
その代わりに手早くリュックから引っ越しした際に母から頂いた眼鏡を取り出してこれを装着する。
この眼鏡は変装用の魔法道具・・・略して魔具と言われるもので。
一見、眼鏡をかけた私には唯単に眼鏡をかけた様にしか見えない・・・が、この魔具は自分以外の者には瞳や髪の毛の色が本来の物とは異なる様に見える代物らしい。
母曰くこの魔具は、
現役の巫女様だった頃に城下町を1人で移動する際、一般人には、ぱっと見ただけでは母だとわからない様にする為に偉大なるこの国の神官様が作って貰った物らしい。
この眼鏡をかけている時は、私の母譲りの白銀の髪と生まれつき持ってる金色の瞳はどちらも黒色として相手に認識される。自分では分からないが。
この眼鏡のおかげで引っ越ししてからも、明らかに黒や茶色が多いこの世界では異質であろう白銀の髪の毛と金色の瞳についてのお咎めは無く過ごせている。
いやあ良い物をくれたよね本当に。
眼鏡をかけた状態で少し離れた場所いた受付のお姉さんに話しかければ、自分の名前が書かれた座席表の紙を頂いた。
その紙と会場の玄関に立てられた看板にかかれた地図を照らし合わせれば、どうやら玄関近くいわば一番奥にある舞台からだいぶ離れた後ろの席が自分の席だと判明する。
あ、近いじゃんラッキーと思いながら早速座席を探し座れば、舞台前の席の人達は沢山生徒で埋まっているのに会場の真ん中から後ろにかけては椅子自体が少ない上に、座っているのも1人分席が空いた様に配置されている事に気づき思わず首を傾げる。
それにこの会場の真ん中から後ろ側の生徒はブレザーが黒に近い紺のなのに対し、真ん中から前、つまり舞台側の生徒のブレザーは赤色に近い綺麗な紅色のブレザーでスカートやズボンも彼等の方が凝っている。
何より両サイドの壁に立つ先生達は舞台側にしか寄っていなく、彼等・・・特に最前線に座る生徒達にしか視線を送っておらず、此方には見向きもしない。
「・・・あ、なるほど。前半分は金持ちか」
そして後半、つまり紺のブレザーの者達が平民なのだろう。
なるほどと納得したと同時にあらか様な格差の対応に思わず失笑する。
いやいや。
確かに其方さんは学費払ってるかもしれないけどそんな対応の仕方はないんじゃないの?
入学式そうそう気に入らない部分ができて思わず、むっ、となるがすぐに興味がなくなり今何時だろうと腕時計を見る。時計は8時半を指していた。
よし、後30分寝ようとフードを深く被り瞳を瞑る。入学式始まる前に起きれば大丈夫だ。
必ず起きれると根拠のない自信を持った私は、
すやぁっとおやすみ3秒で夢へと旅立ったのであった。