あいろんけいジンマシン
アイロン刑蕁麻疹
フジモト 智大 サクサク
世の中には二種類の人間がいる
いわずんば「男」と「女」である
しかし将来的には
女という生き物しかいなくなると言う
もしかしたら
男という物は
女に征服されようとする
滅ぶべき生き物だったのかもしれない
かく言う私は男である
「ねーーーきいてくださいよー」
その古本屋より古そうな部屋に
一人ただ座って難しい本というよりかは
分厚い書類に生真面目そうと言うか
神経質そうに何かを書き込んでいる男にたいして
尊敬というよりかは
どこまでも慣れ慣れしく
ブルドックというよりかは
子猫を思わせるように
その体を
邪魔そうにしている男にすり付けながら
そんなことを
言うなれば
OLと言うよりかは
チャラけた弾けた女子大せいふうの女が声をかける
しかし男はその神経質そうな顔によく似合う
と言うよりかは
眼鏡をて生まれてきたのではと言う感じの
線の細いメタリックの真四角眼鏡を直しながら
無視というか達で作業を何とか続行してはいるが
どうしても刻一刻と
このうるさい生き物のせいで
清楚なというよりかは
冷徹無比な顔に皺を刻んでいるのである
ついには
その顔はまるで蒟蒻のように振るえ
(聞いてーくださいー)
とまるで背中をその先輩に押しつけて
その机に押しつぶそうとしたその女にたいして
彼は懐から何か取り出すと
クルリと一気に回転イスを回す
そのせいで彼女はバレリーナよろしく
くるくると回りながら弾き飛ばされる
そして
「酷いですよー」
などと良いながら男の方を見たとき
「ッゲ」と
カエルがトラックにでもひかれたような声を出した
その男の手に出突き出されていた物
小さい少女が柿木から落ちている写真であった
「・・・まだ持っていたんですか」
男はようやく顔色が出始めた
それは白面の怪人のお面が笑ったらきっとこんな気色悪い物になるのだろうなと言う感じで
女は半ばひきつる笑みで
その写真をひったくろうとしたが、しかし男のほうがいくぶんも高く
軽く30センチの差はあるだろう
男の身長を言うなれば
それからさらにその長い腕で頭上高くあげているのだから
梯子や脚立三脚がない限り
女に勝ち目はない
ように思われる
「・・・先輩のケチ」
女はそう言ったそのとき
素早く男の後ろに回り込むと
なんと伝家の宝刀
「膝カックン」を繰り出したのだ
その瞬間意思せぬ事態に男の身長が
わずかに下がる
なまじ足も長い人間がよろめくので
そのわずかでもかなりとも言える
女はその瞬間を逃さず
男が仕事していたであろう机に素早くあがると
その写真をまるで忍者のようにひったくって
そのまま何をしにきたのか走っていずこかにに逃げていったのであった
「・・・・・・」
男はしってかしらずか
足音の方を見ずに
そのまま立ち上がると
別段膝どころかどこも床に体は着いていなかったが
それでも手で軽く払うと
そのまま何事もなかったかのように
また分厚い書類に、先ほどまでのように刻むような神経質な字を刻み始めるのであった
彼女の名前は
そう聞く場合
一体どういう状況仮名場合が多いのだろう
たとえば恋愛事情
たとえば鴨にしようと言う詐欺師
たとえば有名人を目の前に名前が分からない
たとえば
それこそ限りはないだろう
しかしだいたいは恋愛事情でことのほか困らない
なぜなら
世の中は二つしかない
即ち
男、そして女だ
だからといって別段用事も別のことがあるだろうが
しかし、じちゅうひゃく間違いなくそれ関係だ
世の中の誰がどうこうして調べたのではなく
僕自身そう聞かれたとき
どう考えてもその関連性の近い質問になるのだ
しかも百パーセント
これは一体どう言うことだ
僕は人に言えるほどではないが
生真面目に生きてきたつもりだ
しかしそのせいなのか
どうも不真面目な連中が周りをうじゃうじゃしている
もう少し僕もそれに習えばまともな人間が周りにでてくれるのだろうか
しかしそんなことは出来ない
しようとしても出来なかったからこの今の僕がいるわけで
もはやこれが僕だと言うことにしている
しかしなぜなんかといつも悩む
なぜだと
先ほど来た生き物は
僕の後輩である
迷坂 亀浦である
その名前はどうでも良い
人から見れば珍しいと言われてきたらしいが
しかし生まれたときからちくまで同じな奴のことである
今更何がと言いたい
そして奴は僕のストーカーのごとく様々なところに現れる
ふらりと寄った居酒屋
あまり行かない海外旅行先のビーチ
ふと急用を思い出して立ち寄った文房具や
とにかく僕が行くところに奴がいるのか
それとも奴のいるところに僕が行くのか
位の不運が僕にはある
かくして絶対的にそのせいなのか
僕に恋人が出来たことがない
そしていくら僕が誰かに告白しても
「あなたにはカメラちゃんがいるじゃない」の衝撃的な勘違いにより撃沈している
しかしカメラ曰く
「・・・・・それはとうまわしなことわりよ」と言う
そのような物なのだろうか
かくして僕は半ばもっと良い人間になろうとしてきたせいなのか
しかしどうして
こうも頭の固い人間になってしまった
そして今日も奴は現れた
今僕は大学生でも
ましては中学高校幼稚園児でもない
今僕がいるのは警察
いわゆる警視庁なのである
そこで僕は万年書類を整理するだけという
まさに僕のポジション的な
地味かつ的確さが求められる物についている
どうも僕という人間は繰り返しするようなことが向いているように思う
しかし奴、すなわちカメラによると
ただ暗に失敗することが嫌なのよ
と言われる
そうなのだろうか
ちなみに特に関連性はないだろうが
ぼくは猪年である
かく言うカメラは亀年では勿論無く羊でもなければ馬でもない
ちょこまかと動き
いつもうるさい奴らしく
生粋という言い方はおかしすぎるが「鼠」である
僕が猪年なのに慎重すぎるのはどういうことだろうと聞いたことがある
すると奴は
「十分猪突猛進型だけど」といわれ
果たしてどっちなのだと言わずにはいられないところである
しかし僕という人間はどう言うわけかしゃべることが出来ない
だからいつも手話か口の動きを見て話すことになる
・・・・・
そんなことを考えている内に仕事が終わった
別段あんなに膨大な書類が全て終わるわけではない
ただ時間になったのだ
僕はすぐに身支度を始めると
この警視庁でも奥の奥
誰も知らないくらい物置程度に
置きに置かれている場所に向かって
廊下からなにやら慌ただしい音が聞こえる
「・・・・・」
僕はまた来たかと素早くコートを着て表に向かう
どうせどこから逃げても見つかるのだ
そんな時間の無駄をするくらいなら奴と帰った方がまだ時間を得られる
僕はそんなことを思いながら歩くのであった
世の中には居酒屋という物がある
私たちは今居酒屋の二階にいた
「焼き鳥とゴーヤーチャンプル後生ビール二つジョッキで」
私が注文をし終えると彼が私をみた
「・・・・・・」
手早くまるでマネキンのような(マネキンは動かないが)
手の動きをして、私に伝えた
早く帰らせろ
全く持って意気地のない男である
少しは世間的に心を広く持ち
気分よく飲ませても良いものだ
特に目の前にあんな無愛想な男にはよくに合わないくらい良い子を
前にしたときは実にそうである
「・・・・先輩少し笑った方がいいですよ」
全く持って笑うと言うことをしないのは
全てに置いて納得することがほとんどなく
そのせいで笑いの壷が狭すぎて
笑うぞと決心してから笑うような構造になっていると私は読んでいる
どちらにしても失敗を恐れているせいで
なかなか感情の動かない人間である
「・・・・・・・・・・・・」
どうもよけいなお節介だったらしく
お冷やを口に含み
暇そうな人間達を睨むように外を見ていた
別段ここは個室ではないが
それでも四人くらいは座れそうな畳の上であり
その後ろには木の襖があった
「・・・・・・まあそう怒らずに」
私はすぐに来た生ビールのジョッキを先輩の方におくと
「それではカンパー・・」と言ってそのまま私は自分の口にそれを置くことになる
奴はそのまま誰とも器を合わせることなく口に含み見る見る間に流し込んでいった
奴は酒は人生をだめにする毒だと思っている
そのせいで酒は強いが酔うことを良しとしていない内なので
何とも何ともなのである
即ちどっちかと言えば
ファミレスでパフェでも良いようなどこか子供な面もあるが
別に居酒屋自体が嫌いではないらしく
見ていてその雰囲気に酔うことは好きだと言ってはいる
しかし酒に酔うとあからさまに軽蔑の意を見せるのでこちらもなかなか酔うという感じではない
そうなると何が楽しいのかと言われれば
それは勿論ほとんど誰とも口を利かない一緒にいない
そんな人間がそばにいて
その上
何となく心が落ち着くからに他ならないから自分は本当に馬鹿だと思う
いつものようにだれ一人酔わず
笑うわけでも怒るわけでも何もなく
ただただ時間を一時間きっかり過ごした後
「・・・・・」
では帰ると手短に言うと席を立つ
勿論手話であり
そして彼は私から千円を受け取ると足早にレジに向かう
何か何でも半分以上は払うところは少しありがたいところである
即ち二千五百円なら
二千円払い
三千円なら
二千円払い
一万三千円なら
八千円くらい払う
そして今日は
三千円だったのでこうなる
この形式がいつ出来たかは知らないが
しかし給料がでる前からこの形式だったので
何らかのポリシーがあるのかもしれない
私もいつまでもここで残った物を食べることもない
と言うか奴は自分の分はしっかりと食べた後席を立った
そしてなまじ私もなかなか食い意地はある方なので
そこに残る物はない
しかし、しかしなのだ
・・・・酔おうかしらと思う反面
伝票を持って行かれた私は
まあ帰りますかと
冷やを一杯煽ると
表にフレンチコートを羽織ってでたのである
「ではさようなら」
保育園児のような帰りの挨拶に
「・・・・」
手をうしろがたに振って帰っているのは
その挨拶を聞く前にあるきだしているわけで
全く何をやっているのであろう
と思いながら
私は奴の後を追いかけたり何とか
まず奴は
毎日決まったルートをほとんど歩く
というのも何かムシャクシャしたりすると
とんでもないところには行ったり
とにかく一晩中歩くこともある
全く持ってこうと決めたら突っ走るのである
さて今日は何もないだろうか
私は夜の街を歩く
時間は夜の七時過ぎ
まだまだという時間帯であるが
その時間帯を奴は
少し茶色がかったクリーム色のコートを羽織り歩く
そして一番に向かったのは
黄色い看板が目印であり
都会ではなくても全国津々浦々
二十四時間営業の
カバが目印
「ぴぽぽっく」である
別段、珍しいわけではないが
しかしあれがあるときはお決まりのようにあそこに入る
そして今は普段から通る道なのであそこに入る
普段通りである
そこで買うのは
アセロラヨーグルト二つ
牛乳ヨーグルト一つ
バニラ味のゼリービーンズ一袋
それと毎回違う味のアイス一つである
どうやら今日は少し乳製品が切らしたようだ
そう言う私は今どこにいるかと言えば
そのコンビニも真ん前に建っているアパートのようなマンション
「樵荘」の私の部屋で
お気に入りの富士ロンの双眼鏡
カメカメ10ー132である
全く持ってどんだけ乳製品が
と、いつも思いながら私は双眼鏡を置いてカーテンを閉めた
はぁーなにやってんだろと思いながら
私は今日、一日の日記を付けた後
明日の朝ご飯を用意した後
早くも就寝をしようとしていた
明日は早い
なぜなら明日からいよいよ事件を待かされることになったのだから
1「りんご事件」
世の中にはいろいろと困ることがある
しかし奴
即ち十道 戸笈においてそれはない
それは奴は楽しみという物がないからだと私は推測する
一見すると仏教を深めたような感じであるが
しかしどうなのであろう
奴は全てを単純化させる
物の見事に味気ないくらい
挨拶さえいらないなんて言い出しかねないような男であるが
そこはルールだと思っているらしい
「おはようございます」
私は開口一番
空気の流など完全にないような部屋に朝風のような爽やかな声をかけるが
しかしこの課にそれに返事をする物はいない
しかし私はさしてそれがあたり前のように
天高く頭上まで積み重ねられた荷物の中を進んで
お目当ての場所までたどり着くと
いつもならなにが楽しいのか知らないが
四六時中ここに来ると書いている分厚い書類ではなく
今日は昨日から設置された机二つ
そのいわば課長とでも言える場所に彼が座るでもなく
私が来るのを見計らったように起立していた
「・・・どうしたんですか」
私はその顔を見てそんなことを口走るが
「・・・・・・・・・・・・・・・」
奴はその口の早さより早く
その手を動かして私に物を伝えた
「今日から配属ご苦労
早速だが案件がある」
「何でも課」それが今日から配属される事務的係りである
普段は四六時中書類の整理
というより課はほとんどが書類整理の係りであるが
たまに余りにも人手が足りないとこちらにごくたまに依頼というか
応援を頼まれるらしいが
正直あまり気乗りがしないらしい
というか、ここに付属されて一度もそんな依頼はきたことがないと言う
そんな彼が今日は書類を机に置いていないと言うことは
少なからず私が来たから心を入れ替えて
少しは歓迎の一つでもなのかと思ったら
ものすごく不機嫌そうに手話を続けた
「・・・・今日は一件用事がある」
どうやら私のために少しここを案内してくれるからではなく
用件があるからは始めから片づけていたようである
「何なんですかそれは」
「(実は迷子が届けられた)」
「・・・・そんなのが内に来るんですか」
「・・・・(来た)」
「・・・・しかし迷子くらいここまで回してこなくても子供課が」
「そんな課はないが・・・しかしどうしてもと言われてな」
「・・・・どこにいるんですか」
「それがどうも・・・」
かくして私たちは彼
即ち先輩の来るまでその容疑者ならぬ
迷子者を引き取るためとある刑務所に向かっていた
「何で刑務所なんですか・・・というかこれお門違い過ぎじゃ」
「・・・・・・」
よけいなことは答えないとばかりに運転に集中しているが
単純に手話が出来ないからだ
「・・・・しかし何で刑務所に迷子がいるんですか」
「・・・・・」
かくして時間ばかりが過ぎていく
「・・・・・・・・・」
ついたぞ
奴はそんな手話を私にした
私は別段そんなこと言われなくても目の前にそれがあることは
わかるのだが
「・・・・どんな人なんですかね」
「・・・・・・・・・・」
「答えてくださいよ」
先にすたすたと進む一人の影法師みたいな身長の男
その後を達磨とは言わなくとも
少し小さすぎるくらいの女が後を追いかけた
厳重な警備の中
私たちは証明書を見せるとすんなり中に入る
門主さんに連れられてやってきたそこにいたのは
「・・・・・子供ではないですね」
「・・・・・・・・・」
始めから分かっていたのか
先輩はそれをただ見ている
わたしはと言えば
その正体に少なからずおどろきを隠せない
そこにいたのは猿なのだから
「これはどういう」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・どうやってどこに連れて帰るんですか」
「・・・・・・・・・・」
「どうするんですか」
「・・・・・・・・・」
動物園に連れて行くか
「動物園に連れて行くんですか」
「そんなところだろ」
「しかし私はもっと刑事らしい事件が」
「・・・早くお前がそれを持て」
「・・・・キバむいてますよ」
「・・・・親愛なポーズじゃないのか」
「・・・なら持って下さい」
「・・・服が汚れる」
「私だってそうですよ」
「前から動物が飼いたいって」
「・・・・・・魚です」
「生きている」
「あのー早くしていただけませんか」
門主さんがしびれを切らしてそんなことを言う
「あなたがやれば」
「なぜに私なのですか」
「・・・・汚れても良さそうな服じゃないですか」
「・・どういうことですか」
かくして首に巻かれた綱を持つと言うことで
私がその役を仰せつかることになる
「・・・なにやってんだろ私」
「なにもしていないだろ・・・猿を運んでるだけで」
そう言う奴は無駄にこう言うときだけ手が動く
その手話を軽く蹴ってやろうと思うが
「車があるからさき行っている」
と、逃げるようにさっていくのだ
かく言う私も急ごうとはするが
どうもからだが小さいせいなのか
それともこいつがいるせいなのか
いわゆる日本猿が、こちらを見て牙をまたむいている
・・・これ私がしなきゃいけないわけ
「それで何で私たちがこれをしているんですか」
「・・・・とりあえず刑務所の檻が一杯になったからうちに来るらしい」
「・・・・・あの部署は動物園ですか
檻の中にいた物をあそこに持ってきていいんですか」
「・・・・・・・まあ動物園が見つかるまでだろう」
「・・すぐ行けばいいじゃないですか」
「・・・いろいろあるんだろ」
「・・ところでなにをしたんですかこいつ」
「・・窃盗」
「・・窃盗」
「・・・つまりいろいろと盗んだということだ」
「いやそれくらいはしっていますが
しかしそれなら何でその時点で動物園に」
「・・・・それが実にずる賢いやつでな
鍵を開けるは、消火器を投げるは
象に落書きするは」
「・・・・・・・・」
「引き取り手がないんだと」
「それじゃあさっきのあのいろいろって言うには」
「まあ・・・難航するだろうな」
「どうするんですか」
「・・・・どうにかなるだろ」
「ならないでしょ」
「・・・・まあしかし、こう見たら・・なかなか可愛いじゃないか」
「そうですかね」
「そんなこというと怒るぞ」
「もう顔真っ赤にしてますけど」
「・・・・・良し行くか」
「本当に行くんですか」
「行かないと職務放棄だ」
「そうはいっても」
かくして二人と一匹を乗せて
車が本庁に着く
「これなんていって中に入れるんです」
「門主とは話を付けてあるし大丈夫だろ」
「大丈夫なんですか」
「なぜ疑う」
「・・・・・・・・・・」
猿の方を見るとまた牙をむいている
・・・・・・
「ご苦労様です」
私が挨拶すると
それこそ用意していたのか同じような感じの挨拶をかいす
「本当だ」
「早くしろ」
「はい・・・・早くしなさい」
私は床でいやよいやいやをする日本猿を無理矢理連れてあるく
「十通さん、すごいひとつかまえましたね」
私より二、三個上だろう婦人警官がそんなことをいって猿を見ている
その答えにたいしてなぜか肩をすくめる
「・・・・こいつ態度違いすぎないか」
しかしうしろからキャーなどという黄色い声援を受けながら進む方がまだいいように思える
これでもししろいめで見られてあるいた日には酒が不味い
私はある来ながらようやく仕事場まで戻ると扉を閉めた
「どこにくんですか」
「・・・」
首を傾げる
考えていなかったようだ
「・・・・また悪さするんじゃあないんですか」
「・・・・」
また首を傾げた
どうやらなにも考えていなかったようだ
「どうするんですか」
「・・・どう大君が面倒・・・」
「無理です」
「・・・・・・」
そのとき私が腕の力を緩めたせいだろう
勝手に猿が私の目の前を通り
私の真ん前に立って話していた
課長の方にするするとのぼってこちらに牙をむいた
「・・・・課長お気に入りみたいですね」
「・・・そうかな」
「なに照れてるんですか」
「・・・いや」
完全に照れている課長
不意にその猿が何かしたに手招きをしている
どうしたのかと課長が見ていたが
不意に胸ポケットにあるハンカチかと思いそれをとって上に持って行くと
どうやら違うらしく
猿はその課長の手を取ると
何と自分の頬へと導いた
「・・・・・・なにしてるんですか」
私の問に
課長は答えることをしない
どちらかと言えば猿もよく見ると
どこかしっとりとしたような目の気がする
「・・・・・・・・・」
「こら離れなさい」
私の横暴に
「キィーーー」
奴は待たしても口を大きく開けてこちらに牙をむくのであった
「・・・こらやめなさいカボチャ」
「・・・・何なんですかそれ」
しかしその課長の言葉が分かるのかそれは急激におとなしくなる
それどころかどこで覚えたのか直立して課長の方の上で敬礼をしている
「ここにいても良いが悪さをするな」
「きい」
それは先ほどの私に威嚇した声とは裏腹に
どこまでも優しく
本当に同じ声とは思えない
「良し行きなさい」
そう課長がそう彼女なのかに言うと
いやよいやいや
をするように
またしても彼の手にほうずりをした
「さっあ、早く」
そこまで言われてようやく奴は課長のかたかた飛び退くと
見事な着地で
木のようにそびえ立つ用品の数々の中に紛れていった
「・・・何でカボチャなんですか」
「そこか」
「・・・あれ女の子なんでしょ」
「・・・・単純に一番良いではないか」
「良いんですか」
「ああ」
「・・・しかしあのままというわけにも」
「・・・・まあ動物園とかからはいろいろもらっているし
食費は良いだろう」
「・・・・そんな物を・・・よっぽどだったんですね
・・しかしトイレとかは」
「・・・・刑務所では勝手にしていたそうだ」
「嘘でしょ」
「・・・なぜそう思う」
「・・・・・」
「彼女にも制服をあげなければな・・・・そう言えばこの前アイドルの
科香里奈 沙流未ちゃんがとくべつしように来たから作った奴がここに」
そう言って彼はなぜあるのか分からないが
重厚ではないにしろ
タンスの一番うえにしまってあった制服を出す
「ずいぶん小さいですね」
それは幼稚園児くらいの大きさしかない
「・・当たり前だろ科香里奈ちゃんを知らないわけではあるまいよな」
「だれですかそれ・・・」
「・・っな・・最小年人気アイドル
科香里奈 沙流未ちゃんを知らないのか」
「・・・いやだから」
「そうか」
そう言うと奴は引き出しとは別に
なぜあるのか知らないが
まるでタンスのように積み重なっているどころか
まるでピラミット状に積まれた金庫の中から
本やら雑誌やらDVDやら何やらを机の上に出す
「これ趣味なんですか」
「・・・・いや上から降りてきた
何でも呼ぶからには粗相がないように、だそうだ」
「何で大事そうに金庫なんかに」
「・・・・いやキープと言われたからそこら辺にほっぽりだしておくわけにはいかないだろう」
「・・・それ着せるんですか」
私が言うかいいおわらないうちに
「おおきたか」
いつの間にか奴の足の横にぴったりと直立している猿・・もといカボチャ
「良し着せてやるからな・・・おい腹見、彼女をよろしく頼む」
「・・・ウエディングドレスか」
「・・・まあ、サイズは少し大きいかもしれんが・・しかし制服の授与というのはなかなか」
「もう良いですから・・・カボチャ・・早く来なさい」
「・・・・・・お前が変なこと言うからいやがってるじゃないか」
「・・どこが変なんですかどこが」
「・・・・なに・・・あなたに着せてほしい・・・いやしかしそれは」
「なに照れてるんですか・・そんなこと言ったらはじめから」
「キーー」
「ほらお前がよけいなこと言うから怒ってしまったじゃないか
・・・すいません根雑な部下で」
「・・・・・きい・・ききいいい・・きい」
「そうか・・・・よかったなハラミそんなに怒ってないそうだ」
「・・・・・・・何で猿に」
「きぃいいいーーーー」
「なに言ってるんだ腹見猿だろうと何だろうと・・・お前は部下の分際でつけあがりすぎている」
「・・・・・・・」
「すいませんが一人できれますか・・・ええすいません」
「・・・・・・・」
「・・・良し仕事するか」
「・・・このままで良いんですか」
「ああ、何でも雑用係がしたいから抜け出してきたそうだ」
「いつそんな話がでたんですか・・というか話できるんですか」
「・・・・お前出来ないのか」
「何でそんな深刻そうなだれでも出来るみたいな」
「いや出来るだろ」
「出来ません」
「きいきい」
「おおできましたか」
「きいきい」
「なんて言ってるんです」
「・・・お似合いですな」
「ききいいきい」
「そんな謙遜を」
「・・・本当に話できてるんですか」
「きいいきいい」
「・・・・・・良しではお願いします」
「きい」
「・・・・・・あのーー私の話」
「・・・・・そんなに知りたいのか」
「・・ええ」
「つまり彼女は始めに
「出来ました」といい
その後に僕が
「出来ましたか」といったんだ」
「はあ」
「それで、彼女が
「似合ってないでしょ」といったので
「お似合いですよ」といったんだ」
「はあ・・それで」
「きみは聞いているのか」
「・・・まあ・・もおいいです・・・というか彼女はどこに」
「・・・なんでもやまに胡桃を採ってくるとか言って出て行ったが」
「・・・・街にですか」
「ああ・・・何か問題でもあるか」
「・・・大丈夫なんですか・・・街にでたら大騒ぎじゃないですか」
「大丈夫だろ・・最近動物番組でいろいろあるし
・・その撮影だと」
「・・・いえそれもあるんですけど・・・でも悪さするからここに来たんですよね」
「・・・・うむ・・信じようではないか」
「そうですか」
「・・・・・・・・」
そう言って彼は机の上に青い分厚いファイルを出した
「もうやるんですか」
「・・・・・」
軽くうなずくと筆記作業を開始した
よく見慣れた光景である
私はというと
最近作るように命じられたらしい電話帳制作には言ったのであった
「・・何でカボチャなんですか」
「・・・・・・・・・・・」
一度仕事をし始めた人間に聞くのは野暮のようで
そこに答えられるのは
カリカリとうごく筆記用具の音だけだった
「さて帰りますか」
「・・・・・・」
「どうしたんですかそんな青いかおして」
「・・・まだ帰ってきていないんだが」
「・・ああ、カボチャですか」
「さんを付けろさんを」
「・・・・しかし時系列的には彼女の方が」
「・・・どちらも雑用係だ」
「・・・・・・・」
「年上には敬意を払え・・だいたい彼女の方が能力的には君の方より上だ」
「・・・・・そんな」
「・・・彼女は少なくとも世界情勢をよく知っている
何でも悪徳動物園に捕まる前は
世界を見て回る戦場ジャーナリストだったそうだ」
「・・・嘘でしょ」
「・・・・・・彼女は世界共通語を取得していたぞ」
「何ですか世界共通語とは」
「心の会話さ」
「・・・・嘘臭」
「・・・しかし遅いな・・・今日は歓迎会をするつもりだったのだがな」
「・・・・車にひかれてないと良いですけど」
「・・・・まあな」
「・・どこでやるんですか」
「いつもの麒麟屋だ」
「あそこですか」
「何か」
「・・・・象牙屋の方が」
「沖縄料理は苦手なそうだ」
「どうしてです」
「彼女はベジタリアンだ」
「・・・・チンパンジーは死体を食べると聞いたことがありますが」
「それは文化の違いだろうね」
「種族では」
「・・・・・・」
「テレビ付けてみますか」
「ああ・・お願いする」
「・・・しかし彼女すごいですね」
「なにがだ」
「だって手話出来たでしょ」
「ああ、ワールドだからな」
「・・わーるど」
「彼女は国境を越えた原始的な意志疎通が出来るからね」
「・・・・・っあ・・さっちゃんでてますよ」
「・・・・・・マジか」
いきなりテレビに寄ってくる
どうやら車のCMだったようですぐに消えてしまう
「・・・・・・・・・お」
どうしたんですか
・・・・お
という感じの顔をした男に聞く
「・・・・」
指を指すので見てみると
「・・・あ」




