その二
だが、女にとってライフスタイル、女子力、その他もろもろは自分の容姿と同じ位にどうでもよくて、非常に下らないものでしかなかった。
何もかもを放り出してまで女が夢中になるものとは、一体何なのだろうか。
答えは、女が食い入るように見つめるパソコンに映し出されていた。
『あっ……やめ………んん……』
中性的な顔立ちの美少年が全裸で身をよじり、艶っぽい喘ぎ声を発している。
『どうした……もう限界か……?』
その上にはこれまた男前の男性が同じく全裸で、美少年を包み込むように覆い被さっている。
そして、目線を下半身のほうへと落とすと___
突然、大きな音をたてて女が回転椅子から転げ落ちた。
そのまま顔を両手で覆い隠し、床で芋虫の様に身悶える。
「はああああうぅ~~!!ヤバイ~ヤバイよおぉ~、佑馬かうぁいいよおおぉ~~萌えるぅたぎるぅうううわああああ!!!」
転がった拍子に壁を何度か蹴り飛ばす。
すると、隣の部屋から壁に怒りをぶつけるかのように殴る音が返ってきた。
そして、
「クソ奈津、うるせぇっ!死ねや!!」
「…………。」
雨宮奈津、十七歳。
彼氏いない歴、十七年。
大好物は、ボーイズラブである。