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第2幕~はじまりの日Ⅱ~

「話を続けよう。《InfinityWorld》には《InfinityOnline》と地形以外にもにている箇所がある。それは道具が使えること。但しこれは最初から持っているものに限る。持ち物は全てβ終了時に持っていた物が引き継がれている。それが無くなってしまえばもうそっちの世界で調達するしかない。それ以外に《InfinityOnline》の道具は手に入らなければ造ることもできない。だがアイテムボックスはある。但しその世界ではそんな物は見ないから対応は慎重にしてくれ。そして状況だ。さっきも言った通り、こうなった原因は判らない。そしてその世界をモニターすることもできない。今こちらからはそっちの世界の状況は見えず。音声しか聴こえてきていない。その上君達の姿形は現実の物で五感も全て正常通りだ。説明は以上だ。一気に喋ってしまって済まなかったな。何か質問はあるか?」

「じゃあいいですか?」


 これまで黙っていたセイナが口を開いた。


「ああ」

「私達が今いる世界はどこなんですか?」

「フム、それはさっきも言った通り我々の創った異世界であって地球上のどこでもない。かといって仮想世界(バーチャル)でもない」

「ならば、ここに身体があるということは現実での私達の身体はどうなるんですか?さっきまでベッドに横たわっていた身体は」


 セイナのその質問に責任者は少し間をとってから答えた。


「恐らく君達の考えている通りだ。この世界に身体があるから現実からはなくなっている。というかその君達の身体こそが本物なのだから。でも現実側(リアルサイド)のことを心配しているのならその心配は必要ない。メディアで報道しているし我々が対処する」

「解りました。とにかくこの世界で生活することを受け入れるしかないんですね」

「そういうことになるな。他には?」


 二人揃って無言を貫く。でもまだレオンはセイナのようにこの現状を受け入れことができなかった。


 ――――何でそんなにあっさりと受け入れることができるんだよセイナは。


 嫉妬にも似た感情を抱きながら吐き捨てるような口調で声に出さず呟いたレオンの感情は触れられずに話は終わりに入る。


「最後にもう一度確認しておく。その世界は我々の創った異世界で、基本的には《InfinityOnline》と似ている。アイテムはβテスト終了時のまま。そしてその世界には異種族も住んでいる。それ以外には現実で買い物をしたりするのと同じだ。なるだけこちらからも原因を探るが健闘を祈る」


 その言葉を最後に責任者の音声は途絶えた。







 あれから約三十分間レオンはどうしても受け入れることができずにその場で座り込んでいた。その間セイナは何も言わずに待ってくれていた。だが三十分経って漸くレオンはこの状況を受け入れようとしていた。セイナの優しさを感じ、いつまでも僕一人のために待たせるわけにはいかないという気持ちが現れ始め、まだ完全に受け入れることができてはいないが、少なくともこれ以上セイナに迷惑と心配をかけるわけにもいかず、とりあえず動こうとした。


「もう大丈夫だよ。ありがとうセイナ」

「そう?ならよかったわ」


 と、言ったものの特にすることが思い付かない。何をしたらいいのか判らない。まだ頭の中は真っ白だった。


「どうしよっか?」

「…………取りあえずアイテムボックスでも確認してみない?」

「そうだね」


 レオンはセイナの台詞の前に呆れたような(実際に呆れられていた)感じの空白の数秒を感じたがそれは気にしていたらキリがないのでおいといてアイテムボックスを開く。そこには責任者が言っていた通りβテストの時から全く同じものが入っていた。ポーションにその他の薬、装備品、その他道具。その中で気になった点があった。それはお金だ。《InfinityOnline》ではセルという通貨だったが、今はコインに替わっているのだ。相場は分からないけど今所持しているのは10000コインらしい。

 他にもポーションなど、色々なものを具現化してはしまうを繰り返して確認していった。そしてこの一ヶ月間の間に手にいれ、愛用していた武具を取り出す。防具に関しては具現化して出てくるものを自分で着用するらしく。これまでとは勝手が違い、少し手間取ったが、無難に着用できた。

 βの時に馴れ、気に入っていた軽めの防具シルクメイルの重さを体で感じながらレオンは右のセイナの方を見やった。

 セイナはセイナで愛用の防具アイアンメイルを装備し、さらには愛用の銀色に輝く剣、グローリースラッシャーまで取り出して持っている。それを見てレオンも白銀の愛剣、ブレイヴセイバーを取り出す。

 ずしりと来る感覚を思い出しながらレオンはこの剣を失わないように、できれば使いたくないということを考えながらシルクメイルを外して(ウィンドウ)(と言ってもアイテムボックスしかないが)を操作してアイテムボックスにブレイヴセイバーと一緒にしまった。

 二人は大体今所持している物の使い勝手が分かったところで窓を閉じて、じゃあ、とセイナが話を切り出した。


「取りあえずそろそろセントミアルに行ってみない?」

「そうだな。ここにいても何もできないし分からないからね」


 セイナの意見に賛成したレオンは歩き出した。

 このInfinityシリーズの舞台になっている《センドルドレッド大陸》は、確かレオンが中一の地理の授業で習ったアメリカに似ている。大きさは、このworldがメインなのではないかという位の広さがあり、onlineの方では歩いて街を移動するのには時間がかかってしまっていた。だからonlineの方にはワープゲートという役立つ物が設備されていたが、worldの世界にはそんな都合のいいものなどあるわけもない。だから何日も、遠い所には何ヵ月もかけて陸路で移動するしかない。

 セントミアルはもう静寂の丘から見えていて、三国から成り立つこの《センドルドレッド大陸》の一国、セサルセルドの首都だ。そのセントミアルへは見えているだけあって五~十分で着いた。

 着いた街セントミアルはレオン達にとって見慣れた街であってそれでいて見慣れぬ光景だった。というのは、βテスト時にはこのセントミアルを拠点として活動していたため、その時の街自体の景色は目に焼き付いていてその時と変わりない。しかし様子が全く違っていた。

 βテストの時には装備を身に付け、遠くから一目見ただけでプレイヤーが判ったが、今目の前にいる人達はあからさまに違っている。それを見るとレオン達は本当に異世界に来てしまったんだと認めざるを得なかった。




キャラ紹介No.2

セイナ/倉西聖奈

髪色:金

レオンと同じくβテスト終了後に閉じ込められた少女。レオンと同じ17歳。根は優しく、素直でかわいい。《InfinityWorld》に飛ばされたときにそうだったように、物事を受け入れるのが早い。レオンとは違い、普通の家庭で生まれ、ごく普通に育った。見た目によらずゲーム好き。

同じく東京都奥多摩町に住んでいた

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