ACT.3 翔子はワンエイティと智姉さんが大好き
※注意!
この作品はフィクションです。これに登場する人物は実在しません。
公道で自動車レースをする所がありますが、それは危険ですのでやめてください。
後、車を運転する時はシートベルトをしっかり締めて、安全運転でお願いします。
3月16日の午前6時、智の家玄関。
智は仕事に行く準備を終え、家を出発しようとしていたが……。
「おれも連れて行ってください!」
一緒に連れていってほしいと翔子が言う。
「ダメだ。これは旅行やドライブに行くんじゃあない。私は仕事に行くんだ
と言われ、拒否させられた。
智の仕事場とは木を植えているボランティアのこと。このボランティアで智はリーダーを務めている。
「え~、おれは智姉さんの仕事に行きたいですよ」
それでも翔子は行きたいらしい。
大好きだからついて行こうと思っている。
「ワンエイティ、智姉さんについて行こう!」
智の仕事場に行きたくてたまらない翔子は、ワンエイティに話しかける。
愛車のワンテイティに乗って、智のR35について行こうと考えた。
「仕事場へ行くぞ」
智の仕事場に行きたくてたまらない翔子は、ワンエイティに話しかける。
「智姉さんの後ろをついて行って、仕事場に行くよ!」
R35の出発の後、ついて行こうとワンテイティも出発しようとしていた。
(ブオン! ブオオオオオオオオオオオン!)
「大崎、行ってくるぞ。って、なぜ私の後ろにいるんだ!」
智は翔子のワンエイティが後ろに走っていることにびっくりする。
「智姉さん! おれもついて行きますよ!」
智の仕事場に行きたくて、R35の後ろをストーカーのようについて行く。
「大崎はなんでついてくるんだ!こうなったら逃げるぞ」
翔子のワンエイティから逃げようと、スピードを飛ばす。
s R35の加速に、翔子は離されていく。
「智姉さん置いていかないでくださーい! おれのワンエイティだと追いつかない……交差点で信号が赤になって、智姉さんを止めてほしい」
智のR35を止めてほしいと交差点に頼む。
しかし、
「ゲッ! 赤信号!」
交差点は翔子を味方にしなかった。信号が赤になったのは智が交差点を出てからのこと。
翔子は逆に赤信号に止められたのだった。
智と自分を離したことに、信号に文句を言う。
「このバカ信号! どうしておれと智姉さんを離すんだ!」
青に変わっても、文句を言い続ける。
「信号のバカバカバカ! 無くなれ、無くなれ、無くなれ!」
文句を言っている間に渋滞が出来てしまった。
(プー! プー!)
後ろの車たちはクラクションで「早く行け」と鳴らしている。
「ああーー渋滞ができちゃったね……みんな、ごめんおれは行くからね」
後ろの車たちに迷惑をかけてしまった翔子は、ドリフトでターンをして対抗車線に入った。
(ヒュウウン!)
「みんな行ってらっしゃい!」
Uターンの後、後ろにいた車たちにあいさつする。
「智姉さんについて行くどころか、信号機に文句を言いながら渋滞を作り、街のみんなに迷惑を掛けたなぁ……ついて行くのを諦めて、家に帰ろうかーー」
対抗車線に入った後、翔子の表情は元気がない。
大好きな智について行けなかったり、後ろの車に迷惑かけたりとしたからだ。
智の仕事場に行くのを諦め、家に帰ることにした━━。
「誰もいないけどただいま……」
誰1人いない智の家に翔子は帰ってきた。
「ああ……智姉さん」
智がいなかったことで失神して倒れてしまう。
「智姉さん……どこですかーー?」
智がいなくなると翔子は失神して動かなくなる。
数分後には失神から立ち直るが……。
「ぐぅうーー智姉さん……」
床で倒れた状態のまま、寝てしまう。
そして夢を見る。
智が家に仕事から帰ってきた。
「ただいま大崎、今日は仕事が早く終わったから帰ってきたぞ」
「智姉さーん! おかえりなさーい」
玄関に翔子が来て、翔子は智に抱きつく。
「わぁ!」
「早く帰ってきましたね。あと……おれとキスをしてください」
キスを要求した。
「わかった。今回は特別だ」
「おお~嬉しいですッ!」
特別にキスを許すと言って、翔子は喜ぶ。
「では、キスを一緒に始めましょう」
早速、キスを始めた。
互いに唇を近づける。
「智姉さん、おれはあなたを愛しています」
「私もだ。大崎━━」
(チュッ)
2人の唇は濃厚な愛を包み込む━━。
翔子の夢が終わった。
夢から覚めると翔子は立ちあがる。
立ち上がったものの、病気に掛かったみたいのように元気がない。
しかし、どこかからあるものを手に入れたことから元気になった。
翔子「か……かわいいッ! ワンエイティに見せよう」
それは写真だった。
写真に写っていたのは走り屋時代の智と、彼女の愛車だと思われるワンエイティの顔をした2ドアクーペの車、ワンビアが移る。このワンビアはR35の前に乗っていた車だと思われる。ワンビアの色はR35と同じシルバーだ。
ワンビアとはシルビアにワンエイティのフロントマスクを取り付けた異種交配の改造車のことを言う。具体的にワンビアは車名ではなくあだ名であり、本当の名前は「日産シルビア」で、ワンビアは「180SX顔のシルビア」と呼ばれることも多い。
シルビアとワンエイティは兄弟車であり、互いにそれぞれパーツのを付けることもできる。それを利用して作られたのがワンビアだ。
それの逆で、ワンエイティにシルビアのフロントマスクを取り付けた車、シルエイティを存在する。
しかしシルエイティは販売されたことがあるのに対し、ワンビアは販売されたことがない。(ただしワンエイティの北米向けのモデル、240SXのコンバーチブル版はフロントがワンエイティで、リアがシルビアという実質的にワンビアと呼べる車だ)
走り屋時代の智がかわいいと思った翔子は外に出て、ワンエイティに写真を見せる。
「かわいいでしょ、走り屋をやっていた智姉さんの写真だよッ! ワンエイティ!」
ワンエイティの反応がない。そりゃ車には感情がないのだ。
「えっ? かわいいと思ってくれないの? せっかく見せてあげたのに──くぅ……ッ!」
これに翔子は肩を落として、ショックを受ける。
ワンエイティ見せた後は、智の写真をショートパンツの左のポケットに入れた。
翔子「今日の朝走って疲れてないワンエイティ? 肩揉んであげようか」
朝の運転でワンエイティが疲れたと思い、翔子はワンエイティの後ろに周り、マッサージのようにウィングを揉む。
「気持ちいい?」
そう訪ねながら揉み続ける。
それを1分間続け、
「疲れが取れたね。リラックスできた?」
疲れをとれたのか聞いた。
「んーリラックス出来たんだね! 良かった良かったッ!」
ワンエイティのフロントバンパーの前に耳を傾ける。
翔子はワンエイティがリラックス出来たと思って喜んだ。
「次は洗顔だよ、その前にそれをするための道具もってくるねッ!」
洗顔とは洗車のことだ。つまり、次は洗車の時間。
洗車をするためには道具が必要だ。
「洗面所へGOッ!GOッッ!!」
まず、家の中に入り、洗面所の棚から雑巾を取る。
次に玄関で自動車用の洗剤を取る。
玄関から外に出て、ワンエイティの前に行く。
「洗剤と雑巾の次は、バケツとブラシだ。それを探そう」
洗剤と雑巾をワンエイティのボンネットに置き、バケツとブラシを探し始める。
「どこかなどこかな~?」
ワンエイティの周辺をウロウロと周り……。
「あった! ここだッ!」
ワンエイティのリアにバケツとブラシがあった。
これで洗顔こと車の洗車の準備が整う。
「じゃあ洗顔スタートだよ! ワンエイティ、君の綺麗な姿が見たいねッ!」
綺麗になった姿がみたいと言いながら洗顔こと洗車が始まった。
まず、家の洗面所に行き、バケツに水を貯める。
水を貯めたワンエイティの元に行き、それに水をかける。
「行くよ! それッ!」
(バッシャン!)
バケツの水がワンエイティにかかる。
「ワンエイティ、冷たくない? でも、水をかぶって気持ちよさそうッ!」
冷たいけど、ワンエイティは水が超気持ちいいと翔子は感じる。
「洗剤、行っきまーすッ!」
バケツで水かけの次は洗剤だ。
ワンエイティの右ドアに洗剤がかかった。
「んふふ~♪」
翔子はそこをブラシで拭く。
ブラシで右ドアを拭きながら、鼻でメロディーを奏でる。
「右ドアの次はボンネットだよ~」
右ドアの次はボンネットに移り、そこも洗剤をかけた後、ブラシで拭く。
「ふ~ふ、ふふふ~ふ~♪」
ボンネットを拭くときも鼻歌を歌う。
しばらく拭き……。
「よし、ピッカピカになったッ! まるで新品のチューニングカーだよ」
翔子の洗車によって、ワンエイティは新車のように綺麗になっていた。
綺麗になったワンエイティに、翔子は……。
「智姉さんだと思ってチューだッ!」
ワンエイティのフロントの前に行き、フロントバンパーにキスしようとした。
ワンエイティのフロントを智の顔だと思ってキスを始める。
しかし!
「何してるの?」
「えぇ──なんでもないよッ!」
通りすがりの通行人(20歳・大学生・黒髪ロング)に、車にキスする所を見られてしまった!
「ふふ、車にチューする人っているのね──」
ワンエイティにキスしようとした翔子を見て、”車にキスをする人もいるんだ”と小さく呟き笑いながら通り過ぎていった。
「愛情があったら、キスをするよ」
車にキスをする人は乗っている車に愛情がある人ぐらいだ。
「改めて思うけど、やっぱワンエイティっていい車だね。ケツのスカイラインテールも最高だよ」
翔子はワンエイティのリアに行き、それを見始める。
180SXのデザインは今でも時代を感じさせないスタイリングだ。
現在の車では1台も存在しないリトラクタブルヘッドライト(ただし、翔子のワンエイティは改造で埋め込み式の固定ライトになっている)で、3ドアのクーペ型ハッチバックボディ、スカイラインテール(4連丸目テール)から外車さながらのスタイリングを誇る。
「智姉さん、180SXという車ってどうですか」
翔子はポケットから走り屋時代の智の写真を出し、それに話しかける。
「いい車だ。今では数少ないFRのターボ車でデザインの美しい車だ。今でも人気のある理由はこれかもしれないな」
写真の智の答えは翔子がなりきって答えた。
「ウェヒヒ……なんちゃって」
智の真似の後は再び右ポケットに入れる。
「さーて……服を脱ぐかッ!」
再び翔子はワンエイティのフロントに行く。ここで服を脱ぎ始めた。
白い字で「疾風」と書かれた赤いTシャツ、白いショートパンツを脱いで、ミント色のキャミソール&黒タイツ姿になる。脱いだ服はワンエイティのウィングに投げた。
「今から、おれ行くよッ!」
服を脱いだ翔子は大ジャンプをするッ!
「ワンエイティ~ッ!」
上半身はキャミソールに、下半身はタイツ&パンティー姿の翔子はボンネットにダイブを始める。
ダイブする翔子は車のボンネットの上に着地!
「ぐぅ……」
そして寝てしまった──。
「ワンエイティ乗りの女の子として生まれてきてよかった──ぐう……」
しかし、寝てすぐなのに……。
(グ~)
「むにゃむにゃ~お腹減ったな──けど、智姉さんの作ってくれた昼ご飯があるから食べに行こう」
翔子は腹の虫の音で起き上がった。
もう昼12だ。車のボンネットから降りて、ウィングにある服とショーパンを取り、それを着る。
「智姉さ~ん、昼ご飯頂きまーす」
家の中に入り、リビングに行って昼ご飯を食べに行った。
30分後に食べ終えて、外に戻ってくる。
「ごちそうさまでしたッ! 智姉さんッ!」
ドアを開けた後、ポケットから智の写真を出して、それにキスした。
外に出てすぐワンエイティの元に行き、その車の中の運転席に座る。
「ドライブしない? 前橋のあちこちを周ろうよッ! ねっ、ワンエイティッ!」
翔子はワンエイティに、一緒にドライブしようって言う。
車のハンドルに耳を傾ける。
「ふむふむ、自分もドライブしたいだってッ! じゃあかしこまりッ! エンジン掛けるよッ!」
ワンエイティもドライブしたいと賛成だと翔子は思う。
キーを刺し、エンジンを起動させ、ハンドルを握ってスタートの準備完了。
「じゃあ行くよッ!」
(ブオン! ブオン!)
「元気いいね~よし、出発進行ッ!」
RB26ツインターボの賛美歌を奏でながら、ワンエイティと翔子が出発していった。
「まず、どこに行こうかな。ワンエイティ」
最初に行く場所はどこにしようかと翔子はワンエイティと一緒に決める。
「じゃあここにしようかな」
こことは本屋のことだ。
この本屋の駐車場にワンエイティを止める。
「着いたよ、ワンエイティ」
ワンエイティを止めた後、翔子は運転席から降りる。
降りた後、ポケットから走り屋時代の智の写真を出す。
「智姉さん、おれは今本屋にいますよ。チュッ!」
キスをした後はポケットに戻した。
「じゃあワンエイティ、留守番よろしくね」
おれが帰ってくるまで留守番だよとワンエイティに言い、本屋の中に入る。
「いらっしゃいませ!」
本屋に入ってすぐ、翔子は車・バイクコーナーに行った。
「86とロードスターの本がいっぱいだね~ワンエイティはどこ?」
車の雑誌はトヨタ86とマツダロードスターのことを書いている雑誌でいっぱいだ。
「ワンエイティの本は……ここかッ!」
ワンエイティの雑誌を見つける。
チューニングのガイドと、ワンエイティの歴史を書いた本がある。
「日産•180(ワンエイティ)SX。'89年に5代目S13型シルビアのハッチバックモデルとしてデビューしたスポーツカーで、日産の’90年までに世界一の自動車メーカーを目指す運動、略して901運動の成果が現れた車でもある。型式は'90年以前のモデルがRS13、91年以降のモデルがRPS13」
翔子はワンエイティの歴史を本を取り、立ち読みを始める。
翔子「発売直後から世界各国(アメリカでは240SX、ヨーロッパでは200SXという車名)から評価を受け、シルビアがS14にフルモデルチェンジした後も180SXはS13型のまま販売された。しかし、90年代後半からクーペ市場の不人気の煽りを受け、販売は低迷。S15の登場後に生産終了をした」
ワンエイティの歴史の本を読み終えた後は元の場所へ戻した。
「なにこれ、かわいーじゃん! これ、読もぉとッ!」
翔子が目を付けたのは痛車系の雑誌だ。
ワンエイティの本の次に読む本はこれに決定する。
「1ページ目から車に映っている美少女かわいい! おれもいつかは車に映ってみたいな」
痛車に写っている美少女の可愛さから映ってみたいと思い始めた翔子。
が、次のページをめくると━━。
「BL痛車特集ゥゥゥゥ!? 俺、ボーイズラブや腐向けは嫌いだよゥ……」
開けたページはBL、略さずに言えばボーイズラブ系のイラストが描かれた車の特集だった。
ボーイズラブは女性に人気だが、翔子の性別は女にも関わらず、ボーイズラブを嫌っている。
「ボーイズラブは嫌ァァァ!!」
ボーイズラブが嫌いな翔子は大声を出しながら本屋を出て行く。
「ただいまワンエイティ」
本屋から出た後、翔子は駐車場のワンエイティの元へ戻ってくる。
「じゃあ次の目的地へレッツゴーッ!」
(ブオオオオオオオン!)
ワンエイティの運転席に入り、エンジンをスタートさせる。
本屋の後にし、次の目的地へ行く。
「次はどこ行こうかな……」
ワンエイティに次の目的地について相談する。
「ここ前橋の赤城山以外で自然豊かな場所にしようかな」
自然豊か場所へ行きたいと翔子は言う。
ワンエイティのハンドルに右耳を傾ける。
「ふむふむ──いい景色を見た方がいい、できれば前橋公園が見れる場所とか。へぇ~じゃあ、前橋の絶景が見えるポイントに決定ッ!」
目的地は前橋の絶景ポイントに決定だ。
「絶景を見るなら前橋中央大橋のほうがいいかな」
前橋中央大橋なら絶景が見えると思い、そこへ向かう。
(ブオオオオオオオン!)
前橋中央大橋。翔子は歩道の隣に車を止める。
車から降りて、車道と歩道の境界線を結ぶフェンスをくぐり、歩道に入る。
「すぅ~はぁ──自然の空気って美味しいねッ!」
橋から景色を見ながら深呼吸をする。
「うわあ、人間がゴミのようにいっぱいだね」
下の前橋公園は人で溢れてた。友達同士や、カップル、家族とかで。
「前橋公園の人から見ればおれは神様かもッ! ウェヒッ!」
下にいるゴミのような人を見て、自分は神様みたいだと思った。
「こんにちは」
「こんにちはッ!」
翔子とワンエイティの前に通行人2人(青髪ショートカット・女・高校生と赤髪ポニーテール・女・高校生 )が来る。
「この車、いい車だなッ!」
赤髪の通行人は翔子のワンエイティを見て、褒める。
「幼そうだけど、この車は君の物?」
青髪の通行人はこのワンエイティは翔子のものなのか聞く。
「そうだよ。おれの一番の友達!」
その通り、このワンエイティは翔子のものなのだ。
「うわあ、子供っぽい体なのに車を持っているってすごいね。後、車がきれいだね」
「この車 、来年で20年落ちになる車なんだ」
「に、20年落ちッ!?」
来年で翔子の車が20年落ちになることに驚く。
もう翔子のワンエイティは来年(2016年)で20年落ちになる旧車だ 。
「この車をお前はどうやって乗り続けているんだ?
どうやってワンエイティを乗り続けていることに、青髪の通行人は聞く。
「ひ・み・つッ! どうやってこの車を乗り続けているのかは秘密。誰にも教えられないよッ!」
長くワンエイティを乗り続けている方法は翔子の秘密だ。
「長く乗り続けられている秘密は聞けなくて残念。けど、古い車を大事に乗り続けることも良いことだよね」
「そ、そうだよ。古い車はいい。今の時代の車はブサイクで個性のないデザインだからつまらないよ」
旧車はいいものだ。
今の車にない魅力があるからだ。
「じゃあ、あたし達は行くぜ。じゃあなッ!」
「バイバイ!」
2人の通行人は翔子の背後の道に去っていた。
2人が去った後、翔子は前橋公園と県庁を見つめながら、手を振る。
「公園の皆さーんッ! おれだよッッ!!」
突然、下の人たちに手を振る翔子の頭に何かが落ちてきた。
これに翔子はパニックになってしまう。
「ぎゃあぁッ! おれの頭に何をするだッ!」
パニックの張本人は鳥だ。
鳥は翔子の頭にフンを落としてきたのだ。
「フンを落とすなッ! おれの赤くて長い立派な髪の毛を何をするだッ! もしワンエイティに落としたら焼き鳥にするぞッ!」
いつかは焼き鳥にしてやろうと、翔子はフンを落とした鳥に腹を立てた。
「もしワンエイティに落ちたら洗顔が台無しだよ」
翔子の頭に落ちただけで済んだが、このワンエイティは今日洗車したばかり、この車にフンが落ちたらまた洗車しないといけない。
「まだ行かないね、鳥のフンが襲ってくるから逃げよう」
空を飛んでいる鳥がいなくなるのかを見る。
鳥はまだ行かない。
翔子はワンエイティを鳥のフンから避難させるつもりで、この橋から出ようと言う。
(ブオンブオンッ!)
「さぁ、行くよッ!」
フェンスをくぐって車道に入り、ワンエイティの運転席に座り、エンジンをスタートさせる。
ワンエイティが出発した。
「おれに着いてくんなよ、バーカッ!」
頭にフンを落とした鳥に、翔子は運転しながら文句を言う。
翔子とワンエイティは中央大橋を後にした。
その後、翔子は家に帰って行ったのだった。
翔子は家に帰って3時間後。
「ただいま大崎、帰ってきたぞ」
午後5時、智が帰ってくる。
「智姉さーん! お帰りなさーい」
翔子が玄関に来る。
「わっ!」
ジャンプして智の体に抱きつく。
「仕事はどうでしたか?」
「楽しかったぞ」
「仕事で疲れたでしょう? 智姉さんキスをしましょうよ。仕事の疲れはおれのキスで癒されますよ」
翔子はこんなことを言い始める。
キスがしようと言い出したのだった。
「断る! 私はキスをする気分じゃないぞ。疲れなら自分で治せられる」
疲れなら自分で治せられると言われ、
翔子の頼みは断わられてしまった。
「くうぅ、キスをしてくれると思っていたのに……」
キスを断られたので、落ち込んでしまう。
だが、智のある誘いですぐには立ち直る。
「大崎、私と一緒にスーパーに行かないか?」
智は翔子にスーパーへ誘う。
「スーパーへ一緒にですか……智姉さんと一緒なら、おれは行きます! 智姉さんが好きだからです」
智と一緒にい行きたいと考えて、誘いに乗る。
智のことが好きだから誘いは断れない。
「そう言ってくれると思っていたぞ。後、私も大崎が好きだ」
(と、智姉さんがおれのことを好きと言ってくれた━━流石、おれの姉さんで同性の恋人です)
好きと言われたことで翔子の顔全体が熱に掛かったかのように赤くなった。
「じゃあ行くぞ大崎、車は私のR35のほうに乗れ」
「はーい!」
2人は家を出る。
R35に乗り、智は運転席に座り、翔子は助手席に座る。
「おれはスーパーに行くよワンエイティ。留守番よろしくね!」
R35の中から、翔子はワンエイティに留守番を頼んだ。
「ワンエイティは生き物ではなく車だ! 車が留守番を任せられるわけないだろ」
それのことに智がツッコむ。
「車ですけど、ワンエイティはおれのペットでもあり、友達や家族の一員でもありますよ」
翔子は苦笑いしながら言う。
「じゃあ、スーパーに出発するぞッ!」
「ヤッホー! 出発進行ッ!」
スーパーに行くという喜びのあまり、翔子はヤッホーと叫んだ。
(バオン、バオオオオオオンッ!)
R35は恐竜の鳴き声のようなエンジン音を出しながら家を出発していく。
━━ここはスーパーの駐車場。こには走り屋らしき女性が2人いる。何やら話をしているらしい。
1人目は年齢は21ぐらいで、モデルのように身長は高い。顔は女優のように整っており、美人。胸は90センチと大きめ。瞳の色はオレンジ。髪型は茶髪のストレートロングヘアで一本の長いアホ毛が立っている。服装は青のジャケットと、灰色のTシャツ、黒くて短いスカート、そして茶色いタイツだ。
愛車は青いボディに白いストライプパイナルを縦に貼られているFD3S型RX-7で、モデルは生産終了記念に限定販売されたスピリットRタイプA。Rマジック製のカナード付きのボディキットで武装し、ヘッドライトはリトラクタブルヘッドライト(開閉式のライト)のままだがカーボンのカバーをし、大型ウイングが外されている。この車はいかにも速そうだ。
2人目は20歳ぐらいの年齢で、前述のFD乗りの茶髪とは違い、すこし小柄。髪型は黒くて長い髪を青い布で一本に結んでいる。前髪も右目が隠れるほど長い。瞳の色は青色だ。装はチューニングメーカー・TRDのロゴが描かれた黒いTシャツに青いショートパンツ、黒いタイツを履いている。
愛車が黒のJZA80型スープラ。外装パーツはほとんどVeilside製だ。
「明後日は赤城山でドリフト走行会だぜ」
「━━そうだな……雨原さん」
茶髪の女性は雨原と名乗る。
雨原とはこの前、赤城山で派手なドリフトを決めた女の走り屋だ。
ドリフト走行会ということについてメンバーの黒髪女性と話している。
「サクラ、お前は明後日に向けて準備は出来てるか?」
「━━出来てる」
黒髪の女性の名はサクラ、葛西サクラ。
雨原のチームに所属するメンバーの1人だ。
話している間に智はスーパーに到着する。
「斎藤智の35がスーパーへ来たか!」
スーパーに到着する智のR35に雨原が反応した。
雨原が智のフルネームを言う。
彼女は智のことを知っているかもしれない。
前橋市民「ま た 翔 子 か」
翔子は変態です。智姉さんが好きすぎますよWWWWW
キスしたいと言うし、智姉さんがいなくなると失神するから正真正銘の変態淑女。
(奥山)
追記(2013年7月23日):文章を修正しました。