ACT.2 練習バトル
大崎翔子は坂下智の家で暮らしている。いっしょの家に暮らしているが、部屋は別々だ。
翔子の両親はいない。変わりに智が母や姉のように世話をしてくれている。
学歴は低く、16歳2ヶ月の現在、小卒止まり。そのため、高校に通っていない。
バイトもしておらず、智の収入で生活を送っている。
バイトはしていない、学校に通っていないという小学生の365日の生活はまるで毎日が夏休みという生活を送っているのだ。
「ふあァ~……よく寝たなあァ……」
午前4時30分、眠そうな顔をしながら翔子は起きる。
起きた後はクローゼットを開け、自分の服を出して着替えを始めた。
「着替えが終わったら、智姉さんの部屋に行こう。行ったらア~ンなことをしてみようかな……」
着替えを終えた翔子はすぐ智の部屋に入る。
「グゥゥ……」
翔子が起きた頃、智はまだ部屋で寝ている。
「智姉さァァァァァァァァァァんッッ!」
部屋に入った後は智のベットにジャンプした。
「まだ寝ていますけど、キスしましょうよ!」
翔子は自分の唇を智の唇に近づけようとした。
「うわあッ! 何をするんだ大崎ッッ!」
すると、それに気づいたのか智が目覚める。
「智姉さんにキスをしたかったんですよ」
本当は女同士のキスをしたかったのだ。
「ショートパンツの表と裏が逆だぞ」
智は翔子の服装の何かに気づく。
「えェ、あー本当ですッ! 逆さまになっていますッ!」
自分のショートパンツを見て、翔子はびっくりした。
たしかにショートパンツは逆になっている。ポケットも見えない。
「ここで着替えてもいいぞ。今すぐ着替え直せ」
「でも、おれのタイツ越しのパンティーがで見えてしまいますよッ!」
タイツ越しのパンティーが見えてしまうと心配する。
けど、タイツ越しだから構わないじゃあないか。
「これは構わないぞ」
智の言うとおり、ここで着替えても構わない(さっき言ったが)
智に言われて、翔子は急いで自分のパンツの表と裏を直すことにした。
「よっこらっせっ●すとォ……着替えが終わりました」
翔子の着替えは素早く、わずか1分で終わる。
「前と後ろ、表と裏、どれも逆さまじゃない、ばっちりあっているぞ」
智は翔子のショートパンツを確認する。
ポケットが付いている、完全に表だ。
「智姉さん……おれのパンティーを見ましたか?」
ショートパンツの確認の後は翔子はこんなことを言い始める。
「パ、パンティー? 私はそんなものに興味ないぞ。お前のタイツで見れなかったが……」
智は赤面しながら答える。
(よし、おれがタイツを履いていたおかげでセーフだね)
タイツを履いていたおかげで、智にパンティーを見られずラッキーだったと翔子は思った。
「今日は赤城山に走りに行く日だぞ」
数日に1回は智といっしょに走りに行っている。
これはランニング代わりとしてやるのだ。
「はい。あ、今日は走りに行く日だったんですね。じゃあ先に行ってきまーす! って!? 智姉さんは何をするんですか?」
外に出ようとした翔子が、智に何をするか聞いた。
「これから私は着替える」
今の智はパジャマ姿だ。
この服装で外へ出たら恥ずかしそう。
「今から着替えるのですね。じゃあ、おれが服を持ってきましょうか?」
智の着替えを手伝いたいと思い、着替えを持ってこようと訪ねた。
「着替えは私1人で持ってくるからいい」
が、智に拒否した。
「そうですか……おれの助けをいらなかったのですね。じゃあ智姉さん、先におれはいってきますよ」
翔子は先に出る。
ワンエイティの元に行く。
「ワンエイティおはよー! 昨日寝れた?」
ワンエイティにあいさつした。
前に言ったとおり、彼女はそれをするほど愛情がある。
「智姉さんが来るまでここで待つよ、ワンエイティ」
智が来るまで、ワンエイティの中で待つことにした翔子。
リラックスするみたいに足を上げ、それ見る。
「やっぱタイツっていいな~足が黒くなった感じがいいんだものッ!」
翔子はタイツが好きで、真夏でも履くほど。
誰もいない場所では自分のタイツ脚を見ていることがある。
「んふふ~タイツ~タイツ~おれのタイツ~♪」
歌いながら智を持つ。
「またせたな」
歌っているうちに智が来る。
「智姉さ~ん! やっと来ましたね! さっさと行きましょうよ!」
智が来ると、翔子がワンエイティから降りて抱きついてくる。
「わ、わかった……すぐ、行くからな。あと離せ……ッ!」
そう言われると、離す。
抱きついてしまうほど、智のことが大好きだ。
「赤城山にれっつ、ごォ~ッ!」
翔子がワンエイティ、智がR35に乗ると、2台は赤城に向かい、ブオブオとエンジン音を立てながら出発した。
出発から10分後、2台は赤城山にやってくる。
麓から2台が風のようなスピードでくる。
「負けませんよッ! 智姉さんッ!」
「駆動式やコーナリング性能だけでは、私のR35から逃げれないぞ」
ドリフトしながら2台は最初の5連続ヘアピンを攻める。
駆動式、車重の軽さから翔子のワンエイティのほうが有利だ。
5連続ヘアピンの後は第3高速セクションに入る。
「直線だよワンエイティ……。君の350馬力のパワーを見せて!」
全力でアクセルを踏み、翔子はワンエイティをダッシュさせる。
「直線ではパワーのあるR35が有利だ」
高速セクションではR35のほうが有利で、ワンエイティは煽られてしまった。
が、次の右急コーナーと左コーナーではワンエイティが有利になり、距離を離す。
「コーナーでは速いな、大崎のワンエイティはコーナーに入ると私のR35を離すぞ。だが、私は本気じゃない」
翔子のワンエイティがコーナーで速いことを智は感じる。
コーナーでは智の方が不利。
しかし智は本気を出していない。この勝負の先はどうなるか……。
次は2連続ヘアピンに入る。
ここでもワンエイティが有利だった。
U字ヘアピン、S字コーナーも2台に差し掛かるが、
それらのコーナーでもワンエイティが距離を離す。
「このコーナーの速さを利用すれば、智姉さんに勝てるッ! 智姉さん、おれはずっとずっと先を行きますよォーッ!」
コーナーで勝っていることを見て、それを利用しまくれば智に勝てると思った。
がッ!
翔子の有利は続くことはなかった──。
「ワンエイティ、直線だよッ!」
翔子のワンエイティは第2高速セクションに入る。
「私も第2高速セクションに入る。これまでわざと遅く走っていたが、ここからペースを上げるぞ」
智のR35も高速セクションに入った。
今までの智は本気じゃなかったが、ここからペースアップさせる。
「絶対に抜かせませんよッ! パワー勝負の直線では負けませんよッ!」
2台が直線で暴れ出すッ!
「パワーで負けてもここでは負けないッ!」
ブオンブオンと音を立てながらワンエイティは駆けるッ!
「直線抜ければ次はワンエイティが有利な曲線ッ! え? 後ろから来る……ッ!?」
「大崎を抜くぞ」
高速セクションの後半になると智のR35が抜きにかかる。
「速いッ! 抜き返せないかも……ッ!」
超特急のスピードで智のR35は翔子のワンエイティを追い抜いた。
追い抜いたR35は先に目の前のコーナーを駆け抜ける。
「やっぱ智姉さんは速いなあァ……」
翔子の言うとおりだ。
智は最速と呼ばれた伝説の走り屋なんだ。
智に勝てる走り屋なんて1人もいない──。
その後翔子はコーナーを抜けて第1高速セクションに入り、
それを抜けて、連続ヘアピンも通り、赤城のヒルクライムを駆け抜けたのだった。
頂上──。
「やっと着いたな。大崎」
先に智がここに着いている。
さっき翔子はここに着た。
「速かったですね……追いつけませんでしたよ」
「これは昨日と違い、私の本気じゃないぞ。最初は手加減して走ったが、途中からペースを上げた。これでも本気じゃないぞ」
「えぇ!?」
智の運転は本気じゃなかった。これには翔子はビックリだ。
最初は手加減して走っていたが、途中からペースアップしている。
「あんなにすごかったのに、本気じゃなかったんですか?」
「これでも昨日より下手クソに走っている」
改めて言っておく、智は本気で走っていない。
(智姉さんの本気じゃない走りに負けるなんて……はやくおれは強くなりたいよ)
頑張れ翔子、
いつかは速くなれる。
「さてと、後半のダウンヒルを始めるぞ」
いよいよ後半のダウンヒルのスタートを宣言する。
「後半はハンデを付けてくださいッ! 智姉さんが強すぎるからッ!」
智のほうが強すぎるため、翔子はハンデを付けてほしいと頼む。
「これはバトルではなくドライブだッ! ハンデなんて付けないッ! しかしお前を意見通り、私を強すぎると思ったらハンデをつけるぞ。時間は40秒だ」
これはバトルではなくドライブだと否定してハンデを付けないと言ったものの、翔子の意見を聞くとしてハンデを付けることにする。
「おおォーッ! ハンデ付けてくれますかッ! 嬉しいですッ! 40秒は短いかもしれませんが、まあちょうどいいです」
ハンデを付けてくれることに翔子は嬉しがる。
2人は車に乗り駐車場を出て、道を塞ぐようにスタートラインに並んだ。
「おれ、智姉さんに頑張って追い抜かれないようにします!」
サイドウィンドウを開けて、翔子は智に話しかける。
バトルさながらに、翔子は自信満々の表情をした。
「自信満々だな大崎。すぐ追いつくかもしれないが、私はヒルクライム同様に本気を出さない。攻めではなくドライブで行くぞ」
ドライブだと思って、智は赤城山を下るみたいだ。
前半ヒルクライムは本気をだしていない智が翔子を追い抜いた。
ダウンヒルではどうなるかァ?
「ヒルクライム同様に本気出さないのですか、さらに追いぬかれたくなくなりましたね……」
ヒルクライム同様に本気を出さないと聞いて、翔子の抜かれたくない思いは強くなった。
「智姉さん、おれは行きますね」
出発を開始ッ!
ウィンドウを閉じ、翔子がスタートの準備をする。
「さん、にぃ、いち、GOッ!」
カウントを数えて、
オン、ブオンと轟音を立てながら翔子のワンエイティが出発した。
「智姉さん、おれは逃げきってみますよ!」
赤城山を下る翔子のワンエイティは最初のヘアピンに入った。
ブレーキを踏み、車をスライドさせる。
「ワンエイティ、テールを流して!」
ワンエイティから風のように素早く、豪快なテールが流れた。
ワンエイティが装着しているブレーキが特殊なセッティングをされているからだ。どんなセッティングなのかは分からないが、ブレーキを踏むと突然スライドしてしまうようにセッティングされている。
「いいコーナリングだったよ、ワンエイティ。一緒に智姉さんから逃げようね」
うまくコーナリングできたワンエイティを褒める。
最初のヘアピンを抜け。ワンエイティは連続コーナーに入った。
軽くブレーキを踏み、翔子はハンドルを弱めに切りながら突入する。
「コーナーだよ! ここから先は連続に続くからね。ドリフトで抜けて!」
細かいドリフトで、ワンエイティは連続コーナーを次々に攻めていく。
連続コーナーの終わりであるS字コーナーは110km/hで抜ける。
一方、頂上では
「もう40秒経過か……。私はタイマーを持ってないが感じで分かってる。出発するぞ」
40秒が経過し、智とR35GT-Rがスタートした。
智のR35がスタート頃、翔子は高速セクションの中盤に入っている。
「直線だからスピードを飛ばして!」
時速165km/hのスピードでワンエイティは、高速セクションを駆け抜ける。
もう一つの高速セクションに入ると突然、爆発音のような大きな音が聞こえてくる。
「頂上のほうから大きな音が聞こえてくる。智姉さんの35が来るかも。本気じゃないと言っているのに……」
後ろから聞こえてくる音を翔子はR35のエンジン音だと思った。
「智姉さんが来るかもしれないから、一緒に逃げようね。 ワンエイティ!」
智から逃げようと、翔子はアクセルペダルを思い切り強く踏んで、ワンエイティを速く走らせる。
「大崎に追いついたぞ」
しかし、みるみるうちに差が迫っていき、4連続ヘアピン前の蛇行路に入ると神出鬼没の如く、翔子のワンエイティの後ろに智のR35が現れた。
(智姉さんのR35が……本当に来た!)
ミラーを確認し、智だと確認する。
「智姉さん、最終の連続ヘアピンで逃げてやりますからね!」
2台は赤城山ダウンヒル最後のコーナー、4連続ヘアピンに突入した。
「上りでは負けましたけど、下りでは負。!」
智に抜かれたくないと思い、バトルをするつもりで翔子は第1ヘアピンから勝負を仕掛ける。
「140km/hに落として! ここはドリフトで駆けるよ!」
コーナー進入と同時に翔子はブレーキを踏んで、ワンエイティをドリフトさせた。
「競争するつもりはないが、私もドリフトしよう。」
翔子の真似をするかのように智はR35をドリフトさせる。
「智姉さんもドリフトしてきましたか。おれのワンエイティはFRです! コーナーでは抜かせませんよ!」
第3ヘアピンを翔子はノーブレーキで入った。
「コーナーが終わればコース完走ッ! おれが先ならこのバトルは勝つッ!」
ここを抜けて、先にゴールしてやろうと考える。
が、
「うわあァッ! 抜かれるゥ!」
第3ヘアピン、智のR35が翔子のワンエイティを追い抜くッ!
「じゃあな大崎」
追い抜いたR35は向こうの彼方へ消えていく。
「やっぱ智姉さんには適わない……」
智は速い。
速いから翔子に適わないんだ。
やっぱ智は最速の走り屋だ、
本気出していないのにもかかわらず、翔子を倒してしまう。
実力は本物だった。
ふもとの駐車場。翔子が車から降りてくる。
「やっぱ智姉さん速すぎです……。ハンデを付けたのに勝ってしまいました」
速すぎる智の走りを見て、翔子はビックリする。
「けど勝負とは認めないぞ。走る前に言ったじゃないか。これはバトルではなく、ドライブだと」
やばすぎる走りを見せてくれたが、智はバトルだと思っていない。
(ああァ、おれはいつかは速くなりたいなあァ……)
智に負けたことから翔子は速くなりたいと考えるようになった。
「さあ、家に帰るぞ。車に乗れ」
2人はそれぞれの車に乗り、シートベルトを締めてエンジンの轟音を鳴らしながら、赤城山を出る。
午前5時、2台は家に到着した。
「家に着きましたーーふわぁ~眠い……」
赤城山を走った疲れと朝速いから、翔子は眠そうだ
「ただいま~眠たいから、2階のおれの部屋で寝よう」
眠たいから寝たいと言う。
「大崎、朝ご飯はいらないのか? いらないなら私が食べるぞ」
寝るために2階に行く翔子を見て、朝ご飯はいらないのかと訪ねる。
「いりますよ~できたら起こしてください……」
いると言う。
そう言って翔子は、2階にある自分の部屋に行き、ベッドに入る。
「ムニャムニャ……朝ご飯ができたら、智姉さんが起こしてくれる──」
寝るときも、智のことを想う翔子。
「ぐにゃぐにゃ……智姉さん、智姉さん……」
どれぐらい智のことが好きなんだッッ!?
そしてゆったり眠りだした。
10分後、1階の台所にて。
「よし、できたッ!」
智は朝ご飯の調理を終えていた。
「朝ご飯ができたから、大崎を起こしに行くか」
台所を出て、2階に行き翔子の部屋に入る。
「起きろ大崎! 朝ご飯ができたぞ!」
入ってすぐ翔子を起こそうとした。
「ぐぅ……」
しかし、翔子は起きない。
「全く起きないな――」
今度は翔子の顔に近づく。
「大崎、私だッ! 起きろッ! 起きないと朝ご飯が冷えるぞッ! 食べないとお前の世話なんてしないからなッッ!!」
「!!」
食べないと世話しないとしつこく言う。
すると、翔子は目を覚ます。
「智姉さん……!?」
翔子は起き上がった。
「朝ご飯ができたら起こしてくださいって言いましたよ。朝ご飯は本当に出来ましたか?」
智に朝ご飯ができたのか聞く。
「できたぞ。お前が言ったとおりに私は来た。早く行かないと冷えてしまうぞ」
本当に出来たようだ。
素早く部屋を出て、翔子は1階のリビングに行く。
リビングのテーブルには智が作った朝ご飯が置かれていた。今日の朝ごはんは焼き魚と味噌汁だ
「智姉さんの朝ご飯、食べますよー!」
お箸を持って、
「おいしそう~では、いただきます!」
いただきますのあいさつをしたッ!
「ん~! おいしー! やっぱ智姉さんが作った朝ご飯は最高!」
智の作った朝ご飯は最高だった。
翔子は超大喜び。
「私の朝ご飯はおいしいか?」
智がリビングに来て、彼女も朝ご飯を食べる。
翔子に朝ご飯について聞く。
「おいしいですよ。智姉さんが作ったものにまずいものはありません。これからどんどん、おれに朝ご飯を作ってください!」
翔子が食べながら答える。
智が作った朝ご飯に翔子は大満足だ。
「食べ終わったら、おかわりくださいね」
「太るかもしれないからダメだ!」
美味しいが、食べ過ぎはだめだ。
遅くなってすみません!
最初は長くするつもりでしたが、長過ぎたためと、1話投稿から1ヶ月たったために短くなりました。
最後の方は急いでいたために文章が分かりにくいかもしれません……後で修正します!(奥山)
(2013年6月11日追記)
ACT.3と統合させました。
(2013.6.26)
大幅に修正させました。