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ACT.1 翔子と智

 夜8時、翔子は晩御飯を食べていた。 今日の晩ご飯はカレーライスだ。

「おいしいか?」

「おいしいです。智姉さんが作るご飯は最高ですッ!」

 智の作るカレーライスはうまいと絶賛した。

 晩ご飯は毎回智が作っている。智の作るご飯は料理人並みにおいしいご飯だ。

「晩ご飯の途中ですけど、車の話しましょー。まずワンエイティからです。エンジンの話はR34ニュル用の350馬力のRB26DETTに変えているからやめてくださいよ」

 晩ご飯中に車の話を始める。

 翔子の言葉から愛車のワンエイティはRB26DETTに換装しているらしい。


 RB26DETTとはスカイラインGT-R(R32型からR34型まで)に搭載された直列6気筒ツインターボエンジンだ。

 グループAで勝つために開発されたエンジンで、レースのレギュレーションを守るために排気量は中途半端の2.6リッターとなっている。

 エンジン自体頑丈のため、600馬力以上のハイパワーに耐えることができ、チューニング次第では1000馬力を超えることもある。

 

「ワンエイティはシルビアと違ってサスペンションが柔らかく、その車よりドリフトに向いている。空力性能もシルビアよりいいぞ」

 ワンエイティはシルビアよりドリフト向きの車だ。

 また空力性能も高く、サーキットでも活躍しやすい。

「ただし、ハッチバックの車体なのでシルビアより車重が重い。さらに剛性もとても悪くボディの歪みを感じることが 多いぞ」

  弱点も言う。

 ワンエイティはハッチバックなのでシルビアより車重が重く、剛性も悪い。

 この剛性の悪さがワンエイティ最大の弱点だ。

「ごちそうさま。大崎──」

「何ですか」

 智は晩ご飯を食べ終える。

  食べ終えたあと、翔子に何か聞く。

「明日ドライブ行かないか?」

 明日、翔子をドライブを誘うつもりだ。

「おれ、行きますッ!」

 智の誘いに翔子は乗る。

  決まった。明日は智とドライブに出ると。

 

 翌日、午前10時。

 昼の1台のR35型GT-Rが上ってくる。その車には運転席に智、助手席に翔子が座っている。

「智姉さんと一緒にドライブなんてェ、デートみたいですね」

「そう言われると恥ずかしいなァ……」

 このドライブを翔子はデートみたいだと思った。

 その発言に智は照れる。

 ちなみにこの2人が乗っているR35は智の愛車だ。


 R35型GT-Rは第3世代目のGT-Rに当たり、2002年に排ガス規制で生産終了したBNR34以来、5年ぶりに復活したGT-Rだ。名前から「スカイライン」という文字が消え、スペックもスカイラインと縁のない独立した車になった。実質上、6代目GT-Rに当たる。

 フロントダブルウィッシュボーン、トランスアスクル方式を採用し、スカイラインGT-Rの弱点だったフロントヘビーを解消した。BNR32から搭載しているアテーサET-Sも引き続き採用する。

 進化したGT-Rの性能は凄まじく、世界一過酷なサーキットと言われているニュルブルクリンクのサーキットでのテストでは市販車最速記録を打ち出した。

 毎回進化している車だが、智のR35は初期型の2007年モデルだ。

 色は銀色、ホイールはBBS製の金色のメッシュスポークを履いている。フェニックスパワー製のエアロに、トップシークレット製のカーボンボンネットとリアウィングを装備。最高出力は分からないが、600馬力ほどある。


「ふふ、おれは嬉しいですよ」

 智と一緒に外出できて翔子は喜ぶ

 頂上の駐車場(パーキング)に着く。

「頂上に着いたぞ」

「うわあァ~綺麗な景色ですね」

  見事な絶景だ。まるで有名な画家が書いているみたいに美しい景色だ。

 そこに後ろから金髪、茶髪の男2人が来た。

「そこの女の子、ロリ系でかわいいねェーッ!」

  2人は翔子に接触する

「オレ、小学生大好きなんだー! 小学生って最高! 俺ってえらいねー!」

「えェ? おれは──じゅゥ、じゅうゥ……ろくゥ、16歳だよ」

 茶髪の男は小学生大好(ロリコン)だ。

 が、翔子は小学生ではない、16歳だ。

「16!? こんな身体なのにィ……。16歳なのに小学生みたいな身体ってオレ好みだァァ──」

 翔子の年齢を知っても、アプローチは終わらない。

 童顔で背の低いため、翔子は小学生に間違えられるのだ。

「体小さい割に胸デカイねェ~ちょっと触らせてよ」

 小さな身体の割に、翔子の胸はデカい。

 その胸を金髪の男はを触ろうとした。 

「嫌……いやああァァァァァァッッ!!」

 金髪に胸を触られた翔子は嫌がる。それを見た智は――。

「私の大崎に手を出すなァッ!」

 と、自分の髪を掻き上げながら男二人の前に出る。

 翔子セクハラを許せない智は2人の男に襲いかかった。

「また女の子が来たか──。君かわいいね、えらいねー! オレと付き合おうよ」

「こいつもかわいいぜッ! 君は16だねェ! ねえデートしようよ」

 2人組は智をナンパしようとした。

 しかし、

「私はこう見えるが、16じゃないぞッ!」

 一目見れば、智の姿は16歳の少女に見えるが、実年齢は不明の大人の女性だ。

「16歳に見えるならセーラー服着てくださいよ」

 16歳に見える智に対して金髪をそんなことを言った。

 が、

「あああああァァー!」

 金髪の男に智のキックが炸裂。

 しかも数えきれないほどの連続キックだ。

「大丈夫かァッ!」

「ううゥ……痛い」

 金髪の男は立ち上がれないほどに倒れた。

「強すぎる──あの女の子とは付き合えねー」

 智は喧嘩が結構強く、ヤクザが束になっても掛かってきても、それをまとめて倒せるほど強い。

「あああああああああ!」

(バン!)

「うわァッ! 痛たた………強い女の子って怖い……」

 茶髪にもキックが襲いかかる。

 智のキックを食らった茶髪は倒れてしまった。

「もうしませんッ! 許してくださいィィィ!!」

 二人の男は痛みに耐えながら、土下座をした。

「今度、もう一度私や大崎にナンパはするんじゃあないぞォッ! 私たち以外の女性でもなッ!」

「反省しまァァァァァァすッ!」

 ナンパした男二人は素早く逃げていった。

「助けてくれてありがとうございます」

 助けてもらった礼を言う。

「もう少しでおれのおっぱいを揉まれそうになりましたけど、智姉さんが二人組に蹴り飛ばしてくれたので大丈夫です」

「次もナンパされたらまかせろォ、私のキックで助けてやるぞ」

「智姉さァァァァァァんッ!」

「ふわあァッ!」

 翔子は智の身体に抱きついた。

「おれの嫌いな変態を追い出すし、運転がうまいのでかっこいいですよおッ!  帰りでは上りより、本気の運転でお願いしますゥゥッ!」

 帰りは本気の走りで走ってほしいと頼む。

「分かった。じゃあ帰りは本気だぞ」

 翔子の頼み通り、帰り道は本気の走りで変えることにした。

 実は智、元走り屋で北関東では負けなしの走り屋だった。

 今は引退し、ボランティアの仕事をしている。

「本気で攻めてくれるんですか、嬉しいですゥ! 元最速の走り屋・坂下智の走りを見せてくださいッ!」

 

 その30分後、智と翔子は帰ることになった。

「スピードを出し過ぎることもあるぞ、気をつけてくれ」

「はい、死なないようにシートベルトをつけておきます」

 頂上を後にして、赤城のダウンヒルをスタートした。

 長いストレートを通り、ダウンヒル最初のコーナーのるい左コーナーを抜け、第1ヘアピンに突入する。時速は140km/hほどだ。

「もうすぐヘアピンだぞ。しっかりシートベルトを締めているか?」

「分かりました」

 強くステアリングを曲げて、ブレーキを踏み、R35をスライドさせた。

「行くぞォッ!」

 ブオブオと音をたてながらR35スライドする。

「きゃああァァァァァァッ!」

 R35のドリフトのすごさに翔子絶叫してしまう。

「叫んでいるけど、大丈夫かぁ?」

 叫んでいる翔子を智は心配する。

「お、おれは大丈夫ですうゥ! ドリフトが凄かったからです」

「怖いと思ったら言ってくれ。怖い思ったらゆっくり走るからな」

「別に怖くなんかありませんよおォッ! 智姉さんの走りは日本一ィィィ、いや世界一だと思います」

 頬を照らしながら翔子は答えた。翔子は智の走りを見ることが楽しいらしい。

 コーナーを抜け、智のR35は短い直線を走る。

「次は第4コーナーだ。かなりのスピードで突入するぞ」

  時速160km/h程で、智のR35は下り第4コーナーに突入した。

「このコーナーは道幅が広い。ノーブレーキで行こう」

 智はR35のブレーキを踏まず、アクセルオンのままでステアリングを強く切り、スライドさせる。

「これが4WDィ!? ノーブレーキでR35をドリフトさせるなんてすごいですゥ……。」

 智のドリフトのすごさに驚いた。

「智姉さん──このR35、4WDですけどすごいドリフトですね」

「R35の4WDはアテーサET-Sという4WD方式だ。このシステムのおかげで4WDだがサイドブレーキなしでもドリフトできる」

 アテーサET-SとはGT-Rの4WDシステム。

 普段は後輪駆動で走行しているが、走行条件に応じて四輪駆動に変わる。

 昔は4WDでドリフトするなんて無理と言われていたが、1989年にこのアテーサET-Sを搭載したスカイラインGT-Rの登場により、サイドブレーキなしでも4WDはドリフトができるようになった。

「今の時速はァ……175km/hか。この速度だと次のコーナーをドリフトで抜ける時はガードレールにぶつかるなあァ、入るときは軽くブレーキを踏んで125km/hに落とすぞ。」

 スピードが出ていると言って、智はコーナーに入った後、R35のブレーキを踏み、スピードを落とす。

「ここからコーナーが続くぞォ、ちゃんとつかまってくれ」

「はいッ!」

 R35は俊足のスライドでコーナーを攻め始める。このコーナーは3連続コーナーの一つだ。

「ここからは全開のドリフトで行くぞッ! 曲がるすぎるんじゃないぞ、R35ォ!」

 1つ目のコーナーを抜けた後、智は2つ目のコーナーに突入する。ここは1つ目とは違い、ブレーキなしのドリフトでクリア。3つ目は1つ目より軽いブレーキで簡単にクリアしていった。

「……(まだサイドブレーキを使っていないのにィ、4WDで車重の重いR35をこれだけ何回もドリフトさせるとはさすがです)……」

 翔子は智のドリフトの凄さに心の中で改めて実感する。

 次はヘアピンだ。智はブレーキを踏んでスピードを110km/hに落とし、シフトを4速から2速へ下げる。

 車はスライドし、ヘアピンへの突っ込みを始めた。

「……(600馬力のスーパーカーがヘアピンでドリフトを開始しますゥ、突っ込みの開始が4WDと思えません)……」

「……(R35ォ、曲がりすぎるんじゃないぞ)……」

(ブン! ブン! ブオオオオオオオオオオンッ!)

 110km/hのまま、R35はヘアピンをガードレールギリギリでイン寄りにドリフトしながら攻めていく。

「うぇっ! やばい……ぶつかりますよ! ぶつかりますゥ!」

「安心しろ。私のドリフトはガードレールギリギリだがァ、ぶつかりそうでぶつらないぞ」

 ガードレールギリギリのドリフトに翔子はぶつかりそうだと思って絶叫する。しかし、運転スキルの高い智はR35を一つも傷つけずにヘアピンを楽々と抜けていった。

「さっきのドリフト、ぶつかりそうで怖かったですゥ……。これはおれが思う智姉さんの得意技の中では一番怖い技です」

 これの後、智のガードレールドリフトについて翔子は言い始める。

「怖いのかァ? 私は全然怖いと思わないがァ……」

 智の走りは未成年にしてドリフトできるほどの翔子でもビビるほどだ。

「おれは怖いです。ガードレールにわざとにぶつけてしまうと思い、R35を壊してまうと感じました。(智姉さん……クールだなあァ……)」

「フフ、わざとぶつけると思っ ているのか? 私はそんなことしないぞ。自分の車を壊そうとする走り屋はどこにもいない」

 翔子の言葉に智は苦笑いした。


  その後もR35は赤城の下りを、麓まで智の巧みなるテクニックで駆け抜けていったァ……。

 

 智が翔子を乗せながら赤城の下りを攻めて45分後、赤城山を後にし、前橋市のレストランで2人は昼食を取っていた。

「智姉さんが帰りのドリフトは凄かったですね。4WDのR35を一度もサイドブレーキを使わなかったんですよ」

 翔子たちは昼食を取りながら、赤城山で智が見せた帰りのドリフトについて話をしていた。

「これはプロ級以上にうまくなればできるぞ」

 智みたいに4WD車でノーブレーキのドリフトするのは高度の技術が必要だ。

「さらに一部のコーナーをノーブレーキで攻めたんですよ」

「私的には簡単だと思ってるがァ……」

 腕のある智はこれを簡単だと思っている。

「智姉さん、キスしましょうよォ……」

 翔子は人がたくさんいるファミレスの中にもかかわらず、こんな事を言い始める。

「ダメだぞォ……こんな場所でキスはァ……」

 この言葉に智の頬が寒さを感じるかのように赤くなりはじめた。

 智はキスを嫌がったが、翔子はしたくてしょうがなかった。

 それでもキスをしたいという思いはなくならずゥ、

「ちゅうゥゥゥゥゥゥッ!」

 翔子の唇が智に襲いかかってきた。

「や、やめろォォ……ッ!」

 これに、普段何事も恐れないクールな智がどんどん怯え始める。

「変な客ゥッ!」

「頭おかしィィィッ!」

 すると、これを見ていたファミレスの客達が、翔子の行動に笑いだしてしまった。

(大崎がこんな事するから見られたじゃないか)

(あーあ、智姉さんにおれのカッコ悪い所を見せてしまったよ)

 キスのことで笑いものになってしまった2人は素早くファミレスを出ていく。


「人がたくさんいる場所で私にキスをしたらダメだぞ。笑われたじゃないか」

「だっておれ、赤城山の下りで本気のドリフトを見せてくれたお礼でしたかったのですからァ……」

 2人がR35に乗った後、智は店の中でキスをしようとしたことに翔子に注意する。

「もう人前でするんじゃないぞ」

 このことはもう2度とするなと翔子に誓わせる。

「じゃあここでしましょうかァ? ここなら人前で見られませんよ」

 と、言っても、

 人前で見られない車内ならいいと思いィ、また智にキスしようと考えたがァ……。

「しないぞ……。もう家に帰るぞ」

 断固拒否。

 結局、キスはなく家に帰ることになった。


 昼食を食べて15分後ォ、R35は智の家に着いた。

 智の家に流面形の車がある。それは翔子のワンエイティだ。

「さあァ、家に着いた。お前のワンエイティが到着を待っていたぞ」

「ただいまァ、ワンエイティ。おれは帰って来たよ」

 翔子はワンエイティに挨拶(あいさつ)した。

 彼女は挨拶をするぐらい、ワンエイティに愛情がある。

「何ぼぅーとしているんだ。早く家に入ってくれッ!」

  ワンエイティをじろじろ見ていた翔子は、智の呼びかけで家に入った。

かなり遅くなってすみません……。

ドリフトの表現が難しくて……気がつけば1ヶ月立っていました。具体的に書きすぎたのが遅くなった原因かもしれません。次から簡単に書こうと思います。


やっと完成しました! 最速の美少女オオサキ!

この小説は政府によって峠が廃道になって、走り屋が集まるようになった話です。主人公の女の子がハンドルを握るシーンがまだありませんが、暖かく見守ってほしいです。後、百合要素もいれています。


追記:誰が喋ったかを分かるようにセリフの前に名前を入れました。後、一部修正も加えています。(2012年3月11日)


さらに追記:大幅に修正しました(2012年10月15日)


ストーリー追加、文章の書き直しなどの大幅な修正をいたしました。(2013年4月30日)

(魔術)

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