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ACT.52 ゼロカウンタードリフト

 雨のバトルはもう後半。

 2台は<SAKURA ZONE>に突入する。

「サクラ姉ちゃんが抜かれたコーナー、<SAKURA ZONE>だ」

 <SAKURA ZONE>はモミジの姉が翔子に抜かれたコーナーゾーンである。

 このゾーンの名前はモミジの姉から取られている。この<SAKURA ZONE>でモミジの姉は一度も負けたことがなかったものの、翔子に敗れたしまった。その翔子は<SAKURA ZONE>で葛西モミジの姉・サクラを追い抜いた走り屋となった。

「ここ<SAKURA ZONE>でサクラ姉ちゃんは大崎に追い抜かれた。大崎、サクラ姉ちゃんの仇を取ってやるッ!」

 姉のサクラがここに負けたから、モミジはここでリベンジしようと考えている。

「<低速ドリフト>ォォッ!」

 S字直線。

 ここで翔子のワンエイティを<低速ドリフト>でブロックする。

「ついにやってきたかッ! <低速ドリフト>ッ!」

 やっとモミジは低速ドリフトを使ってきた。

「おれも必殺技を使うよッ! 145km/hの<高速ドリフト>ォォッ! イケイケェーッ!!」

「無駄だよッ! 75km/hの<低速ドリフト>ォォッ! ジャストジャストミィィートッ!」

 2台は左ヘアピンに入った。

 後攻の翔子は、雨の路面の中で<高速ドリフト>に攻めにかかり、先行のモミジは低速ドリフトでブロックする。

「雨が降っているのにも関わらず、ツインドリフトが決まるッ!」

「どっちが勝つかァ!?」

 2台のツインドリフトはモミジが勝利、ブロックは成功した。

 <高速ドリフト>を使った翔子はモミジを追い抜けなかった。

「雨が降っていたのか、技が強かったので追い抜けなかった……もう1回ッ! 135km/hの<高速ドリフト>ォォッ! イケイケイケイケェーッ!!」

「抜かせないよッ! 65Km/hの<低速ドリフト>ッ! ジャストジャストジャストジャストミィィートォッ!」

 左ヘアピン後の90度の柔らかいコーナー。

 もう1度翔子は<高速ドリフト>で攻めにかかるが、またブロックされてしまう。

「抜けないィ……さすがだよ、君の<低速ドリフト>ォ」

「ボクの<低速ドリフト>はどうだァ? ボクの前に一歩たりとも行かせないぜッ! だが、バトル前に臆病に震えていたボクの心を熱くしたのは評価するよ」

「速いね──君のお姉ちゃんより速いよ。追い抜けない──ついていけない──負けるかも……」

 次の瞬間、翔子の脳裏にビリビリの振動がッ……!?

(はッ!? 昼、智姉さんは朝を思いだせって言ったよね。それを思い出してみようか)

 昼、智は朝の練習走行を思い出せって言っていた。

 早速、翔子はそれを思い出すのだった──。


 今日の午前6時のこと──。

 朝の赤城山にてダウンヒル中の2台、先行の銀色のR35と後攻の赤白黒のワンエイティが<SAKURA ZONE>に突入した。

 後ろの翔子ワンエイティはR35をドリフトしながら抜こうとする。翔子ワンエイティはドリフトをしているが、ドリフト中なのにタイヤが曲がっていない。それだけでなく、普通のドリフトよりスピードが速い。

「大崎……速いッ!」

 翔子の素早いドリフトは智のR35を追いつめるッ!

 智をコーナーを追いつめるほどの鋭いドリフトだッ!

「ここでも攻めてやりますよォッ! イケイケェーッ!!」

 次のコーナー。

 ここでも前のコーナーと同じ素早いドリフトで智のR35追いつめ、そして追い抜いたッ!

「あれはッ! ゼロカウンタードリフトッ! 大崎はゼロカウンタードリフトを使ったんだッ!」

 今、翔子の使った技はゼロカウンタードリフトという技だ。

 車はグリップ走行のほうが速いと言われている。なぜならグリップ走行は前に進もうとするタイヤの前方向へのグリップがものをいう。そうすると、ドリフトで横を向いているタイヤじゃ、前へ進もうとするタイヤの性能を生かしきれないんだ。だからこそ、カウンターを当てないドリフトが力を発揮する。分かりやすく言えばカウンターを必要としないドリフトアングルを保っていることなんだ。カウンターを当てるってことは、それ以上滑りすぎないようにステアリングでコントロールしないドリフトアングルを保っていることなんだ。カウンターを当てるってことは、それ以上滑りすぎないようにステアリングでコントロールすること、ということはカウンターを当てながらドリフト操作することが無駄になっている。

 ちなみにこのゼロカウンタードリフトはあのドリキンが走り屋時代に最速の走り屋へと導いた技でもある。

「大崎のドリフトはいつもカウンターを当てていたが……」

 元々、翔子のドリフトはいつもカウンターを当てながらのドリフトだったものの、カウンターの当てない走りのため、直戦で走るかのように加速のいいドリフトをしている。


 ふもと。

 2人は車から降りて、話をしている

「大崎、ゼロカウンタードリフトを使っただろ?」

「おれ、ゼロカウンタードリフトを使ったんですか?」

「そうだ。車の操舵を真っ直ぐにしたドリフトのことをゼロカウンタードリフトという。私は走り屋時代、この技をよく使っていたんだ」

 ゼロカウンタードリフトは智の得意技でもある。

「私のゼロカウンタードリフトは3つある。1つ目はお前が使った普通のゼロカウンタードリフト、2つ目は135km/h以上のハイスピードで攻める<高速ゼロカウンタードリフト>、3つ目は連続で放ち、連続コーナーでは強い<連続ゼロカウンタードリフト>だ」

 智が語るゼロカウンタードリフトは3つあるらしい。

 翔子の使ったのは1つ目の普通のゼロカウンタードリフトだ。

「あと、私は本気の半分以下しか出してない。抜かれたのはその理由だ」

 智の走りは本気の半分じゃあなかった。

 翔子に抜かれたからそりゃそうだ。


 現在に戻り、2連続コーナー。

 2台はここに入っている。

「智の姉さんの言っていることはゼロカウンタードリフトのことだねッ! 一か八か、やってやるッ!」

 朝のことを思い出し、翔子は2連続コーナーの最初のあたりでタイヤを真っ直ぐにしたドリフト、ゼロカウンタードリフトを使うッ!

「イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェーッッッッ!!」

 これまで以上に多いかけ声を掛けながら、翔子は攻めていくッ!

 加速の鋭いゼロカウンタードリフトがモミジに襲いかかるッ!

 モミジは低速ドリフトでブロックするが……

「速いッ! ブロックできないィィーッ!」

 モミジを抜きそうなほどの速い、ゼロカウンタードリフトはすごい威力だ。

「あの技は使えるッ! 雨は降っているけど、あの技は使えるよッ!」

 モミジを追いつめた技、ゼロカウンタードリフトは使えると感じたようだ。

「ワンエイティのドリフトッ! モミジの低速ドリフトにつっこむほど速いッ!」

「ワンエイティ乗りの女の子ッ! 僕と結婚してくださいィィーッ!

 翔子ワンエイティが放ったゼロカウンタードリフトにギャラリーたちは魅了されたようだ。

「なんなんだよォ!? 今のォ! この熱くなったボクをビビらせて来てッ!」

 ゼロカウンタードリフトはモミジをビビらせたようだ。

 2連続ヘアピン後は直線を抜けて、右コーナーが差し掛かり、右コーナー後の左コーナーで<SAKURA ZONE>は終わりとなる。

 左コーナーで翔子はまたゼロカウンタードリフトを使う。

「140km/hの<高速ゼロカウンター・ドリフト>ォォォォッッ!!」

 今度は<高速ゼロカウンター・ドリフト>だッ!

「イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケ、イケェーッ!!」

「60km/hの<低速ドリフト>ッ! ジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャスト、ジャストミィィートォッッ!!」

 またモミジは低速ドリフトを使ったものの、

「くそッ! 速すぎるッ! 追いつかれそうだッ!」

 また追いつかれそうになってしまった。

 ゼロカウンター・ドリフトは恐ろしい技だ。

 <SAKURA ZONE>は終わり、第3高速セクションに入る。ワンエイティのほうが加速で勝っていたため、第3高速セクションでのモミジは煽られながら走っていく。

 第3高速セクションを終えるとついにダウンヒル最終コーナーの5連続ヘアピンに入る。

「もう最後かッ! ボクの<低速ドリフト>でブロックしてやるッ! 無駄だと分かっているけどッ!」

 無駄だと分かっていても、翔子の突っ込みに備えてモミジは低速ドリフトでブロックする。

「またゼロカウンター・ドリフトを使ってきたッ!」

 後ろにいる翔子はまたゼロカウンター・ドリフトで攻めてくる。

 アウト側からゼロカウンター・ドリフトを使った。

「負けないように今のボクの<低速ドリフト>は本気なんだッ! 前に行かさないィィーッ!」

 今度の低速ドリフトは成功し、ブロックしたようだ。

 1つ目を終え、2つ目のヘアピンに入る。

「またブロックだッ! アウト側から来るッ!」

 2つ目でも<低速ドリフト>でブロックする。

 今度も翔子はアウト側からゼロカウンター・ドリフトを使う。

 1つ目同様、ブロックは成功した。

「どうだ。 本気のボクを止められないねッ!

 5連続ヘアピン後の翔子のゼロカウンター・ドリフトはブロックされてばかりだ。

「3つ目ッ! もう本気のボクは止めれれないだろッ!」

 またまたモミジはブロックをする。

「今度もアウト側から来る。ボクはよく分かる。ワンパターンだから分かるよ。大崎はまたまたゼロカウンター・ドリフトが使ってくるんだね。無駄だ、無駄無駄、もう3回やってもボクの<低速ドリフト>ブロックされるから無駄なんだ」

 2回ゼロカウンター・ドリフトをブロックしたモミジは勝利を確信した。

 が、

「なんなのォ? もしかして──瞬間移動かッ!? アウト側にいたのに、イン側にいる!? ど、どうやって移動したんだッ!?」

 1つ目と2つ目同様に翔子のワンエイティはアウト側にいたはずだが、イン側に移動していた。

「ウェヒヒ、1つ目と2つ目はわざとブロックされたんだよッ! だまされるようにねッ! <連続ゼロカウンター>は連続コーナーならブロックされても使えるからねッ!」

 1つ目と2つ目でモミジはゼロカウンタードリフトをブロックしたが、実は翔子、わざとブロックされにいったんだ。

「<連続ゼロカウンター・ドリフト>ォォッ! イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェーッ!!」

 モミジを騙しながら翔子は抜きにかかるッ!

「行ったぞォーッ! 大崎が抜きに入ったァーッ!」

 ゼロカウンター・ドリフトを使った翔子がモミジを追い抜くッ!

 雨の中、翔子はモミジのリードを奪ったッ!

「嘘だろ──ボクが抜かれたッ……! あいつ速いな──サクラ姉ちゃんを倒しただけある……いつかあいつは雨原さんを越えるかもしれないね……」

 抜かれたモミジはこんなことを言った。

 姉と自分に勝った翔子は雨原に勝つかもしれないという。

 追い抜いた翔子は残りの連続ヘアピンを攻めていってゴールした。

 翔子は葛西サクラの妹、葛西モミジに勝ったのだ。


 頂上、トランシーバーでモミジの敗北が報告される。

「こちら5連続ヘアピンッ! モミジが抜かれましたッ! 大崎はゼロカウンター・ドリフトで追い抜いてきたようです」

「モミジはサクラ同様に大崎との勝負で負けたか……」

 雨原のチームメンバーのモミジが負けたことに悔しい一言を雨原は言う。

「大崎、ゼロカウンタードリフトを使ったか。新技使って勝ったことを祝ってやるぜ」

 逆に新技を使って追い抜いた翔子を雨原は祝った。

 

「よしッ! 大崎さんが勝ったッ!」

 翔子を追い抜いたことに熊九保は大きく喜ぶ。

「サクラにも勝ち、妹のモミジに勝ったよッ! 大崎さんッ!」

 小鳥遊も喜ぶ。

「妹にも勝ったなッ!」

 そして川畑も喜んだ。


「朝使ったゼロカウンター・ドリフトで大崎は追い抜いたな。私のヒントが役立ったようだな」

 智は翔子の勝利を祝福した。

 智が昼に言ったことが勝利へとみちびいたのだ。



 これでモミジとのバトルは終わりました。


 次回は休載し、11月3日に再開します

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