ACT.51 対決ッ! <オーバー・ロード>ォォッ!
赤城山に雨が降ってきたばかりのスタート地点前の駐車場。
「雨が降ってきたなァ……」
「そういやァ、ギャラリーの数減ってへん?」
バトル開始時にうじゃうじゃと大勢いたギャラリーは少なくなり、別の場所に移ったりして少なくなっていた。
また、バトル開始時に興奮していたギャラリーたちだったが、雨が降ってきたことによってギャラリーたちは落ちきを取り戻している。
「雨が降ってきたけど、大崎さんは大丈夫かなァ?」
翔子は雨でも勝ってくれるんだろうかと熊九保は心配する。
「大丈夫だと思うよ、熊九保さん。大崎さんは今までのバトルに勝ってきたから、雨は乗り越えられるよッ!」
「そうか、たくさんのバトルを乗り越えてきた大崎さんなら、この雨の中では勝てるかもしれないね」
「けど、分からんで。今までのバトルでは雨は降らんかったからなァ……」
翔子にとって、このバトルは初めての雨バトル。
雨のバトルは路面が滑りやすくなっており、車のコントロールがしづらく、おまけにスピンしやすくなっている。
晴れのバトルより苦しい雨のバトルで、翔子はどう戦うのか?
第1高速セクション後のヘアピン。
モミジのアルテッツァが抜きにかかる。
「行くぞッ! <オーバー・ロード>ォォッ!」
モミジのアルテッツァは<オーバー・ロード>を繰り出したッ!
「この技はインでブロックしないとッ!」
この技を防ぐために翔子はインに入るが、
モミジのほうがインに入っていた。
「ジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャスト、ミイイイイイイイイイイトォォォォォォ!!」
<オーバー・ロード>を放つモミジはラッシュするかのようなかけ声をあげる。
モミジは翔子を追い抜き、翔子のワンエイティは<オーバー・ロード>によって、バランスをくずしてしまった。追い抜いたモミジは先に第2高速セクションへ消えていく。
「ワンエイティィィィィィッ! どうしたのォォォォォォ!!」
バランスを崩したワンエイティはフラフラ、ジグザグと真っ直ぐに走れない。
「どうしよう……ッ!」
このままバランスを崩しながら走れば、直線だがスピンする可能性がある。しかも路面は雨が降って滑りやすくなっている。
が、
「ワンエイティッ!? 立て直す方法があるって?」
バランス立て直す方法があると、翔子はワンエイティから心でヒントを得る。「ワンエイティ……君は痛いけど、やるしかないよね」
バランスを立て直すためにわざとワンエイティをガードレールに接触させながら走っていくッ!
この光景、この走りを見たギャラリーはッ!
「あの小娘、なにを考えてやがるッ!」
「車は泣いてるけど、すげー考え方じゃんッ!」
と賞賛の声を送った。
このことはスタート地点では
「こちら第2高速セクションッ! 雨原さんッ! 大崎が──大崎が<オーバー・ロード>のバランス崩しをクリアしましたッ!」
「何ッ! あの技はサクラとヒマワリ、そしてあたしだけしかクリアできないって言われているのに──大崎がクリアしたのかッ! くッ! あたしは悔しーけど、あいつはすげーぜ……」
トランシーバー経由で伝わる。
クリアされたことに雨原は悔しかったが、と同時に、クリアしたことはすごいと大崎はすごいと褒める。
「サクラ姉ちゃん、モミジの技がクリアされたらしいぜッ!」
「──オレの予想通りになったな……」
妹の<オーバー・ロード>をクリアされることはサクラの予想通りだった。
「なんで、予想通りなんだッ!?」
「──オレにはあいつが速いってことはすぐ分かる。最初に大崎は負けたのはオレだからな……」
「へェ~。オレもサクラ姉ちゃんみたいに大崎と戦いたくなったぜッ!」
ヒマワリはなぜ予想通りか分からなかったが、サクラの説得力ある言葉聞いた後は納得した。
第2高速セクション。
<オーバー・ロード>を攻略された先行のモミジは……。
「ボクの必殺技が攻略されたか。けど、ボクは諦めない」もう一度使うために後攻へ行き、後攻を行くために減速をしよう」
必殺技を攻略されても諦めない。再び<オーバー・ロード>を使うために直線にも関わらず、車を減速させる。
モミジが減速すると、翔子のワンエイティが来て、前のモミジの車を追い抜いた。
「次のフニャフニャセクションで追い抜くッ!」
<オーバー・ロード>を使うのは第2高速セクションの終盤のフニャフニャセクションだ。
そのセクションで使うッ!
「<オーバー・ロード>ォォッ! ジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャストジャスト、ミイイイイイイイイイイトォォォォォォ!!」
<オーバー・ロード>が再び炸裂ッ!
インから翔子を追い抜いていくッ!
インから抜かれた翔子は再びバランスを崩して、フラフラ走るようになった。
「またバランス崩してしまったッ!」
モミジの<オーバー・ロード>で翔子は再びバランスを崩すッ!
しかし、バランスを崩した翔子にビリビリの振動が走るッ!
「さっきとは別のやり方だけど、あれで抜けるしかないッ!」
崩れたバランスを立て直そうと考えるッ!
その技とは、
すごいスピードで連続で直線ドリフトを決め、後輪を荷重なしで滑らせているッ! ドリフト中のワンエイティは前輪も後輪も限界以上にすべり、横に飛ぶ感じだッ!
「イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェーッ!!」
この技は慣性ドリフトッ!
ブレーキやサイドブレーキの力に頼らず、名前の通り慣性の力だけでドリフトさせる技だ。
その技はバランス崩したからだせた技で、ピンチをチャンスに変えていく。
バランス崩した翔子はどんどん立て直していく。
「ボクの<オーバー・ロード>がまた攻略されたッ!」
また必殺技を攻略されたモミジは驚きの表情を隠せない。
遅れてすみませんm(_ _)m
ようやく投稿できました。
当初はモミジとのバトルを2話にする予定でしたが、今回の投稿が遅れたので3話となりました。
ネタバレですが、次回でイヨイヨ決着です。




