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ACT.45 オーバー・ザ・レインボウ(虹の彼方)

「DUSTWAY側はSW20を使うヒマワリを出してきたか。ヒマワリの乗るSW20型MR2の駆動方式はFFでも、FRでも、4WDではない、ミッドシップエンジン・リアドライブ、略してMRだ」

 ヒマワリのSW20の駆動方式はMRというもの。あまり聞いたことはない駆動方式だ。

 じゃあ、MRという駆動方式はどんなものか、智に説明をしてもらおう。

「ミッドシップエンジン・リアドライブというものはミッド、つまり真ん中にエンジンを置いている。重いエンジンを中央に置くことでバランス配分が良くなり、コーナリング性能とトラクション(車を前に進ませる力)が強くなる。また、FR同様に後輪を駆動させるためにハイパワーなエンジンを搭載させることも可能だ。その変わり、エンジンを中央に配置にすることによって、後部座席を設置できなくなり、トランクスペースが小さくなる。そのため、この駆動方式が採用されるのは高級スポーツカーぐらいだけだ。日本車でその駆動方式を採用されているのはほんの少数のみ」

 エンジンに中央に置くことをミッドシップという。

 ミッドシップはMRだけを指さず、4WDもミッドシップでエンジンを置いている場合もあるので注意しよう。

 日本車で採用されている車でMR2を除けば、ホンダのNSXとビート、マツダのオートザムAZ-1などとすごく少ない。


 一方バトル中の2台は角度の大きい右ヘアピンに入る。

 それをドリフトでクリアした。

 現在先行は谷村のままだ。

 これを抜けると2連続コーナーに入る。

 谷村は両方ともグリップ走行で抜け、ヒマワリは1つ目はグリップ、2つ目はドリフトで抜ける。

 次はU字ヘアピンに入った。

「まだスピンしないのか──SW20のくせにやるなッ! あと、ミッドシップのくせにきついコーナーではドリフトしやがってッ!」

 MRには旋回が高いかわりに、荷重移動ができないとスピンしやすいという欠点を持つ。そのせいでドリフトのしやすさはFRより下だ。

 しかし、ヒマワリはミッドシップエンジン・リアドライブのSW20をU字コーナーやヘアピンといったコーナーらしいコーナーではドリフトを多様する。

 谷村はヒマワリのSW20がドリフトしてもスピンしない姿を見て、ちょっと驚く。

 U字コーナーを終え、複数のヘアピンを抜けると高速セクションに入る。

「オラオラァッ! 速く走らないとオレは追い抜くぜェッ!」

 ヒマワリSW20は前を走る谷村86にプレッシャーを掛けるッ!

「糞女ッ! 自然吸気をなめんなッ!」

 プレッシャーを掛けられた谷村は負けてられないッ!

 高速セクションを終え、ヘアピンを抜けてまた高速セクションがやってくる。

「あたしは勝ってやるぜッ! スピンしやすい車によッ! そうだッ! お前には先に行かせないよッ!」

 谷村は直線にも関わらず、ブレーキを踏む。

 ブレーキを踏んだ86に、後ろを走るSW20は「コツンッ!」とぶつかるッ!

「痛ェーッ! お、オレのSW20に何をするんだァーッ!」

 車をぶつけられたヒマワリは悲痛の叫びをするッ!

 ヒマワリは他の姉妹と違って、感情を露わにしやすい性格だ。破天荒かつお調子者な所もある。

 だが、ヒマワリは姉譲りの冷静さも持ち、車をぶつけられた後も走りは乱暴にならない。

「まだ抜いてこないね。けど、いつかは追い抜いてくるかもしれないから、ここからブロックしながら走るよッ! あと、SW20のくせにスピンしないとはすごいなァ──」

 谷村は後ろのヒマワリの様子を探る。

 まだヒマワリには抜いてくる気配はゼロだ。

 谷村の走行スタイルがブロック重視に変わる。

「次のコーナーの後は知ってるの? お前のねーちゃんが得意なSAKURA ZONEだよ。あそこはブロックしながら走って、追い抜かさないぜッ!」

 第2高速セクションが終わると<SAKURA ZONE>に入る。

 まずはS字直線を通る。

「ウェ、ヒヒヒヒ……」

 ヒマワリはなぜか笑みを浮かべる。

 なぜだろう? 

 S字直線を終え、左コーナーに入る。

「ブロックだッ! おいッ! ヒマワリッ! あたしァ、ブロックするぜッ! サクラゾーンでブロックしながら走れば勝ったと同然だッ!」

 谷村はブロックしながら突入する。

 ブロックで走れば勝ったと同然だと考えた。

 がッ!

「何ィッ! こんな走りをできるのォーッ!」

「ウェヒヒ、オレの技はブロックを貫通できるんだぜェー!」

 ヒマワリのSW20がブロックを貫通するインをしているッ!

 86のブロックが効かないィィィ!!

「これはオレが必殺技を使っているんだッ! オレの必殺技<オーバー・ザ・レインボウ>、技の中身は時速125km/hでアウト・イン・アウトをしながらドリフトでコーナーを攻め、ブロックを突き飛ばすッ!」

 ヒマワリの<オーバー・ザ・レインボウ>は相手のブロックを貫通する技だ。

 その技は谷村のブロックをぶっ飛ばすッ!

「くそッ! 抜かれるよゥッ!」

「ナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイナンマイ、ダァーッ!」

 SW20のドリフトがブロックしている86を追い抜くッ!

「追い抜きましたよォーッ! ついて来るならオレについて来いよォーッ!」

「くそったれェーッ!」

 ヒマワリのSW20が先行になった。

 先行になった蛍光緑のSW20が左ヘアピン後の90度コーナーを行く。

「ヒマワリが追い抜いたぞッ!」

 ヒマワリの追い抜きにギャラリーは喜ぶッ!


 <SAKURA ZONE>を走り抜け、第3高速セクションも抜けて、そしてラストの5連続ヘアピンに入る。

 ここの4つ目に、ふもとにいたはずの翔子と智がいる。

「どっちが先でしょうか?」

 どっちが先に来るのか翔子は気になる。

「来たぞッ!」

 車の音が聞こえた。

「ターボの音が聞こえる」

「車の色は緑色だ」

「フェラーリっぽいデザインの車──ヒマワリのSW20が先行だッ!」

 車の音が聞こえるとギャラリーがざわめく。

「速いッ! サクラの妹──速すぎるッ!」

 ヒマワリはサクラの妹だけあって、速すぎると翔子は驚く。

 そのヒマワリは5連続コーナーをすべて終え、ついにゴールを果たした。

「ついに勝った……」

 ヒマワリは勝利の一言をつぶやく。


 谷村も完走し、第3戦が終わった。

 ヒマワリの勝利に終わり、アース・ウインド・ファイヤーで戦える走り屋はいない。

 つまり、DUSTWAYが勝利したのだ。

 バトルの終わった赤城山のふもとにはヒマワリだけでなく、雨原とサクラ、モミジが車と一緒に来ていた。

「おい、谷村ッ! DUSTWAYは赤城最速チームということを忘れたのかァ!」

「え、忘れてないよ?」

「独立して、あたしたちを倒そうとしたけど、走り屋を始めたばかりの2人に負けたって──ウェヒヒ、笑えるぜェーッ! DUSTWAYに挑んだってことが間違いだったな。谷村ァ! これからはあたしたとDUSTWAYの前に顔を出すんじゃあねーよッ!」

「雨原ッ! この言葉は覚えておくよッ! お前の言うとーりに顔を出さないよッ!」

 そう言いながら谷村らアース・ウインド・ファイヤーは去っていった。


「もうバトルは終わった。帰ろうか、大崎」

「そうですね」

 バトルが終わった後、翔子たち2人は帰ろうとした。

「ちょっと、いいですか?」

「!?」

 誰かが翔子たちに訪ねてくる。

 オレンジ色のツインテールに低い身長、それは葛西三姉妹の末っ子、葛西モミジだ。

「あなた、大崎翔子さんですよね?」

「そうだよ」

「ボクの名前は葛西モミジ。その大崎さんに対してなんですが、バトル申し込み来ました」 

「え、えェーッ!」

 葛西モミジがバトルを申し込みにきたのだ。

「ボクはあなたが無免許なのに速い走り屋だと聞いてバトルを申し込みに来たんです。ボクと勝負させてくださいッ! バトルはダウンヒル、時間は夜10時。勝負は1対1です。どうですか?」

「勝負なら挑むしかないねッ!」

 翔子はバトルを申し込んだ。

 ヒマワリの走行スタイルなんですが、緩いコーナーではグリップ走行、U字コーナーやヘアピンといったコーナーらしいコーナーではドリフト走行をします。

 あと、上●野浩平先生の<命しらずのパー●ルヘ●ズ>にならって、用語には<>を付けるようにします。

 次回は休載します。次の話は6日後です。

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