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ACT.34 赤城最速の実力

ACT.34 赤城最速の実力、翔子の180SXと雨原のFD3Sはスタートラインに立つ。

 スターターをするのは上りでは1番先に走っていた智だ。

「カウント行くぞッ!」

 智がカウントを始める。

 それに応じ、翔子のワンエイティと雨原のFDのエンジン音が吠え出すッ!

 ウオンウオンッ! ゴロゴロッ! と2台はエンジンの楽器を奏でている。

「10前ッ! 9ッ! 8ッ! 7ッ! 6ッ! 5ッ! 4ッ! 3ッ! 2ッ! 1ッ! GOッ!」

 智のカウントが終わり、先に翔子のワンエイティが出発する。

 翔子のワンエイティはブオンブオンとRB26の(サウンド)を鳴らしながら長い直線を駆け抜けていく。

 翔子に遅れて、雨原のFDも出発した。

 ゴロゴロ、と3つのロータリーのサウンドを奏で、ワンエイティの後ろへ突く。

「売られた喧嘩は買ってやるよォッ! いい、ワンエイティは一歩たりとも雨原を抜かせないようにふもとまで先行で走ろうッ!」

 売られた喧嘩は買う、

 雨原に抜かれたくないと考えて走ろうと翔子は言う。

 長い直線を通り抜けて、2台は最初のヘアピンに差し掛かる。

 この最初のヘアピン2台ともブレーキングドリフトでツインドリフトしながら抜ける。

「互角ッ!? というよりおれより速いィィ……。赤城最速の走りは全く伊達じゃないね

 最初のヘアピンでのドリフト対決は雨原が速かった。

 恐ろしすぎる……赤城最速の女、雨原芽来也の走りッッ!

「なかなかやるじゃねーか。サクラとWHITE.U.F.Oの2人を倒しただけあってやるじゃん。強くなっているな。けど、この赤城最速の雨原様には構わないぜッ!」

 雨原FDのドリフトは翔子をギリギリヘアピンで追うほど速い走りだった。

 角度、進入も、立ち上がり、どれも翔子を上回るほど速い。

 赤城最速の走り屋は速すぎる。この走り屋相手に翔子は負けるかもしれない。

 

 ヘアピンの後は直線を通って右コーナーに入る。

 右コーナーの後はコーナーが連続する。

 S字、左ヘアピン、2連続コーナー、

 これらのコーナーたちを2台は抜けていった。

「速いッ! 逃げれないッ! 戸沢やサクラより速いッ!」

 連続コーナーでも、この赤城で数々の修羅場をくぐり抜けた翔子の腕でも雨原から逃げることができない。

「大崎ちゃんよ、あたしから逃げることなんて無理なんだよッ!」

 雨原から逃げれないというより、

 離したくても、離したくても、雨原との距離は縮められるッ!

 次は第1高速セクション、2台ともアクセル全開で突っ走る。

「全開で行くよッ! 雨原から逃げるよッ!」

 ワンエイティのアクセルペダルを翔子のタイツの包む足が力強く踏むッ!

 ワンエイティの心臓部にあるRB26は「ウオンウオンッ!」と吠え出すッ!

「逃げても、逃げても無駄無駄無駄ッ! あたしのFDが着いてやるッ!」

 ワンエイティに負けずに、FDのアクセルペダルを雨原は全開で踏むッ!

 FDは「ゴロンッ! ゴロンッ!」という叫び声を挙げて、ワンエイティの後ろを走るッ!

「相手は直線でも早い。けどおれは簡単に抜かせないよッ! 次はコーナー、ここでは絶対に抜かせないよッ!」

 高速セクションの後はコーナーだ。 

 コーナーでは抜かせないと翔子は言う。

「次のコーナーでは抜くぜッ! 抜いて決着を付けてやるッ!」

 次のコーナーでは、「抜かせない」と翔子が言っているのに対し、

 雨原は抜いてやると言う。

 そして2台は高速セクションを終えて、ヘアピンに入った。

「抜かせようとも抜かせないよッ! おれの得意技「高速ドリフト」ッッ!!」

 先にヘアピンへ突入した翔子ワンエイティは得意の高速ドリフトでコーナーを攻めるッッ!!

「イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェーッ!!」

 決めゼリフと共に攻めるッ!

 時速130km/hの赤い物体がスライドするッッッッッッッッ!!

「結構速いドリフトだな。が、あたしはそんなドリフトに負けないぜッ! あたしの必殺技行くぜッ! 「ヒール&トゥ」からの「ラヴ・カウントダウン」ッッッ!!」

 翔子の後にヘアピンへ入った雨原は翔子得意の高速ドリフトに対抗して、アクセルを踏む右足をつま先だけ離して、そのつま先でブレーキを踏む。

 そしてシフトを落とす。

 ヒール&トゥだ。



 ヒール&トゥとは右足のつま先でブレーキを踏みながら、右足のかかとでアクセルを踏み、 ギアを1速落とす技術のこと。言い変えると減速後、即加速したときに適切なギアにブレーキングと同時にチェンジする技術だ。

 この技術はバトルの基本中の基本的な技術だが、使うのはとても難しいぞ。


 ヒール&トゥは普通ギアを落とすのは1速だけだが、雨原のヒール&トゥはちょっと違う。

 雨原版ヒール&トゥはなんと、一旦ギアを1速に戻し、一旦6速(FD3Sは普通5速だが、雨原FDは6速に改造されている)にする。6速にした後は2~4速(速度に合わせて)に戻す。

 これらの技を「ラヴ・カウントダウン」という。「ラヴ・カウントダウン」は雨原の必殺技だ。


 雨原はヒール&トゥからの「ラヴ・カウントダウン」で攻めるッ!

 素早い進入で翔子に突くッ!

「何ッ! おれの「高速ドリフト」が負けるゥゥ!?」

 雨原の「ラヴ・カウントダウン」は高速ドリフトを貫通したッ!

「ラヴ・カウントダウン」を使う雨原FDは翔子ワンエイティの高速ドリフトを上回るスピードでヘアピンを攻めていくッ!

「なんて速さなのォ━━!? おれとワンエイティの高速ドリフトより速いドリフトとは恐ろしい走り屋だよ……」

 後ろからの高速ドリフトより速い「ラヴ・カウントダウン」を見て、翔子は驚く。

 最速の使う技は超強力だ、翔子とワンエイティが数々の強敵たちと戦った技に勝つなんてヤバすぎる……。

「なかなかの技だが、あたしには勝てなかったようだなァ! 行くぜッ!」入る前に言っていたとおりにヘアピンで追い抜くぜッ!

 2台がヘアピンを終える時。

 後ろの雨原がヘアピンの立ち上がりで翔子ワンエイティを抜きにかかるッ!

 465馬力、トルク61kg・m、車重1tギリギリのFD3S型RX-7スピリットRの加速が350馬力、トルク47Kg・m、車重1230kgの180SXを追い抜くッ!

 青いFDはゴロンッ! ゴロンッ! とロータリーサウンドを響かせながら翔子を追い抜くッ!

「負けた……」

 追い抜かれた翔子はそうつぶやく。

 翔子は雨原に追い抜かれた。

 そう、負けたんだ。

 今回のバトルは「追い抜かれたら負け」というルールだが、翔子は負けえしまった。

「勝ったぜッ! あたしは追い抜いたから勝ったぜッ! 抜かれても着いていきたいなら着いてきなッ! じゃあな大崎ちゃんッ! オーホッホホホホホホホホッッ!」

 勝った雨原は女王様のような笑い方をしながらFDを転がす。

 普段は男らしい喋り方の雨原だが、興奮すると女王様のように高飛車な笑い方をする。


 ふもとの駐車場、バトルに勝った雨原のFD3Sがここに来る。

 雨原に遅れて、翔子のワンエイティも来た。

「どうだ、これがあたしの腕だ。赤城最速と呼ばれている走り屋に戦おうとまだ速いぜッ!」

(やっぱ速すぎる……赤城最速の実力は本物だよ)

 赤城最速・雨原芽来也。

 彼女は本当に速かった。

 連勝中の翔子に勝ってしまったんだ。

 バトル前に言っていた智の忠告を守れば本当に良かったのに……。

「もう一度あたしに挑戦するなら強くなってからこいよ。あと、おまえに伝えたい話をする」

「それはなんなの?」

 伝えたい話をすると雨原は言う。

 それに気になった翔子は雨原に訪ねる。

「チームメンバーに堀内という奴がいたんだけど、そいつが独立してチームを作っちまった……」

 そのこととはDUSTWAYのメンバーだった堀内たちが独立してチーム「アース・ウインド・ファイヤー」を結成したことだ。

「独立した理由はサクラが負けた、サクラが負けたせいでDUSTWAYが弱くなるかもしれないから立したと言っている。あいつらはあサクラが負けたことを許せず、たしの許可なく独立しちまった……。サクラが負けたせいで弱くなるなんてありえねーッ! サクラは弱い走り屋じゃあないッ! 勝手に独立するなんて許さねーッ!」

 堀内らが独立した理由を語る。

 その言葉には雨原の怒りが入っている。

「じゃあなッ! 話を聞いてくれてありがとよッ!」

 話が終わると車に乗る。

 車に乗った後はエンジンを掛けて、出発をした。

 サイドウインドウを開け、翔子に話を聞いてくれたお礼を言いながら去っていく。


 雨原が去っていた後、智のR35が駐車場に来る。

 智が車から降りてきた。

「負けたのか」

「はい、本当に負けてしまいました……」

「私の予想どうりだな━━雨原は強すぎる、戦ったら必ず負けると私は言ったはずだぞ」

 雨原に負けたことを翔子は言う。

 これは智の予想通りだった。

「あと、雨原がこんなことを言っていました。今すぐ教えます」

 去る前に雨原が言っていたことを翔子は教えると言う。

 堀内たちが独立したことだ。

 それを翔子は智の耳に伝える。

「DUSTWAYのメンバーが独立ッ!? 実は私も昨日の深夜に知った話だ。帰ったら詳しいことを聞かせよう」

 実は独立の件を知っていた。

 昨日深夜に聞いた話だ。

 帰ったら詳しいことを聞かせると言う。

 いやぁ、雨原強すぎですね~。

 大崎ちゃんに勝ってしまいました。

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