ACT.33 着いてくるロータリーマシン
朝の空気が透き通る午前6時━━智の家・翔子の部屋。
「ぐゥ……」
緑色のパジャマを着て、その服の下には黒タイツを履いている赤髪の小さな少女の大崎翔子が寝ている。
「大崎ィ、起きろッ! 今日は走りに行く日だッ!」
「ッ!?」
部屋に智の大きな声が聞こえる。
その声に翔子が起き上がり、服を脱いで着替えを始める。
緑色のパジャマを脱いで、着替えを始めた。翔子の姿キャミソールとパンティー&黒タイツ姿になる。
この姿のままクローゼットから「疾風」と書かれた赤いTシャツ、白いホットパンツを出し、それを急いで身につける。
いつもの服を身につけた後は玄関にいる智に所へ行く。
「良くきたな。それじゃあ赤城へ行くぞッ!」
2人は玄関を出て、それぞれの車に乗る。
翔子はワンエイティ、智はR35だ。
2台の車は家を飛び出し、赤城山へ向かった。
朝の空気が舞う山、ここは赤城山だ。
この山の道路に先行を走る智のR35、その後ろを走る翔子のワンエイティが登ってくる。
赤城山にやってきた2台は赤城山ヒルクライム最初のコーナー、5連続ヘアピンに入った。
と同時に駐車場に1台のボディ全体を縦に白いストライブ線が巻かれた青い車がエンジンを掛けて動き出す。
青い車とはFD3S型RX-7、通称・FD、この車は雨原芽来也の愛車だ。このFDの中には茶髪ロングヘアの長身女性、雨原がいる。
「前に斎藤智のR35、後ろに大崎翔子のワンエイティが走っている。後ろを走っている大崎のワンエイティを狙うとするかッ!」
翔子のワンエイティを狙うと言い出し、
雨原のFDは動き出す。
ロータリーの鼓動音を出しながら駐車場を出る。
雨原が駐車場を出た頃、2台は5連続ヘアピンの最後に入っていた。
「このインを狙うッ! 智姉さんに着くよッ!」
ヘアピンで翔子のワンエイティがインを狙いッ、
先行の智のR35を追い詰めるッ!
「速いッ! 流石に強敵たちと勝負した甲斐のある走りだ」
数々のバトルを得た翔子の走りはパワーアップしており、最強の走り屋と呼ばれていた智にコーナーでやや有利に戦えるほどに進化している。
しかし、ヘアピンが終わると第3高速セクション。
パワーのあるR35は高速セクションでワンエイティとの距離をどんどん離していく。
さっきのヘアピンで追いつめたことが水の泡になった。
一方雨原は2台が抜けた5連続ヘアピンの3つ目に入っていた。
50対50の重量バランスと1トン近い車体の軽さを両立するFDのコーナリング性能と赤城最速を誇るドライバーの腕により、連続する曲線を素早く抜けていく。
「大崎翔子ちゃんはどこだァ! あいつの車を追い抜いてやるッ!」
翔子ワンエイティを追い抜こうという勢いでコーナリングを攻め、
第4、第5ヘアピンを次々に抜けていった。
その後、第3高速セクションへと入る。
翔子たちが高速セクションを抜けてコーナーに入る。
その時、翔子の耳に何か来る!
「後ろから車の音がする……ロータリーの音だ」
翔子の耳に聞こえて来たのはロータリーエンジンの音だ。
ゴロゴロゴロゴロゴロと3ローターの音が聞こえてくる。
「ロータリーの音ってことは━━後ろから雨原のFDが来るゥッ!?」
ロータリーの音ってことは雨原かもしれないと翔子は考える。
その通り、雨原芽来也が乗るFD3S型RX-7が来るんだ。
翔子の周りにいるロータリー乗りは雨原しかいない。
「ついに追いついたぜッ! 大崎翔子ッ!」
雨原のFDが翔子の180SXに迫ってきた。
恐る恐るロータリーのパワーで雨原のFDは迫っていく。
雨原のFDを加えて、翔子の180SX、智のR35の3台はダウンヒルではSAKURA ZONEの終わりに位置する所に入り、コーナーを攻めていく。
「あの後ろから聞こえてくるエンジン音は雨原芽来也のFD3Sか。この赤城で3ローターエンジン搭載の車に乗っているのは雨原しかいないからな」
後ろから来るロータリーの音で雨原のFD3Sが来ると智は分かる。
「私ならかつての腕があるから雨原から逃げることができる、しかし大崎が心配だ、雨原は赤城最速と呼ばれている走り屋で今の大崎には逃げることが難しいかもしれない。この前、熊九保のC33ローレルたちが大崎を追いぬいてバトルになった。この前みたいに大崎と雨原がバトルしたらどうしよう」
雨原に煽られる翔子を見て、智は心配する。
バトルになったらどうしようかと心配している。
もし、翔子と雨原がバトルしたら、100%翔子が負ける。
雨原は赤城最速だ、絶対に逃げられない。
「おれは雨原に抜かれたくないッ! おれは智姉さんに着いていくつもりで離すよッ! 雨原と勝負するもんかッ!」
大好きな智姉さんのために離れたくない。
と考えて、翔子を雨原と勝負せず、智に着いていくつもりで爆走する。
3台はSAKURA ZONEと第2高速セクションを次々に終えて、
第1高速セクションに入っている。
智R35のV6ツインターボの音、
翔子ワンエイティのRB26DETTの音、
雨原FD3Sのロータリーエンジンの音が、
3つに混ざり合う。
「来てよ、雨原ッ! おれは離してやるよッ!」
ワンエイティのRB26が吠えるッ!
翔子はやる気だ、
雨原を離そうとすごくやる気になっているッ!
「コーナーだよッ! 智姉さんのR35に着いていくことを考えるんだッ!」
高速セクションを終えて連続コーナーへ入る。
後ろの雨原のことを気にせず、智に着いていくを考える。
迫り来るコーナーを翔子はドリフトで攻めていく。
「イケイケイケイケイケイケイケェーッ! 智姉さんに着いていくよォッ!」
後ろから来る雨原より前を走る智に着いていくつもりでコーナーを抜けていく。
「離されたくないゼェッ!」
雨原も翔子に着いていく。
離されないと雨原も本気だ。
連続コーナーを終えて、最後のヘアピンへと向かう。
最後のヘアピン、先に来たのは智のR35だ。
このヘアピンを140km/hのドリフトで抜ける。
「大崎は雨原に追われていてもと私に着いていこうと必死だな」
智は後ろを眺める。
雨原FDに追われながら、翔子は智に着いていこうとしているのだ。
智のR35に遅れて、翔子の180SX、後ろに雨原のFD3Sがヘアピンを攻めていく。
「イケェ!!」
翔子がドリフトでヘアピンを抜ける。
「あたしは離れないぜッ!」
負けずに雨原も攻めるッ!
「速いッ! さすが赤城最速の走り屋ッ! 速すぎるッ!」
雨原の鋭いコーナリングが翔子を襲う。
このヘアピンでは雨原のスピードが勝ち、ギリギリ接触するほど翔子に迫るッ!
ヘアピンを抜けた後は長い長い直線を通る。
この直線では翔子は雨原に煽られながら走っていった━━。
直線を終えて、赤城山ヒルクライムのゴール(ダウンヒルではスタート)付近にあるエネルギー博物館前の駐車場へ3台が止まる。
「最近派手にやってくれるなァ! あたしのチームにいるサクラを倒し、WHITE.U.F.Oのメンバーを倒したりやってくれるじゃねーかッ!」
3人がそれぞれの車から降りる。
FDから降りた雨原がワンエイティから降りた翔子に話し掛けてきた。
「あたしはお前の活躍を見てきたァ! さっそくだがバトルだッ! コースは下りだッ! お前、大崎が先行で、あたしは後攻ッ! あたしが抜いたら勝ちッ! お前が抜かれずにふもとへ着いたら勝ちッ! ドリフト走行会の頃からお前がどれぐらい強くなってきたか確かめてやるぜェ!」
突然、雨原はバトルを申し込んで来るッ!
バトルのルールは以下の通り、
コースはダウンヒル。先行が翔子で、後攻が雨原だ。
先に雨原が翔子を抜くか、翔子が追い抜かれずにゴールするかのどれかっが勝利条件だ。
「バトル━━!? うん、いいけど」
これに翔子は断る理由もなく挑む。
「大丈夫か……!? 相手は赤城最速の走り屋だぞッ! 勝てるわけはないぞッ!」
「大丈夫ですッ! おれは勝って、ドリフト走行会の頃からどれぐらい成長したか見てやるんですッ!」
バトルに挑むことに智は心配するが、
翔子は前向きだ。
相手が最速だろうと挑んでやろうと考えている。
「よしッ! じゃあスタートに立ってくれよ」
決まった。
後はスタートに立つだけだ。
今回は後がきは書けませんorz




