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最速の美少女オオサキ ~幼い美少女ドライバーと赤城の山~  作者: まとら 魔術
キャプター2「となりの白い未確認飛行物体」
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ACT.19 謝罪とバトル

 夜7時、前橋のとあるレストラン──。

 窓際の席にWINDSONICのメンバーの2人、雨原芽来也と葛西サクラがいた。

「なあァ、同じ6気筒でも直列とV型があるだろ。これは明日観戦するバトルに関係することだ。大崎のワンエイティが直列で、柳田のZ33がV型なんだ」

 直列とV型の違いについて雨原は話す。

 同じ6気筒でも直列とV型とあるが、今回はその違いについて話しているようだ。

「──最近直列の6気筒は減っている……。性能がV型のほうが良いと考えているし……」

 現在、6気筒以上のエンジンはほとんどV型になっている。

 昔は国産メーカーも直列の6気筒エンジンを作っていたものの、性能面・コスト面・サイズで直6よりV6のほうが有利だと思って直6エンジンが相次いで生産終了させていった。

 今の時点で直列6気筒を作っている会社はドイツのBMWとスウェーデンのボルボぐらいだ。

「──回転の滑らかさ……音の良さ、耐久性、作りやすさは直6が上だ……。が、コスト面の安さではV6が上……コンパクトさではV6が上……」

「軽さ、安全性、エンジン性能もV6が上だ、どれもV6が優れている。けど、あたしは直6のほうが好きだぜ。パワーに耐えれるし、音もいいからだ。直6ってV6より魅力いいぞ」

 V6は直6の性能をほとんど上回っている。

 しかし、直6は現在希少品になってきていることで人気が高く、特に日産のRBエンジンとトヨタのJZエンジンは頑丈でハイパワーに耐えれることからチューナー達に人気が高い。

「──話をバトルのことに変えよう……。柳田のZ33は元々NAだが、それにツインターボを搭載し……ハイパワーと高トルクを手に入れたエンジンだ……」

 話は6気筒の話から今度のバトルについての話に変わる。

「大崎のRB26はエンジン自体重く、パワーは柳田より大きく下回る。おまけに高回転向けに設定されたエンジンなのでトルクが高くない。ヒルクライムで戦うにはキツそう。しかし大崎はどう戦うんだろうか」

 柳田のZ33に搭載されているVQ35はボルトオンターボ化(NAにターボを積ませる)された500馬力のパワーと59kg・トのルクを持つエンジン。

 対する翔子のワンエイティに搭載しているRB26は柳田Z33のVQ35改ツインターボより重たく、350馬力とちょっとパワーは低めで、トルクは47kg・mと柳田Z33よりやや高く下回る。

「柳田はヒルクライムが得意な走り屋で、地元榛名でのヒルクライムはほとんど負けたことのないらしい。とっても強敵だ。大崎はこいつに勝てないかもしれない」

「──しかし、大崎は勝つかもしれない」

 今度のバトルは翔子が勝つとサクラは考える。

「──大崎は変わった走り屋………サクラゾーンでオレを抜いたヤバい奴だ……。あいつは柳田にも勝つだろう……」

 サクラにとって翔子は不思議な走り屋だ。

 サクラが1度も負けたことのないサクラゾーン(第2高速セクションの終わりから第3高速セクションの始まりまで)で翔子が勝利したからだ。

 この理由で不思議な走り屋だと思うようになったんだ──。


 翌日になり……柳田とのバトル当日の朝、午前8時。

 翔子はRB20三人衆(熊久保宣那、小鳥遊くに、川畑マサミ)と共に前橋公園にいた。

「大崎ちゃん、今夜はバトルだね」

「うん、今日は柳田戦の日。このバトルは智姉さんにやめたほうがいいと言われたけど、熱くなりすぎて調子に乗ってしまいバトルを挑んじゃった。

 しかし挑まなかったらみんなに迷惑だと、智姉さんと熊久保さんに言われて挑む気になったよ。今日は頑張るから!」

 今日は緊張の1日。

 なぜなら柳田とのバトル当日だからだ。

 最初は熱くなりすぎて調子に乗り、勝手にバトルを挑んでしまった翔子。

 これには後悔してしまったが、智と熊久保から励まされて勝負する気へと変わった。

 もう挑んでしまいましたという後悔はない。

「バトルはサクラの頃とは(ちゃ)い、ヒルクライムで勝負や。ヒルクライムといえば大崎はんがうちら3人とバトルした時、これで勝負しとったな。ドリフト走行会上位やったうちらを大崎はんは抜いていったんや、大崎はんはダウンヒルだけでなく、ヒルクライムも得意と分かった」

 この前の翔子vsRB20三人衆ではヒルクライムで勝負した。

 この勝負で大崎が勝利したから川畑は翔子はダウンヒルだけでなく、ヒルクライムも得意だと考える。

「おれのことをヒルクライムが得意と言うけど、相手はおれよりヒルクライムが得意な走り屋だよ。愛車はヒルクライム向きにチューニングされていて、運転の仕方はサイドブレーキだけでコーナーを攻めるスタイルなんだ」

「サイドブレーキ走行はブレーキを壊してしまうというデメリットのある走り方やで」

「実は、柳田はそれの対策をしているよ。ブレーキを頑丈な物に変えているんだ」

 柳田のサイドブレーキ走行はブレーキを壊しやすいという欠点がある。

 しかし、その欠点を柳田はブレーキの交換で補っている。

 柳田はブレーキ踏む走行をしないものの、細かい所を気にして、それを交換していたのだッ!

「大崎さん、今日のバトルで年齢のことを謝るんでは……?」

「あ、今日年齢のことを謝るんだったよ! 18歳と言っちゃたことを柳田に謝らなくちゃッ!」

 バトル当日には必ずしないといけないことがある。

 そう、それは年齢偽装の謝罪。

 実年齢は16歳だが、それを18歳と偽装してしまった。

「16歳と言っても構わなかったはずです。あたしは高校入学した頃から始めました。周りにいるくにちゃんも川畑はんも18歳未満なんですよ」

 柳田に16歳と言っても良かったはず……。

 川畑も小鳥遊も翔子同様に18歳未満の走り屋だ。(川畑は16歳、小鳥遊は17歳だ)

「やっぱ16歳と言っても構わないんだねッ! ありがとう、熊九保さんッ! 謝罪する勇気がでたよッ!」

 熊九保の言葉で翔子は謝る勇気が出てきた。

 勇気を出してくれたことに翔子はお礼を言った。

「今日は柳田に謝るぞォーッ! あっ、熊九保さんどこ行くのォーッ!」

 突然、熊九保が翔子の場所から離れる。

 それに小鳥遊、川畑も一緒だ。

 どこに行くんだろうォ?

「いい加減気づくだッ! この車は駆動式がFFでブサイクなことをッ! 分かるべかッ!」

 なんと、熊九保はティアナ(2代目J51型)をバカにしていたッ!

 熊九保の喋り方は福島弁に変わった。

「「自分はドリフトが好きじゃないから、駆動方式はかんけーし」と言ってティアナに乗るんじゃあないよッ!」

 これに小鳥遊も続き、

「ティアナはクズ車やッ! ティアナに乗っても馬鹿は馬鹿~♪ ティアナに乗っても馬鹿は馬鹿~♪  ティアナに乗っても馬鹿は馬鹿~♪  ティアナに乗っても馬鹿は馬鹿~♪ ティアナに乗っても馬鹿は馬鹿~♪ 」

 川畑も続く。

 川畑は阿波踊りをしながら馬鹿にした。

「みんな、何してんのォ?」

 ティアナを馬鹿にする3人に翔子が訪ねる。

「な、何でもありませんよー!」

 さっきのことを隠す。

 翔子にティアナを馬鹿にしたことをバレたくないんだろうか……。

「君たち、聞こえたよォ~嫌いな車を馬鹿にしたんだって?」

「あァァァ!! バレたッ!」

 だが、バレてしまった。

 ティアナを馬鹿にするときの声が大きかったのか、翔子に聞こえてしまった。


 昼の12時。

 前橋のレストランにWHITE.U.F.Oの戸沢国光と柳田マリアがいる。

「今日はいよいよ決戦の日だな」

「そうじゃん、戸沢」

 今夜11時には待ちに待ったバトルが開かれる。

 バトルまであと11時間だ。

「戸沢、あたしはこの前サクラにこんなこと言われたじゃん。「お前は絶対大崎に負ける」って言われたじゃん」

 この前、柳田がサクラと一緒に赤城山でヒルクライムしたとき、サクラから言われたことを言う。

「柳田は負けると思ってないのか?」

「負けねーよ! あたしはサクラの言葉を信じないじゃんッ! 500馬力、トルク60kg・mのZ33の走り、それに加えてあたしのサイドブレーキだけのドリフトでコーナーを攻めるスタイルなら、大崎に勝てるじゃんよォッ!」

 サクラの「絶対負ける」という言葉を信じず、柳田は翔子に勝つ自信がある。

(今夜見てろよ、大崎! お前はあたしに100%負けるじゃん!)

 勝つ自信のある柳田は絶対翔子に負けないと心の中で誓う。


 時は過ぎて行き、バトル1時間の午後10時となった。

「おれ、バトルに行って来ます」 

 翔子はワンエイティに乗って、智の家を出発しようとする。

「年齢の事、謝れよ。私も今日のバトルに連れて行ってくれ」

 家から智が来た。

 智も翔子のワンエイティの助手席に乗車する。

「絶対謝りますよ、絶対にです(ああ、緊張するゥ……)」

 朝謝ってやろうと自信満々だった翔子だが、

 顔から見れば、緊張している。

 時間がバトルの11時に近づくと緊張の糸が加速する。

「謝ることをバトルのように頑張れ」

「はい、頑張ります(相手は許してくれるんだろうか………)」

 今日、謝罪する予定の翔子を智は激励する。

 だが、時が経つことに翔子の緊張は加速してゆき、許してくれないんだろうかという悲観的な事も想定するようになった。

「じゃあ、行きますよォーッ!」

(ブオン、ブオオオオオオオンッ!)

 午後10時10分、翔子のワンエイティは家を後にし、赤城山へ向かった。


 赤城山の頂上……。

「バトル──あたしは参加者みたいに緊張してきたよ……」

 熊九保、小鳥遊、川畑もギャラリーとしてバトルに来ていた。

「ああ、くにちゃんは待ちきれんないよォ~!」

「うちもや……」

 翔子応援サイドの3人まで緊張してくる。

 その緊張はバトルのことではない、

「ちゃんと年齢偽装したことを謝ってくれるんかなァ……」

 年齢偽装のことだ。

 年齢をサバ読んだ件で謝ってくれるんだろうかと心配している。

 

 ふもと、

 WINDSONICの2人も観戦に来ていた。

「楽しみだぜ、サクラァ! どんなバトルになるのかなァ!」

 雨原は今日のバトルを楽しみにしている。

「──大崎(あいつ)は勝つのだろうか……?」

「分からないぜ、大崎が勝つのかどうか分からないぜ」

 サクラに勝利した翔子、

 ヒルクライムを得意とする柳田、

 勝敗はWINDSONICの2人だけでなく、ギャラリー全員も気になるものだ。

「来たぞッ! ワンエイティとWhite.U.F.Oが来たぞッ!」

 翔子ワンエイティ、White.U.F.Oの柳田Z33、戸沢DC5が3台同時に来る。

(ピィッ!)

 その3台は、駐車場で同時に停車した。

 3台からそれぞれドライバーが降りる。

「待ちに待ったバトルじゃんッ!」

「実は言いたいことがあるんだ……」

「何じゃん?」

「前、おれは18歳って言ったよね。実は間違っているんだ、本当の年齢は16なんだ」

 ついに翔子は年齢をサバ読んでいたことを柳田に告白した。

「自分の年齢をウソついて、ごめんッ! 実はおれは運転免許証を持っていない、運転免許証を取れない年齢の女の子がバトルを挑んだらナメられそうだと思って、18歳と言っちゃったんだ、このことは本当に後悔してるよッ!」

 土下座をして謝罪する。

 これぐらいサバ読んだことを後悔しているのだ。


(ぞわ……ぞわ……)


 この謝罪に柳田は──。

「本当は18歳じゃなくて16歳だって……?

 ハハッ! アッハッハッハッ! 16歳で車を運転する人間って面白いじゃんッ! まあ、いい今回は許してやるじゃんッ!」

(良かった……許してくれた)

 年齢を偽装して謝る翔子を柳田は許してくれた。

 これで年齢偽装問題は一件落着だ。

「さてと、バトルについては予定通り11時から始めるじゃんッ!」

 今は10時30分。

 バトルまで30分ある。


 2週間ぶりの最新話です。

 最後のほうは電池切れに悩まされました。

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