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最速の美少女オオサキ ~幼い美少女ドライバーと赤城の山~  作者: まとら 魔術
キャプター2「となりの白い未確認飛行物体」
22/67

ACT.17 柳田マリアという女(前編)

 午後8時、赤城山のふもと駐車場。

 ここにはWINDSONICの葛西サクラとWHITE.U.F.Oの柳田マリアがいた。それぞれの愛車JZA80スープラ、Z33型フェアレディZもある。

「サクラァ、あたしはお前を倒したワンエイティ乗りの大崎に勝負を挑むじゃん。日は12日にバトルすると決めたじゃん」

 今度翔子とバトルすることを柳田はサクラに告げる。

「……」

 しかしサクラはこれにノーコメントだ。

 この前サクラはチームメンバーの谷村・堀内に翔子とのバトルで負けたことを馬鹿にされてしまい、元気がない。

「おい、返事ぐらいしろよッ! あたしは今度お前に勝った走り屋に戦うから返事しろじゃんッ! ここのヒルクライムで勝負するからなッ!」

「──興味ないな……」

「ヘッ!?」

 ちょっとぐらいサクラは返事をしたもの、

 帰ってきた言葉は「興味ない」という一言だった。

「──大崎とのバトル……絶対お前は奴に負ける……。大崎は結構速い強敵だ、オレが一度も敗れなかったサクラゾーンで追い抜いた……。今度のヒルクライムでも同様の結果になる。予想を言おう、負けるとな……」

 今度のバトルについて、サクラは柳田が翔子に負けると思っている。

 サクラが一度も負けたこともないサクラゾーンで敗れたからそれを思っているらしい。

 しかし、柳田は──。

「ハハハッ! あたしは負けねーじゃんッ! あたしはWHITE.U.F.Oの中では一番ヒルクライムが得意じゃんッ! あの大崎という小娘はあたしのヒルクライムでイチコロじゃんッ! サクラのゆー通りになんねーよッッ!」

 と楽勝だと思って笑い出した。

 サクラの言葉なんて信じないと笑い出す。

「──大崎を甘く見るな……オレが一度も負けたことのないコーナーでオレを追い抜いた走り屋だ……」

 翔子に勝つことはそう甘くないとサクラは言う。

 それのことに柳田は態度を変え、

「なんだと……ッッ! お前はあたしが大崎に負けると言いたいじゃんかッッ! ふざけんなッ! あたしは大崎に勝つじゃんッッ! 絶対にヒルクライムで勝つじゃァァァんッッッ!!

 と言いながら、感情を笑いから怒りに変えてサクラの肩を(つか)む。

「じゃあ勝負じゃんッ! あたしと勝負じゃんッ! 大崎との勝負の前哨戦じゃんッッッッ」

 サクラのお前は負けるという言葉に怒りだす柳田は翔子戦の前哨戦として、サクラにバトルを申し込む。

「──バトルする気はない……」

 しかし、バトルする気はしない。

 サクラはここから立ち去ろうとする。

「おい、サクラッ! 逃げんじゃねーじゃんッ! 3分だけ待ってくれじゃんッ!」

「……!」

 去ろうとしたサクラを柳田が呼び止める。

「逃げることは許さねーからなッ! あたしと勝負しろじゃんッ! 絶対勝負しろじゃんッ! 200mに離れてもいいからついて来いッッ!!」

 離れてもいいからついて来いとサクラにバトルを誘う。

 これに応じたのか、

「──お前がバトルしてくれしてくれと言うのなら受けてやる……。ただし、さっき言った通りオレは勝負する気ない……」

 サクラはバトルを受けた。

 ただしさっき言った通り、勝負する気はない。

「交渉成立じゃんッ! さぁバトルするじゃんッ!」

 2人は車に乗り、スタートラインに(なら)ぶ。

「さぁ、行くじゃんッ!」

 3、

 2、

 1、

 GO!!

(ドロン、ドロオオオオオオオオオオンッ!)

(ウオン、ウオオオオオオオオオオオンッ!)

 2台の車は一斉にスタートする。

 先に出たのは柳田のZ33だ。

 第1コーナー、どちらもドリフトで突っ込む。

「──あいつの車はオレより遥かにパワーは高くて500馬力もある……Z33は直進安定性が優れすぎてJZA80よりドリフトがしにくい車……この2つを持っているのに

凄まじいコーナリングだ……ブレーキングを踏んでいない……」

 柳田Z33のパワーは500馬力。サクラJZA80より120馬力高く、翔子ワンエイティより150馬力高い。

 Z33型フェアレディZは直進安定性を重視したセッティングをしており、FRなのにドリフトがお世辞にもしやすいと言えない。ドリ車のベースとしてはやや少なめ。

 しかし、柳田Z33は別物だ。5連続ヘアピンをブレーキランプを光らせないドリフトで抜けていく。

「地元の榛名山にも5連続ヘアピンがある。ここぐらいならブレーキを光らせずに抜けれるじゃんッ!」

 地元にあるコーナーだから、ここならブレーキを光らせずに走れると柳田は言う。

 ブレーキを光らせない走りで、サクラとの距離を離していった……。


 頂上──。

「サクラッ! 見ただろッ! あたしの実力はすごいじゃんッ! お前との距離を付けてやったじゃんッ!」

「──言っただろ……オレは勝負する気がない……だから離されてしまった………。オレが勝負する気なかったから……今回の勝負はなしだ……勝負なら両方本気で戦うことだ……」

 離されたのは勝負する気がないからだと言う。

「──オレは聞きたい……ブレーキランプを光らせないドリフトは……フットブレーキなしのサイドブレーキドリフトだな………?」

 5連続コーナーで見せたブレーキを光らせずに攻めるドリフトとはサイドブレーキドリフトだと聞く。

「そうだぜ、サイドブレーキドリフトじゃんッ! あたしの得意技じゃんッ!  フットブレーキを踏まずにサイドブレーキで攻めるドリフトじゃんッ!」

 サクラの質問は正解だった。

 本当にサイドブレーキドリフトだった。

 フットブレーキとは足で踏むブレーキのことで、一般的にブレーキと呼ばれている。

 柳田はそのフットブレーキを踏まず、サイドブレーキを使うドリフトが得意だ。

「──オレならその逆だ。フットブレーキは使うが……サイドブレーキは使わない……雨原さんも一緒だ」

 サクラの場合、柳田と逆でフットブレーキを踏むが、サイドブレーキを使わない。




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