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最速の美少女オオサキ ~幼い美少女ドライバーと赤城の山~  作者: まとら 魔術
キャプター2「となりの白い未確認飛行物体」
21/67

ACT.16 挑むが唯一の選択肢

 赤城山へドライブから帰って2時間後の8時、智は仕事に出掛けた。

 このことで翔子はいつもどおり──

「とゥ……も姉さ……ん」

 失神していたッ!

 ほんとに翔子はよく失神するなあァ……。


(ブオン、ブオオオン!)

 智の家の前、誰かが来たようだ。

 車種はオレンジ色のC33ローレル、これは見たことのある車だ。

 そう、今日翔子とバトルした熊九保宣那のC33だ。

「この車──。大崎さんの車だ! 大崎さんはこの家に住んでいるんだ!」

 智の家の前に翔子のワンエイティがある見て、

 熊九保は翔子が智の家に住んでいると思った。

 熊九保、そのとおりだよ。

 車から降りて、家に向かう。

(ピンポーン)

 家に入るその前に

「んん……誰か、来たよ──」 

 失神して元気のない翔子がピンポーンに反応する。

 元気がないにもかかわらず立ち上がって、このピンポーンに応じ、ドアを開けた。

「はーい! 来たよ大崎さん! はいはい起きてッ!」

「──うう……智姉さん……どこですか」

 熊九保は翔子を起こそうとした。

 しかし、起きない。これぐらい智のことを想っているようだ。

「こうなったら引っ張ろう。よっこいしょ……!」

 起きないなら強引に引っ張ることにする。

 翔子の左手を(つか)んでその身体を引っ張り、彼女の身体が寝た姿勢のまま外へ連れて行った。

 

「来たで」

「大崎ちゃん! くにちゃんも来たよ!」

「よお、川畑とくには来たのかッ!」

 外には熊九保同様学生ドリフト甲子園の上位入賞者のHCR32スカイライン乗り・小鳥遊くにとA31セフィーロ乗り・川畑マサミの2人も来ていた。

「ぐぅ……智姉さん……」

「おい、やる気を出しなさいよッ! あたしを倒せるほどの走りをしていた大崎さんはどうしたんですかァ?」 

 朝の走りを見せた姿は本当にどうなったのか、熊九保も気になるほどの翔子のダメっぷり。

 智がいないと動けないのかァ?

「おはよう大崎ちゃん」

「おはようや」

「挨拶してくださいよ大崎さん」

「おはよう……」

 小鳥遊と川畑があいさつをしたから熊九保は翔子にあいさつを返してと言うが、

 翔子はやる気がないため挨拶をしなかった。

「さぁ、入って。家に入って」

「はい」

「やで」

 3人と倒れている1人は智の家の中に入る。

 倒れている1人こと大崎翔子は川畑と小鳥遊の2人に持ち上げられながら家に入る。

 4人はリビングに行き、テーブルに座って何か話し始めた。

「どうして速いのですか? 大崎さん」

 内容は翔子の速さの秘密についてだった。

「分からない。智姉さんが速いからだと思うよ。おれは速い人に着いていたから速くなったと思うよ」

 しかし、熊九保を倒せるほどの強さは翔子には分からない。

 智の速さに着いて行っているから速いと思っている。

「じゃあ智姉さんという人ってなんですか? あたしに教えてくださいよ、大崎さん!」

 次は智のことに着いて聞く。

 熊九保は智のことが気になるようだ。

「智姉さんですか……智姉さんは──お・れ・の・恋人ォ~♥ そしておれを妹みたいに可愛がってくれるお姉さんなんだよォ~♥」

 智のことを思い出し、照れながら答える翔子。

 恋人やお姉さんみたいな人と答えた。

 照れながら答えるって──おいおい、どれぐらい好きなんだよ!

「朝バトルしたとき、学生ドリフト甲子園のチャンピオンって言っていたよね。この学生ドリフト甲子園ついて教えてほしいな」

 次は翔子が聞く番だ。

 学生リフト甲子園のことについて聞いた。

「学生ドリフト甲子園は──ドリヘブンという雑誌が主催している大会だよ。毎年夏休みで開催されているんだ」

 翔子の質問に答える。

 学生ドリフト甲子園はドリヘブンという三洋書房のドリフト専門自動車雑誌が主催しているモータースポーツの大会だ。

 名前の通り、参加条件は学生であることだ。

 このドリフト甲子園は歴代優勝者の中にプロのドリフターを輩出したこともある。

「あたし、すごいでしょーッ! 有名ドリフト雑誌主催の大会優勝しちゃったぜーッ!」

「でも、おれに負けたんでしょ」

「それを言うなべッ!」

 熊九保は前年度のチャンピオンだが、今日のバトルで翔子に負けてしまった。

 しかし、次のことは翔子の深刻の悩みを言うことになる。

 その悩みとは──。

「熊九保さん、おれ聞きたいことがあるけど……今度バトルがあるんだ」

 3月31日に柳田と約束したバトルのことだった。

 このことを熊九保に打ち明ける。

 これに熊九保は……。

「ハハハァッ!」

この悩みを解決するなら──日の光を浴びたほうがいいよッ!」

 と、悩みなら太陽の光を浴びればなんとかなると言った。

 熊九保は翔子を手を掴んで連れて行き、一緒に外へ出る。。

「熊九保さんはどうしたいんだろう。大崎ちゃんを連れて行ってどうしたいんだろう」

「うちも行くで──」

 翔子を連れていった熊九保が気になり、小鳥遊ら2人はその後を着いて行く。

「外に着きました。息を吸ってください」

「スゥーハァー」

 外に出て、熊九保の言うとおりに翔子は息を吸った。

「悩み消えましたか?」

「消えてない」

 熊九保の解決策は失敗だった。

 悩みなんて消えてない。

「なんだよー消えてないのですかいッ! あっ、ティアナが来るッ! あごォ、ティアナはクズべッ!」

 ここの前の道に1台の日産ティアナ(初代)が来る。

 そのティアナを熊九保は蹴ってしまった。

「なんで蹴るのォ!」

 ティアナを蹴った熊九保に翔子は注意した。

「わだすはティアナが嫌いだべッ! ローレルの後継車なのに前輪駆動ッ! ローレルと違ってスポーティーさがないッ! スポーティーさより後部座席の広さを優先している車で、後部座席の広さは心の狭まさを表すッ! オバサン臭いッ! ブサイクなデザインッ! 地味な車ッ! 21世紀の汚物ッ! だからわだすはティアナが嫌いだべッ!」

 キックした理由はティアナが嫌いだからだ。

 熊九保は、ティアナの前輪駆動でお世辞にもスポーティーといえない性能の悪さ、そしてデザインが嫌いなのだ。

「嫌いで蹴ったって──やれやれだよ」 

 翔子は(あき)れた。

 ティアナを嫌いという理由で蹴ったことで呆れた。

(ドロン、ドロオオオン)

「あの音──走り屋っぽい車が通るぞッ!」

「その音は……柳田のZ33の音だッ!」

 智の家前に柳田のZ33が来た。

 この車が来ることを翔子は音で分かった。

 柳田はZ33から降り、翔子たちの前に来る。

「よお、オオサキッ! お前の車、ワンエイティがあったから、ここにいると分かったじゃん!」

 智の家に翔子がいると分かったのは翔子ワンエイティが置いてあったからだ。

「こいつ知ってる? おれが今度バトルする相手だよ。隣にある榛名山を本拠地にしているチームのNo.2なんだ」

「こいつがバトルする相手っすかァ──車は速そうですね……ジェット機みたいだ」

 柳田ついて、今度バトルする相手だと話す。

 柳田のZ33を見た熊九保は、あまりにも速そうだと思って身体に電気ショックを浴びたような感覚を浴びてしまう。

「今度の12日にバトルするって言っただろ 準備は出来ているのかじゃん?」

「いやァ──その……」

 翔子は答えなかった。

 バトルするのが怖いではなく、適当にバトルしてしまった後悔と、年齢をサバ読みしたという2つの後悔があったか答えれなかった──。

「速く言えじゃんッ! 逃げたら許さねーからなッ! 試合放棄もなしだッ! 12日のバトルには来いよッ! もし来なかったらサクラに“ワンエイティ乗りは弱虫だ”って言ってやるじゃんッ!」

 答えれなかった翔子に柳田はバトルしろと挑発した。

 試合放棄したらWINDSONICのサクラに「翔子は弱虫だ」というつもりらしい。

「どうしましょう──バトルは受けないと汚名(おめい)を喰らいます」

「ん──」

 バトルしろと翔子が挑発されているのを見て、熊九保は「バトルを受けないといけない」のかと焦った。

 翔子は本当にバトルしなきゃいけないのかって悩みはじめる。

「じゃあ12日の夜には赤城山に来いよッ! 逃げたらお前の負けにしてやるッ!」

 この言葉を残して、柳田はZ33に乗って去っていく。

 改めて「逃げることは許さない」と。

「おれは部屋に残るから、1人にして。部屋に入らないでよ」

「大崎さん……」

 柳田にバトルしろと挑発され挙げ句、翔子は部屋に1人で閉じこもることにした。

 熊九保には部屋に入るなと忠告する。

(おれは本当にバトルを受けても良かったのだろう──あいつは隣のチームのNo.2。葛西サクラより速い相手かもしれないし、しかも車は熊九保さんがジェット機のような車だと言うほど速そうだし、おれは逃げたくなるよ……。おれはどうして挑んだのだろう──受けないほうが良かった。そして年齢を偽った……おれは16だけど、18って言ってしまった)

 彼女の脳裏には鉄より重い悩みがのし掛かる……。

 勝手にバトルを挑んだこと、年齢の偽装という2つの後悔、逃げたら弱虫と言われる。

 その3つのプレッシャーが翔子を襲う。

 3つのプレッシャーに翔子はどうすればいいのか──。

 翔子は解決策はないのか?

 3つのプレッシャーを背負いながら自分の部屋に着き、ベッドに横たわる。

「おれはどうすればいいのか……怖いよ──。おれは馬鹿にされるのが嫌い、馬鹿にされたらすぐキレるからねェ」

 逃げたら馬鹿にされる。

 逃げれば、サクラに勝利して手に入れた名声が水の泡になってしまう。

 

 時が過ぎ、午後5時。

 仕事に行っていた智が帰ってきた。

「ただいま。あれ大崎がいないぞ、どこにいるんだ?」

 いつもなら智が帰ってきた時は翔子がいるのだが、

 翔子は自分の部屋で引きこもっている。

 変わりに熊九保がいる。

「大崎さんは部屋で引きこもっていますよ。あと、あたしは大崎さんとバトルしたC33ローレル乗りの熊九保宣那です」

「お前は私の家に来ていたのか。朝大崎とバトルしたC33乗りだな、お前の言うとおり大崎の部屋に行くぞ」

 熊九保は翔子が自分の部屋にいることを教えた。

 教えてもらった智は早速翔子の部屋に行く。

「ただいま大崎。私は帰ってきたぞ」

「智姉さん、おれは悩んでいます」

 翔子の部屋の前、

 智はただいまのあいさつをするが、

 翔子のほうはしなかった。

 悩みがあったからだ。

「おれはバトルは受けて良かったのでしょうか──年齢偽装したことも後悔しています」

 2つの悩みで翔子は引きこもっている。

 これだから部屋から出ないし、あいさつもしない。

 熊九保も部屋の前に来る。

「お前は勝手に挑んでしまったから悪いんだ! 私の言うことを聞かないから悪いんだ! 柳田は強敵だぞ、お前の腕では勝てないぞッ!」

 お前が悪いんだと言って智は叱る。

 その通り、翔子が勝手に挑んだのが悪い。

 翔子がそんなことをしなければそんなことをしなければ、後悔なんてしなくてもすんだはずだ。

 しかし、それはもう遅い。

 今は後悔ばかりだ。勝手に挑んだことに後悔している。

 対戦相手の柳田マリアは弱くない相手だ、隣の榛名山最強チームのNo.2にいる。

 今度のバトルはヒルクライムで、柳田はヒルクライムが得意な走り屋だ。

「けど、挑むしかないです──」

 熊九保も来る。

 このバトルは挑むしかないんだと言いながら来る。

「大丈夫ですッ! 大崎さんなら勝てますッ! ドリ甲チャンピオンのわだす、WINDSONICの葛西サクラを倒したから絶対勝てるべッ! わだすとサクラより速い大崎さんは絶対勝てるべッッ!」

 唯一の選択肢は挑むしかない。

 挑んで勝つしかない。

 サクラと自分を倒した人なら勝てると熊九保は翔子を励ます。

「勇気を持つべッ! 負けてもいいから挑んでほしいだッ!」

「そうだッ! 負けても構わないんだ、相手に頑張りを見せるという勝負の仕方もある。負けもいいから全力で挑め、相手に頑張りを見せるんだッッ!!」

 熊九保同様に智も励ます。

 負けてもいいから全力で挑めと言う。

 すると、励ましが聞いたのか翔子はベッドから立ち上がり、部屋から出る。

「おれ──挑みますッ! 熊九保さんと智姉さんに背中押されたから柳田マリアに挑みますッ! 絶対……頑張って挑んでやりますよ──ッ!」

 熊九保と智の熱心な励ましによって翔子は元気を取り戻した。

 元気を取り戻した翔子は柳田と挑むと決意するッ!

「おお、大崎さん! 元気を取り戻したんですねッ!」

「バトル当日は頑張ってくれ、最速の美少女ッ! 私はお前を応援するぞッ!」

「はい、おれは頑張りますッ! 年齢偽装のことはW.Uのメンバーは謝っておきますッ! あと、智姉さんおかえりなさいッ!」

 頑張れ翔子ッ!

 お前は負けてもいいから頑張ってくれッ!

 それと年齢をサバ読みすることはW.Uのメンバーに謝ることも決意した。

 そしておかえりなさいのあいさつもする──。

「大崎ちゃん、柳田マリアとのバトルを頑張ってねッ! くにちゃんも応援してるからねッ!」

「大崎はん……頑張りや」

「応援ありがとう──小鳥遊さん、川畑さんッ! おれは頑張るからねッ!」

 小鳥遊も川畑も翔子にエールを送った。

 頑張れ翔子、柳田に直球勝負で挑んでくれッ!

 智姉さんと熊九保さんの励まし、熱かったですねェ~。

 励ましを受けた翔子ちゃんは柳田に勝てるのでしょうか、それは近日中のお楽しみです。


 今回は執筆中にPCの残り残量が少なくてピンチでした。

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