ACT.11 サクラゾーンでの戦い
第2セクション。ここで翔子は追い抜かれてしまった。
「ワンエイティ、ザマー見ろおォ!」
「サクラさんに負けろよ! ワンエイティ乗りなんか、ヤッケクソォ! ヤッケクソヤッケクソォ~♪ ヤッケクソヤッケクソヤッケクソォ~!」
サクラに追い抜かれた翔子をギャラリーたちはバカにしていた。
「くそおォォ━━負けるなんて嫌だ……絶対リベンジしてやる!」
負けたくないと、翔子の心はこんな感じだが、
もう後がない。なぜなら……次のコーナーはサクラゾーンだからだッ!
「━━大崎翔子……ここはオレのコーナーだ……。ここでオレに勝った奴なんていない……。果たしてここでオレに勝つことができるか……? 勝負だ……大崎翔子……ッ!」
第2セクションが終わり、サクラゾーンへ入る。
サクラゾーン最初のコーナーを2台はドリフトで入った。
サクラゾーン2つ目のコーナー、急コーナーは2台とも時速100km/hにスピードを落としてそれを抜ける。
3つ目のU字コーナーはどちらもスピードが速くなかったので、ノーブレーキで攻めた。
4つ目、5つ目、6つ目、7つ目と過ぎ、サクラが先攻なのも変わらない。
「━━ここがオレのコーナーの最後だ……。絶対先攻を守ってやる……」
サクラゾーン最後のコーナー、ゆるやかな左コーナーへサクラが入った。
「ここで勝負だ! 葛西サクラッ! 先週のことを思い出してッおれッ!!」
翔子もサクラゾーン最後のコーナーに入る。
それと同時に先週のことを思い出す。
バトル1週間前……3月21日の午後7時30分。
「赤城にはサクラが得意な連続コーナーがある。そこはサクラゾーンというコーナーだ。」
晩ご飯を食べ終えたあと、智と翔子はリビングで話していた。
話とはサクラゾーンのことだ。
「練習するならあのコーナーを練習したほうがいい。あそこで先を取らなかったら、負けるぞ」
サクラゾーンはバトルで重要な場所だと智は語る。
ここで先を取らなきゃ、勝てない。
翌日の21日(バトル6日前)、智はサクラの80がサクラゾーンを攻める所がDVDを翔子にプレゼントした。
「これが葛西サクラの走りか……」
智から貰ったDVDを数回か見て、サクラの走りを翔子は確認する。
そのDVDから、サクラの走りを赤城山のテスト走行で取り入れ、サクラゾーンでの彼女の走りを真似るのだった。
それはバトル前日まで続いた……。
時は戻り、現在。翔子はサクラゾーンの最後のコーナーを……。
攻めるッ!
攻めるッッ!!
攻めるゥゥーーーーッッッッ!!
サクラも翔子もコーナーのインを突いて攻めている!
どちらもドリフト走行ゥゥーーッ!
どっちが勝つのかァァ!?
「お前のスキはここだッ! 165km/hの高速ドリフトォォーーッッ!!
イケイケイケイケイケイケイイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケッッッ!!」
なんと、翔子はサクラよりさらにインを突き、彼女の車より速い165km/hのスピードでコーナーを攻めていたッ!
翔子はサクラに接触していないが、まるで押しているようにサクラをアウトに追い出したッッ!!
さらに、そのサクラをコーナーが終わると同時に追い抜くッッッ!!
「ぬかれたッ! サクラさんが、1度も抜かれたこともないサクラゾーンで追い抜かれたッ!」
サクラゾーンでサクラが抜かれている所を見て、ギャラリーはビックリした表情をみせる。
今までサクラが負けなかったここで、彼女にここで勝つ走り屋が出るとは、まるでスポーツ選手が何連覇したとかといったニュースより大ニュースだッ!
(ビッ!)「こちらサクラゾーン! 今、サクラさんが━━サクラさんが追い抜かれたましたッッ!!
このことは頂上にも伝えられる。
「嘘だろ……! 嘘だッッ! サクラがあそこで負けるなんて信じられねえェーよッッ!!」
サクラゾーンでサクラが抜かれたことを雨原にとっては信じられないことだ……。
「強くなったなあ、大崎。サクラが1度も追い抜かれなかったあそこで追い抜いたのは、お前が初めてだ」
翔子のサクラゾーンでの追い抜きを智は褒める。
翔子は前より強くなった……。
赤城山ダウンヒルのラストを飾る5連続ヘアピン……。
「どっちがくるか、くるかあァッ!」
ギャラリーは5連続ヘアピン前の道路を見る。
「ワンエイティが先頭ォォ!? 嘘だろォ?」
5連続ヘアピンに入ってきたのは翔子のワンエイティだった。
翔子が先行していたことを知って、ギャラリーは唖然ッ!
バトルのゴールがあるふもと……。
「サクラさんが勝つ! サクラさんが勝つ! サクラさんが勝つッ!」
ふもとのギャラリーたちは「サクラさんが勝つコール」をしていた。
「ワ、ワンエイティが先行!?」
先にゴールしてきたのは翔子。
ギャラリーたちの願いは叶わずに終わった……。
「勝ったよ──ワンエイティ。リベンジできたよ……」
10時4分の今、翔子がゴールした。
バトルに勝ったのだ。初めてのバトルに。
葛西サクラの80に勝利したのだ。
「嘘ォォ!? サクラさんが負けた……」
ふもとにいるWINDSONICのメンバーはサクラの敗北にガッカリしていた……。
WINDSONICで雨原に次ぐ実力を持つ葛西サクラは無名の少女に敗北する。
数分後、雨原のFDに乗って、赤城山のふもとに来た。
「負けて落ち込むなよ、お前は頑張ったぜ。あいつは強くなりすぎたぜ」
「──別に落ち込んでいない……」
さすがサクラ、負けてもクールだ。
「──サクラゾーンの最後の所……あいつはオレより素早いスピードでガードレールギリギリのインを攻めた。コーナーの終わりでオレはアウト側に入ってしまい、追い抜かれた」
今回のバトルで追い抜かれた所のことをサクラは雨原に語る。
「ああァ、あれは反射で勝手に動いたんだ。お前の体が怖いと言って、勝手にアウト寄りにいってしまったんだ」
追い抜きを許してしまった原因は反射だと雨原は語る。
反射とは生物学の用語の1つで、危険な物に触れそうのなると身体が勝手に引っ込むとうう運動だ。
これを翔子はコーナーの中盤、サクラに発生させた。これからこの技を「反射アタック」と名付けよう。
(──大崎翔子……。オレを倒すとはなかなかやるな……。だが、オレは負けない。いつかはもう1回勝負だ……!)
いつかはもう一回、勝負してやろうとサクラはまたバトルすることを誓うのだった。
「あたしからも言っておく、もう1回勝負だ! 誰も知らない無名が有名に勝つのはありえねーぜッ! あたしはあいつの勝利を認めねーッッ!!」
サクラと同じことを雨原も言う。雨原は翔子の勝利を認められない。
WINDSONICの2人は翔子が勝ったことを認めなかったが、この勝利は多くのギャラリーを驚かせただろう。
翔子はまだ無名。しかし、このバトルで知名度が少し広まる──。
ドリフト走行会から始まった、まるでシンデレラのようなストーリー、翔子の最速伝説の2つ目になった。
午後10時40分。バトルが終わり、翔子と智はすぐ帰宅する。
「智姉さァァん! 風呂入りましょ♥」
帰ってきて、すぐ一緒に風呂が入りたいと甘えながら訪ねる。
「うん、そうだな。バトルで疲れてるだろ、お風呂に入ってやるぞ」
「やったァァー!! 智姉さんと一緒に入れるなんて、おれ嬉しいですゥゥー!」
翔子がバトルで疲れてると思って、智は翔子の望み通り一緒に風呂に入ると言う。
これに翔子は喜び、興奮してジャンプした。
早速、2人は風呂へ入る。
「ふえぇ──バトルの後に智姉さんと一緒に風呂に入るのは最高~♥」
風呂に入った後も翔子の興奮も止まらない。
「大崎、風呂は気持ちいいか?」
バトルの後の風呂は気持ちいいのかを聞く。
「気持ちいいですよ~♥」
気持ちいいと翔子は答える。
って──智と一緒にいるからだろうがッッ!!
「今日のバトル……おれは緊張しました。けど、楽しかったです! 勝ったらすごく楽しくなりましたッ!」
今回のバトルは翔子の新たな思い出の1つになっただろう。
「それは良かったな。じゃあ頑張って勝ったご褒美に何かしてやろう」
勝利した記念に、何かご褒美をやろうと言い出した。
「デェ──デートがしたいですッ!」
褒美はデートに決定ッ!
「わ、分かった。デートがしたいのか。じゃあ明日は私は休みだから、明日はデートデーにしよう」
デートの日は智の休日である明日だ。
「わかりました。明日は楽しみだァァー!」
智のことが大好きでたまらない翔子は明日が楽しみな日になるだろう。
風呂から上がり、2人はそれぞれの部屋の中に入って寝ることにした。
「明日は楽しみ──ああ智姉さん……大好きですよ♥」
明日が楽しみ過ぎて、被ってる布団を翔子は智だと思いながら、寝たまま抱きついた。
そして翌日……。午前7時、玄関。
「智姉さァァーん! 今日はデート日和ですね~♥」
今日は智とデートする日。
大好きな智とデートすることができる日なので、翔子のテンションは絶好調だ。
「これぐらい私のことが好きか?」
「そうです! そうですッ!」
智がいると翔子は元気いっぱいになる。
「車は2台ある。私のR35か、大崎のワンエイティのどちらかだな……」
デートのための車を智は選ぶ。
どちらにするのだろう……。
「やっぱ大崎のワンエイティにしよう。私のR35だと燃費が悪いからなあァ……」
デートの車両は翔子のワンエイティに決まった。
「お前の車で行くぞ。ドライバーは私だ」
車はワンエイティに決まったのにも関わらず、ドライバーは智だ。
「ええ!! ワンエイティを運転するなら、ドライバーはおれのほうが良かったのですがァ……」
「無免許のお前に運転なんか任せられないぞ」
翔子は無免許。しかも法律上免許が取れない16歳ッ!
そんな女の子が昨日自動車レースで勝利したのにも関わらず、デートの時、運転してもいいのかッッ!!
「智姉さん、おれの車は智姉さんの車と違ってFRですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ないぞ」
ゲームのセリフっぽく智は答えた。
「私の走り屋時代はR35ではなく、ワンビアに乗っていたぞ。R35を購入したのは走り屋を引退してからだ。ワンビアに乗っていたから私はワンエイティも運転できるぞ」
「智姉さん、ワンビアに乗っていたんですかァ!?」
実は智、走り屋時代にはワンビアに乗っていたのだ。
ワンビアとはシルビアにワンエイティのフロントを取り付けた改造車だ。ワンエイティ+シルビアなので、ワンビア。
ワンビアの元オーナーなので智はワンエイティの運転に自信があるという。
「じゃあ行くぞ。お前は助手席に乗れ」
2人は車に乗る。
いつもならワンエイティのドライバーは翔子だが、今回は智がドライバーだ。
智が運転するワンエイティは智の家を後にした。
ついに翔子ちゃん、初勝利ッ!
やりましたね~。
次回はデート回です。キマシタワーッッ!!
お楽しみにー!!




