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ACT.6 冷静さ

※注意!


この作品はフィクションです。これらに登場する人物は実際に存在しません。 この作品は公道レースを題材にしている作品ですが、公道でレースやドリフトをするのは危ないのでサーキットでやって ください。 後、車を運転する時はシートベルトをしっかり締めて、安全運転でお願いします。

 夕方、リビングで晩ご飯を食べている。

 今日の朝ァ、翔子がバトルをしたことを、智を知っていたのだ。

 これは智が仕事の帰りに聞いた話だ。

「仕事の帰り──3人の女が話していたんだ」


 時は1時間前にさかのぼる。

「なあァ、朝の話をしようぜ」

 前橋のどこかで、女走り屋3人が話をしていた。彼女たちの話を智は壁に隠れてこそっと聞いていた。

 どれもWINDSONICのメンバーだ。

 その3人とは黒い新型86に乗る黒髪ツインテールの谷村、黄色いスタリオンに乗る金髪セミロングの堀内、銀のレクサスIS350に乗る銀髪2本結びの矢沢だ。

 彼女たちは朝、翔子に追い抜かれた走り屋たちだ。

「今日の朝ァ、あたしたちは免許が取得できない年齢の16歳でェ、そして見た目は小学生に見えるほど幼い女の子が乗るワンエイティに追い抜かれたよ」

「そうやな」

(小学生の姿をした16歳の女の子が乗るワンエイティって大崎のことかァ!?)

 谷村の言うゥ、見た目が小学生に見えるほど幼く、年齢は法律上、免許を取ることができない16歳だが、ワンエイティを運転している女の子とは翔子のことだと思い始める。

「最初ォ、あたしはあの小学生みたいな奴を法律上免許を取ることができない年齢だと聞いて馬鹿にしたよ。これにはあいつはキレて、あたしたちを追いかけてきた」

「最初は大したことのない奴だと思っていたわ。けど、弾丸のように恐ろしい速度で、私のIS350、堀内のスタリオン、谷村の86(ハチロク)を追い抜いてきてびっくりしたわよ」

(大崎ィ……暇つぶしでドライブしていたのに、途中でバトルをしていたのか……)

 暇つぶしでドライブしていた翔子がバトルをしていたことを、智は3人の会話で知ってしまった。


「ってわけだ」

 バトルしたことをどうやって聞いたのかの智の話はここまでだ。

「改めて聞くぞ。お前はWindSonicのメンバーとバトルをしたらしいな。あいつらに馬鹿にされて腹が立ち、挑んだようだな」

 改めて智は朝のバトルについて聞く。


「そうです。おれはあいつらに免許を取れない年齢の人間は車に乗るなと言われて腹が立ち、それの仕返しとして追い抜いてやりました。おれはワンエイティが大好きです。ワンエイティを乗るなって言われることは絶対に許せませんよ」


 翔子は答える。


「たしかにあいつらが馬鹿にしたことは無免許なのに車が好きなお前は許せないことだった。しかし、もう1度馬鹿にされた時は気にするな。その時は無視しろ」


「はいッ!」

 もう一度馬鹿にされたら無視しろと智は言った。

「じゃあごちそうさま」

「おれもごちそうさまです」

 2人はご飯を食べ終え、食器を片付ける。


 翌日(3月18日)、朝5時。赤城山の下り。

 今日は翔子が智と一緒に赤城山を走る日だ。2台の車が峠の下りを攻めている。先頭を走るのは翔子のワンエイティ、その後ろを走るのは智のR35だ。


(ブオン、ブオオオオオオオオンッ!)


「おれは抜かせませんよッ! 智姉さんッ!」


 2台は赤城ダウンヒル最後のコーナーの5連続ヘアピンに入っていた。翔子のワンエイティは智のR35はドリフトの進入を許さない。


「別に私はバトルと思ってないぞ」


 ただしィ、智はバトルをしていると思っていない。

 5連続ヘアピンを抜けるとゴール地点でUターンし、。

 だが、5連続ヘアピンの4つ目。


「やばい……に行ったッ!」


 翔子のワンエイティにアンダーステアが出てしまった。それが原因でアウト側寄りに行ってしまう。


 アンダーステアとは、クルマがコーナリングを曲がる時にアウト側へ行くステアリング特性の一つ。

 フロントタイヤのスリップで起きやすいが、クルマやバイクはこの特性を持っている。

 ドリフト失敗の原因・ナンバー1(ワン)であり、事故の原因の1つでもある。


「私は先に行くぞ、大崎ッ!」


  アンダーが出て、アウト寄りに行ってしまったワンエイティを智のR35は追い抜く。


「アウト寄りに行ってしまったことで智姉さんに抜かれた。けど、おれは必ず抜き返しますよォォッ!」


 追いぬかれた翔子はもう一度抜き返そうと考える。

 が、智のR35が速過ぎて、抜くチャンスは見当たらない。600馬力のハイパワーは直線ではジェット機のように速過ぎるッ!


「速いィ──速過ぎるゥゥゥゥゥ!」


 しかし、翔子に追い抜くチャンスが訪れる。上り第2セクション後の連続コーナーの2つ目だ。


「チャンスだッ! ここで智姉さんを抜くよォ、ワンエイティッ!」


 翔子はアウト側からドリフトで智のR35を抜こうとする。だが……。


「当たるゥ、当たるゥ、ガードレールに当たるゥゥゥ!」


 アウト側に出過ぎてガードレールに当たりそうになった。


(ヒュウッ!)


 ガードレールに当たりそうになった翔子は神経の反射でブレーキを踏む。


「くッ! 追い抜けなかったァ……」


 智を追い越せなかったことを翔子は悔しがる。


  *


 頂上。2人は休憩に入っていた。


「お前ェ、私を抜こうとしていたようだな」


「はい」


 翔子が抜こうとしていたことについて智は聞く。


「熱くなりたいならァ、今日行われるWINDSONICのメンバーの言うドリフトなんとかに参加すればいいじゃないか」


 熱い走りをしたいならドリフト走行会に参加すればいいじゃないかと訪ねた。


「実はおれェ──ドリフト走行会に参加しないと決めたんですよ」


 しかし、翔子は参加しないと言い出す。


「やっぱァ、今夜は平凡(へいぼん)に暮らしましょうよッ!」


 参加しない理由を言う。平凡に暮らしたいらしい。


「……」


 翔子たち2人の前に黒髪ロングヘアーを青い布で束ね、左目が長い髪で隠れている無口な女性が現る。WINDSONICのメンバー、葛西サクラだ。


「──お前ェ、昨日の朝……うちのメンバーとバトルしたらしいな……あいつらから聞いたぞ」


 昨日のバトルについて、サクラは翔子に聞く。


「そうだよ。おれは勝負したよ」


 勝負したって、翔子は答えた。


「──そうか……あいつらはやっぱりお前ェ、大崎翔子にやられたのか……髪の毛は赤いロングヘア……子供のよう身体は小さい……黒タイツを履いているワンエイティ乗りはお前だったのか……」


 あの3人組はサクラにも「赤い長髪、小学生のように小柄な体系、黒タイツを履いたワンエイティ乗りにやられた」ってバトルのことを教えている。


「──うちのメンバーに勝ったお前は実力ありそうだな……オレと勝負(バトル)をしろ……」


「へえェ!?」


 翔子は実力がありそうと思った、サクラは勝負(バトル)をしろと言い出す。


「あいつは速い奴、本当に戦っても良いのかァ?」

 サクラは強敵。

 本当にバトルをしてもいいのかと聞く。

「怖いけど、やるよ。おれはどんなバトルでも受けるから」

 サクラとのバトルを承諾(しょうだく)してしまった。

「──やるのか……じゃあ勝負と行くか……車に乗るぞ」

 サクラと翔子はそれぞれの車に乗り、2台の車は駐車場の出口に行く。

「大崎は大丈夫かァ……バトルを挑んでしまったがァ……」


 バトルを挑んでしまった翔子を智は心配していた。


「バトルだよォ、ワンエイティ。絶対に勝つよッ!」


 駐車場から出ればバトルはスタート。先攻は翔子のワンエイティだ。


(ウオンッ!ウオオオオンッ!)


(バンッ!バアアアアンッ!)


 RB26と2JZの音が同時に鳴り響くッ!

 翔子を先攻にスタートした2台の車は長い直線を渡り、第1コーナーへ。


「ドリフトで逃げるよッ!」


(ヒュウウウウウウウン!)


 第1コーナーを翔子のワンエイティはドリフトで抜ける。


「――オレの80(ハチマル)はコーナーが得意だ……」


 サクラの80も翔子に負けないドリフトを見せる。


「WINDSONICのメンバーだから結構速いね。次は連続コーナーだよワンエイティッ!」


 そう言いながら連続コーナーに突入する。


「行けえェーッ!」


(ウオンッ! ウオンッ!)


 弾丸のように素早いスピードでコーナーを次々と駆け抜けていく。

 しかし、


「――言っただろ。オレの80はコーナーが得意だと……」


 後ろにサクラの80がコーナーで追いかけてくる。

 普通、80型スープラはパワーとトルクがあるものの、車重が重たいせいでドリフトに不向きだ。しかし、サクラの80はその重たい車重を軽くすることによって欠点を補い、コーナリング性能をアップさせ、ドリフトしやすくした。


「なんて速さなのォ……逃げるよッ!」


 サクラから逃げるために一生懸命ワンエイティを走らせるが、逃げ切れないッ!

 下り第1セクション。翔子は追い抜かれないようにブロックしながら走る。


「抜かせない……抜かせない……抜かせないッ!」


 翔子のワンエイティはサクラのオーバーテイクを許さない。


「MAXスピードでコーナーに入るよ」


 下り第1セクションと下り第2セクションを結ぶコーナーに猛スピードで入る。


「ここをドリフトでッ!」


 そのコーナーをMAXスピードドリフトで攻める。


 だがァ、


「やばい……ッ! やりすぎた……ッッッ!!」


 スピードを出しすぎたせいか、翔子のワンエイティはスピンしてしまった……ッ!


「――スピンするなんて……大した事ないな……」


 スピン現場にサクラが来る。


「――興味ないな……お前なんかに……。オレにリベンジするなら、今日中に練習しろ」


 こう言い残してサクラは去って行く。


「くそおォーッ! 葛西サクラよ待ってろォ! おれは強くなってやるからァァァァ!」


 負けた腹いせに翔子はガードレールを蹴る。


(ウオン、ウオン……ッ!)


 コーナーの後ろから智のR35が来る。


「私の思った通り、負けたそうだな」


 智は降りて、翔子に話しかける。

 翔子がサクラの80に負けると思っていたらしい。。


「はい、おれは葛西サクラの80に負けてしまいました……」


 悔しそうに負けたって言う。


「そうかァ……。お前の負けた原因は冷静さ不足だ」


 敗因は冷静じゃなかったと智は言う。


「上りでお前はガードレールにぶつかりそうになっただろ?」


   そりゃそうだ。ヒルクライムで智と走っている途中、運転がちょっと乱暴さが出て、翔子のワンエイティは当たりそうになった。


「おれは抜かれそうになった時、抜かれたくないと焦ってしまいましたけど、これは冷静さがなかったからですか?」


 抜かれそうになったときに焦ったのは、冷静さがなかったからなのと智に聞く。


「冷静さがなくなったから焦ったんだ。葛西サクラは無口で感情を表さない性格で、ドライビングはとても冷静だ」


 葛西サクラの性格は無口で無表情、クールでとても物静か。この性格からドライビングは冷静さがある。

 彼女は冷静さがあるから、スキルがいい。


「あと大崎、抜かれるときは焦るな。バトルでは後攻が有利だ。先攻ではイライラしてプレッシャーがたまってしまう。しかし、後攻なら相手の情報を知ることができ、時には相手の技を盗むことが出来るぞ」


 先攻を取ると後ろの相手を見ながら走らなきゃいけない。かなりのプレッシャーだ。その対策として後ろを見ずに走るとか、走り方を考えることだ。


「抜かれてもいいから抜かれそうになったら焦るな。私が言うはお前の敗因は終わりだ」


 智の言う翔子の敗因の説明は終わりだ。


「じゃあ大崎、家に帰るぞ。朝のドライブはここで終了だッ!」


「はい」


 これで今日の朝のドライブは終わりだ。2人はそれぞれの車に乗り、家に帰った。


 * 


 午前6時。智の家。


  朝ご飯を食べ終え、智は仕事場へ行こうとしていた。だが、翔子も外に出るッ!


「大崎、お前はまた着いて行くのかァ?」


 一昨日(おととい)みたいに着いて行く気かと翔子に聞く。


「おれは心変わりしてしまいました」


 心変わりした翔子は言った。

 どこが心変わりしたってかは……。


「朝参加しないと言っていましたが、おれはドリフト走行会に参加しますッ!」


 突然、ドリフト走行会に参加すると言い出したのだ。平凡な暮らしがしたいと言って参加しないと言い出したが、サクラの80に負けたのか心変わりしまった。


「さ、参加するのかァ!? もう今日しかないぞ。練習するのは数時間しかないが、大丈夫なのかァ?」


「今から練習します。おれを破った葛西が「オレにリベンジするなら練習しろ」って言われました。おれはあいつに闘志が燃えていますッ! 絶対に勝ってやりますよッ!」


 もう数時間しかないけど、それで大丈夫か、と智は聞く。

 翔子はもう燃えてしまった。葛西サクラに「オレにリベンジするなら練習しろ」って言われたからだ。


「おれ行きます! 今から赤城へッ!」


 練習したくて仕方ない翔子はワンエイティに乗って赤城へ向かった。


(ブオオオオンッ!)


(大崎……WINDSONICの葛西に負けたことで熱くなってるな……普段は明るく私に甘えている女の子だが……)


 葛西に負けて熱くなっている翔子を見て、智はこう思った。

 その後、智は自分のR35に乗って仕事へ出発する。


 5000字以上ありますが、これでも当初予定していた話の前半部分しか書いていません。次回は予定の後半部分を書きます。

 あと、台本型式じゃなくなっているのは暇人さんのアドバイスを頂いたからです。これからは台本型式で書きません。

 PS:今までは仕事だと思って書いていましたが、先週あたりから趣味だと思って書いたら、プレッシャーは減り、書くのが楽しくなって、速筆になりました。

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