ACT.5 朝のドリフト
※注意!
この作品はフィクションです。これに登場する人物は実在しません。
公道で自動車レースをする所がありますが、それは危険ですのでやめてください。
後、車を運転する時はシートベルトをしっかり締めて、安全運転でお願いします。
3月17日の朝5時30分、智の家・リビング。
服を着替え、リビングに入り、翔子は眠そうな顔をしながら、智に話しかける。
翔子「ふわぁ~智姉さん、おはようございます」
智「おはよう大崎。ちゃんと眠れたか?」
翔子「はい。とても眠れました」
何か翔子は言い始めた。
翔子「智姉さん、朝早くですがワンエイティ、赤城山で走りに行こうと思います」
智「え? お前は私がいなくなると失神するはずだろ?」
しかし、翔子は……。
翔子「暇つぶしですよ、暇つぶしですよ! おれはなんか走りたいと思ってきたんです」
智「そうか、じゃあ走ってこい。ただし私はついて行かないぞ」
家を出て、翔子はワンエイティに乗る。
エンジンをスタートさせて、出発進行。
翔子「赤城山に行くよ!」
(ブオン、ブオオオオオオオオオオン!)
RB26から奏でる騒音を鳴らしながら、赤城山へと向かう。
5分後……。
翔子のワンエイティは赤城山のヒルクライムに入る。
翔子「さぁ、行くよワンエイティ!」
最初のコーナー・5連続ヘアピン、ブレーキでドリフトのきっかけを作り、アクセルをオンさせてドリフトした。
翔子「ドリフトだよ! ワンエイティ!」
(ブウウウウン! ブウウウウウウウウウン!)
5連続ヘアピンの次は蛇行ストレートに入る。
RB26がワンエイティを加速させていく。
翔子「飛ばすよ!」
(ブオオオオオオオン!)
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頂上。ここではWINDSONICの雨原芽来也と葛西サクラが話していた。
雨原「お前のJZA80、明日のためのコンディションはどうだ?」
80(はちまる)のボンネットを開けて、サクラはエンジンを確認する。
サクラ「――パワーは380馬力、トルクは56kgだ。どれも落ちていない……」
雨原「エンジンはOKってことか。他の調子は?」
サクラ「――サスペンション、ボディも確認したが、どれも良かったぞ……」
雨原「じゃあコンディションは100%いいってことか」
暇つぶしに走っていた翔子が頂上に着く。
サクラと雨原の会話を見始めた。
翔子(あの人は……昨日スーパーで会い、智姉さんの話で出てきた雨原芽来也だ)
サクラと会話していた雨原が翔子の元に来る。
雨原「よぉ、坂下智と一緒にいた大崎翔子じゃないか! あたしは昨日スーパーで会った雨原だ」
雨原は翔子のワンエイティを見る。
雨原「お前……車乗ってるのか? 16歳だと言っているのに」
翔子「そうだよ。このワンエイティはおれの愛車。そしてペットであり、友達でもあるんだ」
ワンエイティが翔子の愛車だと聞いて雨原は驚く。
雨原「えっ? 法律では18歳未満で免許持っていないお前が車を運転しているとはびっくりだぜ!」
どこでワンエイティを手に入れたのかを聞いた。
雨原「お前、ワンエイティをどこで入手したんだ?」
翔子「それは……秘密だよ!」
雨原(えぇ~教えてくれないのかよ! ケチっ!)
話は変わり、ドリフト走行会の話題へ。
雨原「坂下智はドリフト走行会に参加するって言っているか? それともまだ参加しないままか」
翔子「まだ参加しないって言っているよ。観戦もしたくないって」
雨原「まだ参加しないのか……そうか」
次はドリフト走行会に翔子が参加するのかを聞く。
雨原「坂下智が参加しないならお前は参加するのか? 無免許のお前が見ればみんな驚くぞ」
翔子「分からない。おれは参加する気がないかも」
雨原「じゃあ、観戦は?」
次は観戦することについて。
翔子「これも分からない」
さっきと同じ答えだった。
雨原「参加するかしないかは自分で決めとけよ。走行会は明日だからな」
翔子「参加するかはどうかは考えておくよ。後、走っている途中なんだ。もう話を終わらせてくれない? ワンエイティが走りたいって言っているから」
退屈そうだったのか翔子は話を終わらせてほしいと頼む。
雨原「もう終わりだ。ドリフト走行会に参加することは明日になるまでに考えろよ」
雨原はサクラの元に戻っていく。
黒髪ツインテール「よぉ、オチビさん」
雨原が去った後、今度は見知らぬ3人組が翔子の元に来る。
1人目は腰まで伸びたツインテールの少女。2人目は肩まで伸びた金髪セミロングの女性。3人目は銀髪の2本結びの女性だ。
翔子の元に3人組が現れる。
3人組の1人、黒い長髪をツインテールに縛っている少女は翔子を”親を待っている子供”と間違えてしまう。
「君? 親がトイレからを待っているんだね」
「いや、おれは1人で来たんだ。後ろの車はおれの愛車だよ」
暇つぶしのため、翔子は赤城山を走りに来ている。
「なるほど~後ろの180SXは親の車じゃなくて君の車だったんだね。あたしは谷村、後ろの二人は、金髪セミロングが堀内、銀髪2本結びが矢沢さ。あたしら3人組は雨原さんのWINDSONICのメンバーなんだ」
86乗りの黒いツインテールの少女は谷村と言う。 彼女ら三人組は赤城山最速チーム・WINDSONICのメンバーだ。
「あんた~小学生みたい体をしているけど、車を運転できるなら合法ロリちゃう? 年は何歳や?」
翔子の年齢について、堀内と名乗る金髪の女性は翔子の年齢を聞く。
「え~と……16」
堀内の質問に翔子は答える。
翔子の年齢は車の運転が許されないので、
「16歳って……フフフ、合法ロリじゃなくてただのロリだったのね」
その年齢で車を乗っていることを笑い出す。
「16歳の女の子は車を運転したらK察に捕まるよ……クスクス」
法律上、運転免許を取得できるのは18歳からだ。16歳は取得できない。
昔は翔子の年齢でも運転免許証を取れることもできたのだが……。
「馬鹿にされて腹が立ってきたッ! おれがワンエイティに乗るなって言っているんだねッ!」
まだ免許を取れない年齢だと聞いて笑っている3人に対して翔子の顔から怒りが出る。
「馬鹿にされてご立腹ですかおチビさん? 16歳の運転はすぐ事故るよフフフ」
翔子が怒っても、3人は笑い続ける。
「ククッ、そうや! あんたは谷底に落ちて死ぬほうがマジやろッ!」
お前は運転するより死んだほうがマシだと堀内は言う。
「おれは事故ったりしない! おれは事故で死ぬ気はないよ! ねっ、ワンエイティ!」
「フフフ……本当に事故ったことあるの? なら、あたしたちを追いかけてみなよ!」
「クスクス……あんた~うちらを追いかける途中で谷底に落ちてオシャカになるで」
「ついて行けなかったら、子供確定ね……フッ」
事故ったことがないならついてこいと言い、三人組はそれぞれの車に乗り、ダウンヒル出発の準備をした。これはバトルの合図かもしれない
車は、谷村が黒のトヨタ86GT、堀内が黄色の三菱スタリオンGSR、矢沢がシルバーのレクサスIS350だ。
出発前に、三人組の先頭にいる多田は翔子にいっちゃもんをつける。
「あたしたちを追いつけるなら追いついてこいよ、アッカンベー!」
いっちゃもんの後、三人組は出発した。
いっちゃもんをつけてくる多田に翔子はさらにカンカンだ。怒りが治まらない翔子はこの挑戦を受ける。
「許せないから、絶対追い抜いてやろう! 前の小さなLFA乗り、許さない!」
三人組を追うために翔子はスタートし、追いかけっこが始まった。
翔子が出発した頃、三人組は連続コーナー前の直線に入っている。
小さなLFAとは谷村の86のことであり、翔子は3年前からの車については知らない。
「無免許ドライバーがあたしたちを追い抜けるかな?」
「おチビのワンエイティ乗り、早く後ろに来なさい。後ろで事故っている所を私が見・て・あ・げ・る」
三人は翔子から逃げきれることに自信満々だ。
しかし、一番後ろを走る片岡が、遠くから聞こえる爆弾が爆発するようなエンジン音に反応する。
(バオン、ブオオオオオオオオオン!)
「後ろから何か聞こえてくるわ──頂上で会った、ワンエイティ乗りのおチビちゃんが来るというの?」
「まさかワンエイティが来るわけないやろ。後ろから聞こえるのはRB26や、GT-Rが来るで! 32か33、34のどれかは分からへんけど」
エンジン音から、向井はR32かR33、R34のどれかのGT-Rが来ると思っていたが、後ろから来たのはGT-Rではなく、GT-Rのエンジンを積んだ翔子のワンエイティだった。
「追いついてきたわね。ここは連続コーナー、無免許なあなたの腕で私を追い抜けるかは難しいでしょ」
矢沢は翔子の実力を知らない。
連続コーナーの最初のコーナーに入り、翔子はアウト側でドリフトしながら進入を開始する。
だが、
(ゴツン!)
「うわァ!」
翔子のワンエイティの左リアフェンダーがガードレールに当たった。
この時の翔子はイラついているので運転は荒く、だから当たったのだ。
「アウト側で攻めるなんて難しいでしょ? イン側のほうが有利なの!」
イン側に入っているから抜かれないと片岡は思ったが、翔子のコーナリングの攻めは素早く、アウト側からのドリフトで矢沢のISを軽々と追い抜く。
「嘘でしょ!? チビの16にアウト側から抜かれるなんて!」
翔子の攻めはこれだけではない、次のコーナーでは堀内のスタリオンをロックオンした
「うちはそう簡単に抜かせへんで、抜かせへんで!」
抜かせないと言いながら堀内はブロックするが、翔子のインからの突っ込みでフェイントされ、追い抜かれてしまった。
「うちも抜かれたか……後は谷村だけや」
残ったのは先頭を走る、黒い86を運転する谷村のみ。
「あたしが最後か……」
(グオオオオン!)
「最後はお前だ! 悪口を言ってきた仕返しをしてやる!」
堀内を抜いたコーナーを抜け、短い直線を通ってヘアピンに入る。
それを2台同時に抜けて、S字コーナーに突入。
「行くぜ! 絶対に抜かさない!」
「ワンエイティ、あいつムカつくから抜いてもいい?」
S字コーナーの終わり、両者ほぼ同時に入り、翔子のワンエイティはアウト側をドリフト走行で、谷村の86はイン側をグリップ走行で攻める。
「行くよワンエイティ! テールを流して!」
(ブオオオオオオオオ!)
先に出たのは翔子のワンエイティ。
「くそぉ!」
コーナーで翔子に追い抜かれた後、谷村は高速セクション前に車を止める。
「無免許ワンエイティ乗りよ覚えてろ! 後でK察に言いつけてやるからな!」
車を止めた後は車から降りて、翔子に抜かれた悔しさをやまびこが出そうな叫び声で出した。
止まっている多田の車の後ろに向井と片岡の車が止まる。
「多田、あのチビに抜かれたん?」
それぞれの車から降りて、谷村に話し掛ける。
「抜かれたよ──さっきの字コーナーの終わりで、イン側で抜かれたんだ」
「あいつ…普通の人間じゃないわね」
「せやな」
一方、勝利した翔子は……。
「うぅ~! あいつらを追い抜いた後は落ち着くね、ワンエイティ」
3人組を追い抜いた後、顔はスッキリした表情をしている。顔から怒りが消えていた。
心をリフレッシュしながら、翔子は家へと向かって行った……。
午後5時45時、智の家。
「ただいま智姉さん!」
「おかえり、大崎……うぅ!?」
突然、翔子は智の身体に抱きつく。
「智姉さんの身体……気持ちいい」
そして智の胸を揉み始めた。
「お……おっぱいを使うあいさつの仕方があるかー!」
「す、すいません!」
胸を揉まれたことに智の頬はペンキで塗ったかのように真っ赤っか。
翔子は胸を揉んだことを謝った。
「さて……朝起きてすぐ、ワンエイティで峠を走ってみて楽しかったか?」
翔子が赤城山を走ったことの感想について智は聞く。
「はい! 一緒に走ってくれた人が3人もいて、楽しかったです!」
元気よく、翔子は赤城山を走って楽しかったと答える。
「なるほど、朝なのに赤城に来る走り屋は珍しいな。で、その走り屋たちとはどうだったか?」
次は走り屋たちと一緒に走ったことについて聞く。
「その人たちはおれと下りでバトルしてくれました」
「勝ったのか?」
「勝ちましたよ~余裕でしたから」
翔子と一緒に走った走り屋とは前述に登場し、翔子に敗北したWINDSONICのメンバーだ。
しかし智は、翔子と一緒に走ったメンバーがWINDSONICだったと知らない。
今回は速く完成させたかったので、短くなりました。
サクラが言っているトルクですが、ノーマルより10馬力上がっている場合は1kgアップしていることにします。
ちなみに翔子の180SXのRB26は70馬力上がっているので、47kgです。




