マリンタワー(前)
「まずは・・・ここで降りますか」
「ええ」
2人の女はすごく期待感があったのか、落ち着かない雰囲気である。
これが初めてか、1度行ったことを覚えていないのだろう。
「横浜は、私が行ったのは今回が初めてじゃないんですよ。中華街とかこの綺麗な港とか結構行きましたよ。」
「そうなの?いろいろなところ案内してよ。」
すごく嬉しそうに言う。
「いい景色ね。じゃあ、私もお願いね。そのかわり料金とかはあなたが全部支払いなさいよ。」
私の姉は相変わらず私にはツンとした態度だ。
「ああ・・・はいはい・・・わかりましたよ。最初、マリンタワーなんてどうでしょうか?あそこなら、いい横浜の展望が見られますよ。」
「そうなの。」
歩いていくと、マリンタワーが大きく見えてきた。遠くから見ても本当に目立つが、近づくとはっきりしてくる。
「でも、高いんでしょ?大丈夫かしら?」
翔子は期待もあり、不安もありだ。
「大丈夫ですよ。私がついていますから。」
「ありがとう。」
「あら、私の弟がいないと無理なのかしら?私は高いところなんか1人でも平気よ。優紀、あんたその友人を守ってやんなさいよ。私は大丈夫なんだからね!」
言葉は健全だが、足は震えている。素直じゃないみたいだ。いわゆる、ツンデレ?
「震えてますが、よかったらお姉ちゃんも一緒にどうですか?」
「うっさいわね!私は大丈夫だって言っているでしょ?」
やっぱり。
マリンタワーでは最初から階段で一番上まで行くことになっていた。ただ、最初のほうはあまり怖い感じがしなかった。
ついに、外に出た。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
なんと途中からは、外もはっきり見え、風も吹いてくる中で階段で上がることになっていた。また階段も、普通のマンションにあるような鉄でできたもので、見た目が本当にもろい感じだった。私も正直不安である。
「私についていれば大丈夫と言ったでしょう?」
「でも、震えているよ」
まずい・・・私が怖がってどうする。
階段がとてつもなく長い・・・。