第五百六十五条 数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任
第五百六十五条 前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
第563条と第564条の規定は、数を指定して売買をした物に不足がある場合または物の一部が契約時に既に滅失していた場合において、買主がその不足または滅失を知らなかった時にも準用する。
第563条と第564条は、権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任についての規定だったね。
これをこれだけ買うと言って売買したものが、実はその数に足りなかったり、すでに滅失していた物を売買の対象とした時でも、第563条と第564条の規定は準用されるんだ。
この規定で有名な判例というのが、2つほどあるから、ここでついでに紹介しておくよ。
1つ目は、昭和43年8月20日、最高裁判所第3小法廷で判決が出た、土地引き渡し請求についてだね。
[作者注:事件番号,昭和41(オ)770・判例集等巻号頁,民集第22巻8号1692頁
最高裁ページ:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54036&hanreiKbn=02
また、原審裁判所,福岡高等裁判所・原審事件番号,昭和39(ネ)599・原審裁判年月日,昭和41年4月13日]
これによると、土地の売買は数量指示売買ではないとされたんだ。いかに土地についていろいろと契約書に書かれた上で、売買が行われたとしても、ただちに売主がその土地を表示したことにはならないということだね。
2つ目は、平成12年(受)375、最高裁判所第3小法廷で判決が出た、債務不存在確認請求本訴、不当利得請求反訴事件だね。
[作者注:事件番号,平成12(受)375・判例集等巻号頁,民集第55巻6号1380頁
最高裁ページ:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52295&hanreiKbn=02
また、原審裁判所,東京高等裁判所・原審事件番号平成11(ネ)3895・原審裁判年月日平成11年12月20日]
これによれば、数が指定されて売買された時に、数が多く売ってしまった場合で、後でその超過分の代金は請求できないということなんだ。