閑話9「利息」
「ねえ、聞いてもいい?」
彼女が、俺の説明を遮って聞いてきた。
「どうしたんだい」
「さっきの利息のところの話だけど、テレビとかでは20パーセントとか、18パーセントとか、いろいろ言っていたけど。あれってどういうことになるの」
「ああ、法定利息とそれ以外の利息ということだよ」
すこし六法のページを戻し、第404条の法定利息のところへと立ちかえる。
「ここに書かれているのは、あくまでも利息が本当ならば発生するのにもかかわらず、その規定をしなかった債権についての規定なんだ。だから、規定があれば、そっちを湯煎して適用されることになるんだよ。でも、それでも一定の上限が決められているんだ」
「上限が、さっきの20パーセントとかになるのね」
「そういうことだね。このような利息の上限のことを制限利息と言うんだ。法律としては、利息制限法や出資法による規定があるね。利息制限法第1条各号によって、元本が10万円未満なら20パーセント、10万円以上100万円未満なら18パーセント、100万円以上なら15パーセントという上限が定められているんだ。出資法なら、年109.5パーセントが上限になるね」
[作者注:利息制限法のパーセントは全て年率。出資法はうるう年ならば、年109.8パーセントになります。なお、出資法の正式名は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」となります。]
「そうなんだー。でも、出資法と利息制限法の適用ってどう違うの」
「出資法は、出資を行う時について、利息制限法は消費貸借による金銭貸与の利息という場面で適用されるんだ。だから、ちょっと違うね」
「そうなんだ」
それから、彼女はトイレに行くと言って、部屋から出た。
戻ってくると、一緒に持ってきてくれた麦茶を飲みつつ、さっそく続きを始めた。